「地域助け合い基金」助成先報告

【個人】 大武 智惠

岡山県浅口市
生活支援

助成額

150,000円2023/07/12

助成⾦の活⽤内容

園や学校で手先の不器用さや感覚過敏、体幹の弱さに困り感や不安感を持つこどもが、支援の道具や工夫と出会い、体験することで「できた!」を今より増やし、自信につなげることが一番の目的です。
対象者は発達障害児、グレーゾーンのこども、身体障害児、保護者、教育関係者、療育関係者などで、市内の園や学校、関係施設にフライヤーを配布します。教育委員会に後援に入っていただく予定です。
コロナ禍で検診の延期や子育てサークル等の活動が制限されたことにより、多くの家庭が「孤育て」の状況に置かれていることが地域の課題となっています。
そこで、地域、県内の支援者が当日の運営ボランティアに入ることで、支援者と来場者が繋がりを持ち、相談できる場所が増えること、来場者同士が横でつながりを持ち、難しい子の子育てや孤育てからの脱却を目指しています。そのため、入場料は無料に設定します。

展示内容は以下の通りです。
・リコーダー補助シール  ・持ちやすい縄跳び  ・結ばない靴紐  ・マジックテープ制服  ・特性に配慮した文房具(鉛筆、消しゴム、筆箱、ノート、下敷き、定規、コンパス、はさみ、連絡ファイル等)  ・シームレス(縫い目のない)肌着  ・履きやすい上履き  ・ノイズキャンセラ  ・イヤーマフ  ・生理用品コーナー(ショーツ型ナプキン、吸収ショーツ、流せるナプキン、超吸収型ナプキン等)  ・デジタル教科書デイジー  ・読書補助グッズ  ・生活支援ボード  ・リュック型ランドセル  ・無料の生活支援アプリ

展示終了後の支援グッズ等は、この先も同じような困り感や不安感を抱えたこどもがいつでも体験できるように浅口市運営の「にじいろぱらそる」で保管します。

活動報告

個人的に大きな気づきとして、何かを企画、運営する時は「一人のほうが楽でスムーズ」だと思っていたが、今回のイベントを通して協同することの大切さを知った。一人では思いつかなかった視点での意見や、それぞれの得意な分野での運営をお任せすることで一人一人の負担が減り、より良いものに昇華するだけではなく、共同者全員が楽しいと感じてもらえるというとても貴重な経験ができた。

企画の段階から多くの協同者や賛同者と一緒に動けていたら、もっと良い展示会になったのだと思う。

教育委員会からの後援を取得するのに苦労した(個人企画のイベントへの後援の前例がなかった)が、賛同してくださった職員の方がなんとか後援が取れるようにと一緒に考えてくださったことも、課題の共有につながったと思う。結果として、県議、市議、市長、教育長が足を運んでくださり、実際に体験し、来場者や保護者と直接交流できる機会となった。実際に学習障害の方が多く来場されていて、なかでも読み書き障害についての支援グッズ展示に力を入れていたことで、読み書き障害について知らなかった方への普及につながった。

当助成金が採択された直後から多くの場面で告知をしていたが、実はこちらの手違いで申請が計画より大幅に遅れていて、イベント開催日の1か月前の採択となり、そこからの告知であった。
それにもかかわらず、賛同していただいた多くの方や事業の協力を経て、情報が広く届けられ、来場者は451名と大変盛況だった。

反省として、来場者が多かったことで会場が終始ざわざわしていて、聴覚過敏の方にとってはとても苦しい環境であったことがあげられる。そのことを想定して、来場者の時間を区切って、この時間は静かな時間という時間枠で区分して、聴覚過敏の方が安心できる環境を作ればよかった。
もう一つの反省として、1組当たりの滞在時間が長く、会場が密な状態になってしまったことがあげられる。館内で一番広い会場を借りていたが、同じ点数の展示をするならもう1つ部屋を追加で借りてもよかった。

当日お手伝いいただいた皆さんと打ち上げでじっくり話す機会に恵まれ、それぞれの抱く地域課題についての考えに触れ、このメンバーで地域にそれぞれの課題を包括できるような居場所を作ろうという方向になった。地域との協同をテーマに、それぞれの立場での困りごとをヒアリングしながら、地域資源を確認しながら進めていくので時間はかかると思うが、この工夫展をきっかけに素敵なご縁が生まれ、ここから新しいものがつくられていくのだと思うと、とても楽しみだ。

なにより、自分たちの住む地域をより良いものにしたい、誰もが安心できる地域にしたい、誰も排除されない地域にしたい、お腹が減ったままの子供をなくしたいという熱い思いを持っている仲間がこんなに近くに、こんなにたくさんいて、出会えたことがとても嬉しい。

また、出会えた方々は偶然ではなく、地域での活動を知ってくださっていた方や、私の講演を聞いて賛同くださった方、過去に本業の写真教室で出会った方々など、自分が今まで細々と続けてきた活動が今につながっていると思うと、これからのエネルギーになる。
恐らく、上記の居場所を形にしていくことはとてもエネルギーがいることで、みんな一人ではあきらめてしまうことなのだと思う。この縁がきっかけで大きな最初の一歩となったことに感謝している。

今後の展開

今回の工夫展が大変好評で、他の地域でも開催してほしいと声がかかっている。
アンケートにも同様の意見が多く、どうしても都合で参加できなかったので、もう一度開催を検討してほしいという声が多くみられた。
多くの来場者で、消耗品である筆記用具等は消耗しており、再度開催する場合は買い足す必要があるが、他の地域の方にも「できた!」を体験してほしいと思うので、他地域での開催を視野に入れている。

前回の反省をいかし、より良いものとするには説明POPの作り直し、会場スタッフの増員など気づいた点を改善したいと思うが、他地域で開催する際のコスト負担(人件費、会場費、告知費など)が大きな課題となる。

今回、自閉症の次男が当日のスタッフとして手伝ってくれたことをきっかけに、次男と地域の大人が繋がれた。
名前で呼び合うルールを設定したことで仲良くなり、その後当日のスタッフが地域食堂をお試しで開催した際に、次男が一人で地域食堂に遊びに行くことができた。
中学生が一人で遊びに行けるという事が地域のこどもにも伝わり、届けたかった貧困家庭にも地域食堂の情報が届き、こどもだけでおにぎりを食べに来るというケースにつながった。

そのことから、学校に行っていない児童や生徒が家族や学校の職員以外の地域の大人と顔見知りになることはとても大きな意味があると知った。
居場所支援をしていて学校に行っていない児童や生徒自身と話しをする機会が多く、多くの児童や生徒から「家庭でも肩身が狭く自分の部屋から出にくい」という声を聞く。また、欲しい物や必要な物があっても保護者に言いづらいと感じているこどもが多く、さらに娯楽品(マンガなど)は言い出せないという声も多かった。

この先、工夫展を各地域で展開するにあたり、その地域の学校に行っていない児童や生徒にグッズの説明という役割を短時間でも担ってもらうことで、地域の大人と顔見知りになる機会、また、自分が誰かの役に立っている経験や、必要とされている経験、一緒に何かをやり切る達成感や喜びの経験の場としたい。更に、手伝ってくれた子どもたちには正当なボランティア報酬として、多くの額ではなくても自分で自由に使える図書券やクオカードなどをわたせるような仕組みを作りたい。

自地域での開催を望む団体や機関、提供するこちら側、お手伝いくださるボランティア、いずれもが自費で大きな負担を捻出することなく、工夫展のグッズを体験できる仕組みができるようになればいいと思う。

最後になるが、来場したこどもたちの多くが園や学校で困り感を抱えているこどもであったが、工夫展の道具を試して「できた!」があちらこちらから聞こえたことが本当に嬉しかった。こどもだけではなく、保護者も笑顔で表情もキラキラしており、とても素敵な空間だった。開催できて本当によかった。助成というサポートをしてくださり、貴団体に心より感謝申し上げます。

添付資料