長野市立下氷鉋小学校
第1回子ども会議
実施日時:2009年1月16日(金)16:00~17:10
場所:下氷鉋小学校会議室
参加:子ども9人(6年生6名 5年生3名) 大人8人

内容:
《児童からの意見》
- 地域コーディネーター(田口)より、子どもに対し「遊びの広場」の概要と「子ども会議」の趣旨説明。
- さわやか福祉財団 安部氏より「遊びの広場」事業の背景とその狙いを説明。子どもたちの企画立案によるイベントや活動の実践を呼びかけた。
- 参加者全員による自己紹介。
- 「子ども会議」冒頭では島田教諭がリードしてスタートするも、会議途中より子どもたちだけで意見発表や意見交換を積極的に行う。
※「子ども会議」で発言のあった主な意見・アイデア
【桜の木の植樹】
- (地域コーディネーターの説明を受けて)学校の校庭の桜の木がなくなってしまい寂しい。桜の木の植樹を是非やりたい。
- 桜だけでなく、四季を感じられるような樹木(例えば銀杏)を植えてはどうか?
【地域交流】
- 学校の校庭を使って、地域のいろいろな人たちと交流できるイベントをやりたい。
- 地域の人と一緒にゴミ拾いはどうか?
- お祭りもいい。
【ゴミ箱づくり・環境美化活動】
- 公園に吸殻やゴミが多い。ゴミ箱を作ってはどうか?
- 国道の横断地下道が殺風景でゴミが多い。地下道の中に設置するのは?
- 分別できるよう複数製作したほうがよい。
【公園の整備】
- 水遊びのできる公園にしたい。
- ベンチをたくさん置いてくつろげる公園にしたい。
- アスレチックパークのようなものが欲しい。
現在の公園のまま、花や木を植えるなどしてレベルアップしてはどうか。
【桜の枝の加工】
- (学校からの提案を受けて)校舎増築に伴い伐採された桜の木の枝を輪切りにしたものがいくつかある。それを加工して遊ぶことはできないか?
- どんな加工ができるか?
- (実行委員より)桜の木は硬い。切る、削る、磨くは技術と慣れが必要と思われるので、あまり高度な内容は難しいかもしれないが検討してみる。⇒次回までに数量等を含め確認を行うこととした。
第1回「遊びの広場」
桜の枝を加工して祖父母の会の皆さんにプレゼントしよう
実施日時:2009年1月22日(木)15:10~16:30
場所:下氷鉋小学校 図工室
参加:子ども18人 大人15人(計33人)
協力団体:PTA、祖父母の会、地域住民有志


実施内容:
・校舎増築に伴い伐採された桜の木を記念に残る形にして、いつもお世話になっている祖父母の会の皆さんにプレゼントしたい。(祖父母の会の会員・・・41名)
・遊ぶ時間は授業参観日の放課後とし、なるべく多くの子どもの参加を募る。
・遊びの内容は、学校からいただいた桜の木の枝の輪切りをサンドペーパーで磨いて仕上げ、校章の焼印を押す。子どもたちだけでなく地域のおじいちゃん、おばあちゃんにも協力してもらう。
焼印には火を使うので、低学年には不向きと判断し対象学年は3学年とした。
感 想:
・当初子どもたちは若干戸惑いがちであったが、今回用意された桜の枝の由来の説明を聞き、また遊びの結果が祖父母の会会員へのプレゼントであるということを知りやる気を感じていた。
・サンドペーパーを使い木材を加工した経験のある子どもはほとんどおらず、その作業結果(切断面が徐々に滑らかに変化していくこと)に驚き興味をもち始めた様子はとても新鮮に感じた。
・さらに焼印を押した経験のある子どもは皆無であり、自分の行った作業で素材が変化していくことに大きな発見を感じていたようである。
・地域の方々も“おっかなびっくり”な様子であったが、徐々に子どもたちとの距離も近づいてゆき、集中するあまりお互いに真剣なまなざしではあったが非常に親密な時間を過ごしていたようであった。
・遊びが終わったあと、地域の皆さんから子どもたちに昔の学校や町の様子が語られていた。切られてしまった木の枝が世代を超えた地域の橋渡し役を果たし、新しい地域交流の誕生を感じさせた。
終了後地域の皆さんから、また何でも良いから子どもたちと同じ時間を過ごせるような機会を設けて欲しいとリクエストをいただいた。第2回子ども会議
実施日時:2009年1月20日(火)16:00~17:20
場所:下氷鉋小学校会議室
参加:子ども8人(6年生5名 5年生3名) 大人10人


内容:
地域コーディネーター(田口)より、前回第1回子ども会議で出た様々な意見について自分たちで実現可能なものを本日決定したい旨説明。
・早速子どもたちによる子ども会議へ移行。
《児童からの意見》
【ゴミ箱づくり・環境美化活動】
・各自でゴミ箱を作り公園に設置したい。 ⇒公園の管理者である長野市緑地課に確認。公園全般としてゴミ箱の設置は行っていない。ゴミ箱設置についてはイベント的な使用方法に限られるか?
・国道の横断地下道に賑わいを演出するため、絵を描いて飾りたい。 ⇒国道工事事務所に確認を行う。
・いずれの場合も、ゴミ拾いを合わせて行いたい
【桜の木の植樹】
・桜の木は植樹することで決定。
・植樹場所については、小学校校庭と地域の公園としたい。
※第1回子ども会議で出された【桜の枝を加工してみよう】については、材料の数量が少なく(約60個)、またすでに児童ひとりにひとつずつ配布され加工を始めているクラスもあるため全校募集をかけての遊びとはできないと思われる。その代案として地域コーディネーターから、授業参観日の放課後の時間を使い記念品となるような加工をし、日頃お世話になっている祖父母の会の皆さんにプレゼントしてみてはどうかと提案があり、子ども会議で意見を聞いた結果、低学年を対象として実行してみようとなった。実施日は1月22日の低学年授業参観日、15時より約1時間、参加者は当日募集し対象学年は3年生と決定した。遊びの内容は、枝の輪切りの切断面をサンドペーパーできれいに磨き、最後に下氷鉋小学校の校章の焼印を押して仕上げてみ。祖父母の会会員は現在41名であり、会員を対象としてプレゼントするうえで数量が不足することはなさそうである。
※第1回子ども会議で出された意見項目のうち、【公園の整備】【地域交流】については事業規模および内容の水準の観点から、仮に親や地域の方々のサポートがあっても子どもたちによる実現は困難であろうとの意見により、今回については対象外となった。年度が替わった段階で改めて実施について協議を行いたいと考える。
※実行委員会を開催し、具体的活動内容・スケジュール等について最終決定することとした。
第2回「遊びの広場」
「ごみ箱づくり」(ごみ箱を作って私たち町を美しくしたい)
実施日時:2009年2月22日(日)13:00~16:00
場所:下氷鉋小学校 第一体育館
参加:子ども16人 大人24人(計40人)
協力団体:下氷鉋小学校(教員)、PTA、祖父母の会、鉋会(おやじの会)、小山木材株式会社


実施内容:
・木材を使いゴミ箱を作る。遊びの時間の関係によりデザインは同一とし、予め部材を組み立てられるよう準備しておく。(幅450mm×高さ最大700mm×奥行300mm)
・完成したゴミ箱には自由に絵を描いて仕上げる。
・乾燥後ラッカー塗装を行い、通学区内の公共施設や商業施設等に寄贈する(6箇所)。実際に使ってもらいその結果町がきれいになっていることを実感する。
※当初午前の実施予定であったが、会場使用の関係で学校から依頼があり、第2回と同時間開催となった。感 想:
・木工の実技指導には現職の大工さんに協力をお願いした。子どもたちも開始前から興味津々の様子であり大工さんには様々な質問が寄せられていた。予想外のところでも交流が行われていた。
・完成サイズは70ℓのゴミ袋がセットできる大きさであり、小学生が組み立てるにはやや大きいかとも思われたが祖父母の会会員や保護者のサポートを得て作業は進んだ。
・組み立てには釘を使い自分たちで打ってみた。曲がってしまったものもあったが何とかできた。
・6年生または5年生をリーダーとして6グループで行った。女子児童も5人いたがリーダー役の上級生はメンバーの役割分担を進んでやってくれて、することがなくてあふれてしまう子どもはいなかった。
・寄贈後に使う方の安全を考えようとの発案で、組み立て後はやすりで角を滑らかに仕上げた。1年生から“何でこんなことするの?”という質問に大工さんや祖父母の会の方が真剣にその目的を説明していた姿が印象的であった。
組み立て時間が予想よりもかかってしまったため、絵を描く時間が短くなってしまったのは残念であったが、何とか予定時間で完成することができた。第3回「遊びの広場」
町を美しくしようというメッセージをこめた絵に描いて町に飾る
実施日時:2009年2月22日(日)13:00~15:30
場所:下氷鉋小学校 第一体育館
参加:子ども18人 大人27人(計45人)
協力団体:下氷鉋小学校(教員)・PTA・祖父母の会・鉋会


実施内容:
・ベニヤ板(1800mm×900mm)を3枚つなぎ合わせて「遊びのキャンバス」をつくり、そこにメッセージをこめた絵を描いた。メッセージは「私たちの住む町をいつまでも美しくしたい」。
・描く場所を個人に割り振るなどの制限は一切設けず子どもたちの自由とした。
・乾燥後ラッカー塗装を行い、地区内に展示を行う。(スタート時は子どもたちの通学路である国道の横断地下道の壁面を予定。)感 想:
・下氷鉋小学校の岸田先生のリードで始まったが、スタート直後におとなのサポートが不要となるほど子どもたちの反応は良かった。通常学校の授業や自宅でも描くことのないサイズではあったが、それがかえって子どもたちの創造意欲をかきたてたのかもしれない。
・上級生が下級生に描きやすい場所を譲ったり絵の具を用意したりしており、学年を超えた交流ができていた。1年生2年生の参加が約半数であったが、のびのびとそして笑顔で遊びの時間を過ごしていた。
・“キャンバス”に乗らないと最後まで絵が描けないことに気づいた子どもたちは、着衣や靴下も絵の具だらけになって描いていたが、周りで見ている親たちは子どもたちの真剣で楽しそうな様子に特に怒る風でもなかった。
親からは、もっと大きな板を用意して欲しかったと意見があった。子どもたちもまだまだ描き足りなかったようで、またやりたいという子どもが何人もいた。機会があれば今後も同様の形で継続できるとさらに「遊び」が広がるのではと思われる。第4回「遊びの広場」
「桜の植樹」(切られてしまった桜の木をもう一度よみがえらせたい)
実施日時:2009年2月28日(土)13:00~14:45
場所:下氷鉋小学校 校庭
参加:子ども42人 大人38人(計80人)
協力団体:PTA・祖父母の会・鉋会・株式会社佐藤園芸


実施内容:
・校舎増築に伴う道路拡張で伐採されてしまった桜の木を自分たちで植えて、また花を咲かせたい。
・何年か後、花が咲くようになったらその桜の木の下で地域の方々とお花見をしたい。
植樹した桜の苗木に添え木として杭を立てるが、その杭に木を植えた証拠に自分の名前を書いてしまおう。感 想:
・植樹の実技指導には、造園会社の協力をいただいた。
・穴(直径40~50cm、深さ50cm)を掘り、添え木としての杭を打ち込むが杭打ちは力のいる工程なので祖父母の会や保護者に協力をいただいた。穴に培養土を入れ苗木を植え、最後は苗木を保護するために腐葉土で根元を覆い完成。腐葉土は学校にあるものをいただいたが、一輪車を使って校庭の端まで取りに行くなどほとんど自分たちでできたことの喜びと充実感で笑顔があふれていた。最後に杭にメンバー全員で名前を書いた。思わず自分の名前を書いてしまった保護者もいたが、それもよしとした。
・2~3年度の開花見込みだそうである。6年生から、卒業しても見に来てもいいのかと尋ねられたが、もちろんだよ、いつまでも見守って欲しいと返答した。
・子ども会議でも、“命あるものはいつかなくなってしまうのは仕方ないけれどそれをまた自分たちで始めることもできる”との発言があった。自然を守り、命を守り、そして地域のつながりを守ることの大切さを、課外の時間を使って子どもたちが協力して成し遂げ、その意識を共有できたことはとても意義深かったと感じている。