「地域助け合い基金」助成先報告

一般社団法人 とえはたえ

神奈川県横浜市港北区 ウェブサイト
居場所その他

助成額

150,000円2023/03/30

助成⾦の活⽤内容

次の1~3の機能の充実を重点に取り組んでいく。
1「子どもの第三の居場所」としての機能 
家庭でも学校でもない、居心地の良い場づくり。
2「学びの継続の場所」としての機能 
多様な選択肢により継続的な学びの場を形成。リアルな場、オンラインの場。
3「キャリア形成」としての機能 
地域社会の多様な人材との交流により、将来のキャリア形成の一助とする。子どもの思いを傾聴し、壁打ち相手になってくれる大人の存在。

<具体的活動内容>
①主な対象者
菊名、大倉山地区の小4~高3まで。不登校児童生徒もしくは欠席がちな生徒。生活困窮家庭の児童生徒。
②一般社団法人とえはたえの拠点
横浜市港北区菊名大豆戸町492-1(菊名駅徒歩10分)
③何を どのように どうする
A ICT学習ドリルを活用した学習支援。 B オンライン(Zoom)による学習支援。  C 多様な大人たちの対話によるキャリア学習。 D 児童生徒、保護者対象の教育相談の実施。 ※リアル、オンラインを併用
④事業の実施体制
令和5年5月スタート予定。週1回午前、週1回午後を予定。スタート当初は小規模発進。参加者5~10人程度。端末を使い、ICT学習ドリル(城南進学研究社デキタス)を活用し自学自習。代表を含めて複数体制で学習支援。学生ボランティアも参画。在宅の対象者はオンラインによる学習支援を行う。キャリア教育の取組は多様な大人との対話により対象者の気づきや学習意欲の喚起につなげる。地域小中学校と連携し、児童生徒の募集および受け入れを連携。公立小中学校の特別支援教室生徒との合同ミーティングの実施。ボランティアスタッフは教員OB、学生を想定。本事業への協力者は、学校教員、NPO法人職員、企業経営者、教育分野の有識者など多彩な人材が名乗りを挙げている。

活動報告

<活動の経緯>
・4~5月、事業開始に向けて資料作成、近隣町内会長へ挨拶、地域ケアプラザ職員との情報交換。民生主任児童委員会への参加。教室のあるマンションの理事会への説明。周辺小中学校長へ挨拶と趣旨説明などに時間を費やした。驚いたことに、本事業に対して、批判的あるいは反対の意向を聞かなかった。それだけ期待されていると感じた。
・6月、「菊名和み塾」初の入塾相談。お試しで通い始めたところ、週2回の通塾が定着。その後、2人目相談。通塾者が2人となった。2人に共通して言えるのが「クラスが騒がしい」「学校へ行こうとするとお腹が痛くなる」ということ。保護者も、学校以外の学習の居場所として望む形であったので、和み塾の理念に理解を示してくれた。開塾日は、月曜午後、木曜午前の週2回を基本とした。
・6~7月は、地域の子育て支援や、子ども居場所事業者を訪問し、情報交換を行なった。町内会館へも顔を出し、地域シニアとも懇談。情報収集に努めた。
・7~9月は夏休みもあり、相談はなかった。しばらく参加者2人の状況であった。
・10月から相談が来始めた。しかし、保護者相談のみで、本人が外へ出られない状況であった。その間、横浜市教育委員会の指導主事や、SSW。近隣の不登校支援の方々の訪問があり、菊名和み塾について説明を行なった。
・年明けから相談が増えた感。塾生は徒歩圏内の子供を想定していたが、バスで通ってくる子が2人いる。また、通えないがZoomなら話せるということで、週に一回オンライン面談を行なっている子もいる。
・2月末で、相談数12名、通塾6名(週2回3名、週1回3名)、継続相談4名、今後相談2名である。
・菊名和み塾の日常活動は、自分で決めたことを学習している。ドリルや、タブレットによる学習が中心である。約1時間~1時間半学習。あとは、参加者同士で遊ぶ。カードゲームや、お絵かき、パズル、電子黒板でダンスなど。自由に遊んでいる。年末は、書写の授業も行った。3月は、屋外でのピザ作りを行う予定である。

<活動の成果>
・地域を歩き、街のキーマンと話すことで、「不登校」「家庭の養育困難」「老齢介護問題」など切実な課題に直面した。さらに、様々な事情が重なっての不登校が生まれることが分かった。つまり、複合的な要因が多いのだ。ヒヤリングを重ねることで、後日、情報提供や、相談につながったことは予想外だった。
・塾生の学習状況は、月毎に記録としてまとめて、学校長へ送付している。出席については校長(学校)判断である。また、児童に関係する教員へも同送している。学習記録には、家庭学習の時間や内容も含まれるので、児童理解の一助となっている。
・保護者との連絡は、LINEとメールを使用した。日々の様子を撮影し送付した。連絡を密に取ることができた。
・相談の窓口を多様にした。メール、相談フォーム、電話など、気軽に相談できるようにした。また、facebookやYouTubeで日々の活動を公開したことは、相談が増加する要因となった。
・これまでの相談者からのヒヤリングで分かったことは、塾のことを知ったきっかけは、①在籍校のスクールカウンセラー②教育委員会の学校担当SSW(スクールソーシャルワーカー)③主任児童委員④社会福祉協議会⑤療育センターのカウンセラー⑥在籍校教職員である。

<課題>
・保護者からの相談があっても、本人が引き篭もり気味のため、通塾には至らないケースがある。教育相談は継続したいものの、対面やオンラインも拒否されるケースもある。
・当初、2人で学習指導する予定であったが、人員の確保が難しかった。来年度は、通塾生の増加が見込まれるため、ボランティアを含めて増員予定。
・横浜市教育委員会のSSWさんからの相談が増加。嬉しい反面、港北区以外の地域からの相談者が増えた。

今後の展開

<アピールしたいこと>
・校長を辞して、約2年が過ぎようとしている。在職中に取り組んだ不登校児童生徒への学習支援を地元で行うという志をもって不登校児童生徒無償学習支援塾を開いた。最初の児童が通い出して、約9ヶ月。徐々に塾生も増え、一定の成果を得たと思う。幸い、本塾の所在エリアは、不登校に対する意識も高く、地域の大きな課題であると捉えている。それだけに、本塾に対する期待もあったと思う。福祉分野や子育て支援団体からも激励と協力を得ている。小さな取り組みであるが、横浜市内の各中学校区に一つずつ本塾のような小回りが利く「学習の居場所」が存在するといいと思う。本塾の取り組みがパッケージデザインとなって、市内に広がることを望む。

<今後の展望>
・町内会シニア層とのコラボ
来年度、相談数が増加し塾生が増える可能性が大である。現在の法人事務所=菊名和み塾では、狭くなるため、徒歩1分にある大豆戸町内会館をお借りして学習支援を行おうと考えている。すでに、町内会長、民生委員会代表に相談し、キリン財団の助成金申請を行っている。(採択結果は3月末に分かる)月水木の菊名和み塾での学習支援とは別に金曜日午前に町内会館をお借りする予定である。大豆戸町内会館は午前10時からシニア層が当番として常駐しており、見守り体制として心強い。
・教育系ベンチャー企業との実証検証事業
経済産業省事業「EdTechイノベーター支援プログラム(Edvation Open Lab:EOL)」のメンターをしている関係で、たくさんの教育系ベンチャー経営者と知り合った。彼らが必要としているのが、事業をブラッシュアップするための実証フィールドである。少人数で小回りが利く本塾を大いに活用してもらえればと思っている。経費や、設置については企業側負担を原則として、子どもたちに有効なシステムや環境が提供できればと考える。
・在籍校と定期的なケース会議の開催
現在、在籍校とは、校長へ月ごとの学習記録を送付している。出席認定に関しては学校(校長)判断である。より緊密に、当該児童生徒の状況を伝えるために、定期的に会合を持とうと思っている。校長、担任、児童支援専任などが対象である。

<財源の確保に向けて>
・現在は、無償で学習支援をおこなっている。持続可能にするためには、通塾費もしくは会場使用料という名目で会費を徴収する必要がある。現状、継続した助成金の見込みがないため、年度ごとの会計にならざるを得ない。不安定な状況は避けたいのもである。学習指導ボランティアを確保すること。そして報酬について金額設定など熟慮する必要がある。(もちろん、日常的に寄付は受け付ける予定である。)

添付資料