「地域助け合い基金」助成先報告

 鬼橋町 町内会

長崎県大村市
生活支援

助成額

144,000円2023/02/21

助成⾦の活⽤内容

町内会の「よか町づくり協議会」の愛称「おにぼう」の会議では避難行動要支援者など高齢者の話題が中心になることが多く、自然と高齢者の生活上の困りごとの話題が昨年から上がるようになりました。そこで、75歳以上の一人または夫婦世帯にアンケートを取ることに決まり、今年の8月に回収しました。鬼橋町は大村市では高齢化率もほぼ真中の26%です。また、田畑が多く、長く住まれている高齢者は地元の方が多いですが、一方30年以上前から、田畑が宅地化され、徐々に人口が増えてきた町でもあります。従ってこのアンケート結果でも、こうしたことが反映されました。8割以上の方は近くに肉親や親類が居て支援を受けられるようですが、11%の方は今すぐにでも支援が欲しいという結果でした。また、今はまだ必要ではないが、今後はこうした町内の支援者の方々の支援があるのなら受けたいという方が53%もいたことはこの活動の必要性を表していると考えます。家の草取り23%や掃除11%物移動12%などは特にお困りで、買物9%片付け7% ゴミ出し7%など様々なことに困られていることが分かりました。 このようなことから、これまでの「おにぼう」と併行して愛称「おにふく」として町内の高齢者福祉面の助け合い活動を支援者を募集して実施していこうと考えています。こうした営みにより、地域の高齢者のお困りごとを知り、相談にのり、できる人ができる時間にお手伝いすることが当たり前になり、町内の人々のふれ合いが少しでも広がることを願っています。

活動報告

1.「おにふく」誕生は母体(町内会)の力から
私たちの町内会には、元々「おにぼう」という自主防災組織がありました。この数年はコロナ禍の中でも定例の会は欠かしませんでした。こうした地道な歩みの中で、高齢者のお困りごとを民生委員さんから知り、またメンバーの気持ちの総意が「おにふく」誕生に繋がったと言えます。スタートしてから僅かに1か月ですが、9件の依頼があり、支援活動をしています。支援者や依頼者には当面アンケートを書いて頂き、活動を評価しながら続けています。

2.自然豊かな大村ならではの「おにふく」
これまでに依頼された生活支援活動の内容はほとんど屋外の庭や花壇の草取です。春から初夏にかけてやはり雑草が気になる高齢者の方々からの依頼でした。それぞれに家の庭や周りに花を植えて楽しまれていることが分かりました。但し、大きな庭木の剪定や伐採を頼まれることもあり、世話人と事前確認を行い、依頼者には私たち「おにふく」の技量の及ばぬことを説明し、お断りもしました。他のシルバー人材や業者との差別化を図っています。

3.支援者の「やって楽しい!」を宝に
この活動をいざスタートする段になると、世話人や運営委員に不安感が増してきました。そんな時はまた寄って話し合いをしました。またリハーサル的な取組みも行いながら皆の不安感を取り払う努力もしました。その不安感の元にあるのは、初めての取り組みですから、依頼者と世話人及び支援者相互の信頼関係作りへの不安と言えます。こうしてやっと活動を開始したのでした。
しかし、この活動を暫し経験してみて今私たちが思うのは、依頼者が大変喜んで頂けることを通して、支援者の「楽しかった!またやっていいよ。」の気持ちが素直に生まれ、スタート時の不安感をすべて消し去ってくれたことでした。そして、支援者が無理なく楽しく支援が続けられることが最大の宝であり、またこの活動の源泉であるということです。

今後の展開

1.今後も包括支援センターと共に
この取り組みが未だ卵であった頃、高齢者への支援活動について、ネット等で調べながら私たちに合ったモデルを探して構想を練ってゆきました。そして併行して地域の包括支援センターさんと話し合いを持つことができ、そのお力添えが大変後押しになりました。今大村市では私たちが先鞭となってセンターさんが市全域に広めようと準備されています。

2.「おにふく」支援者が創る新たな町内会を
全国の町内会自治組織は高齢・少子化のもとで、ご近所や地域の繋がりの希薄さと孤立化などの共通の課題を抱えています。このような中で、私たちの小さな試みは、ご近所の高齢者等のちょっとしたお困りごとに耳を傾け、できる人ができることを支援する後押しをしているだけです。気持ちはあっても、一人では何か気恥ずかしかったり、出しゃばりとか見せかけ等他人の眼を気にして素直にできなかったことが、ストレートにできる仕組みを整えたまでのことです。これまでに「おにふく」支援員として一度活動を経験された方は、その後もまた支援活動をされています。支援者に過度の負担にならない程度の作業内容や時間の見積りに細心の注意を払い、支援者の声を大切にこれからも続けていき、こうした支援者がまた新たな町内会を創ってくれると思っています。

3.すべての人が支援し、支援される地域を目指して
現在「おにふく」は後期高齢者等への日常生活支援活動としてスタートしています。支援者は現在成人以上で、5、60代~前期高齢者が中心で男子21名、女子11名、計32名です。特に前期高齢者パワーは今後も町内会での要になっていくものと考えています。さて一方で若い世代特に子供たちに眼をやると全国的に子供会の衰退化が顕著のようです。現在の子供たちの置かれた状況は、学校と地域との一体感が希薄になり個別化された場と区切られた時間の中での活動をせざるを得なくなっています。地域の子供会は当初から生まれ育った地域の中で、利害関係なしに行事を通して楽しく創造する中から、自然な仲間意識を育んでいったものでした。
数年前から私たちの町内会でも子供会の顕著な減少が、行事を実行することを困難にしてきました。そこでいよいよ今年度は町内会全体で支援しようということになりました。以前から「おにぼう」と子供会共同での行事取組み(年末の火の用心拍子木や鬼火たきなど)があったからこそ、自然に協力する気持ちが結集し実現できたのだと思います。

このように「おにふく」が契機となって、これまでの通念であった<高齢者が支援される人>なのではなく、<すべての人が支援し、支援される>地域共生こそが私たち「おにふく」の理想と考えます。
「おにふく」がこの理念を少しずつ実現できる布石となれるよう、これからも個々の支援活動を大切に実践しようと思っています。

添付資料