「地域助け合い基金」助成先報告

 花サカス

広島県廿日市市
居場所その他

助成額

83,000円2023/08/09

助成⾦の活⽤内容

・超高齢化社会の中、専門職(看護師・介護支援専門員・介護福祉士)として地域における認知症患者とその家族の相談の場、居場所の必要性を現場で感じサロン活動を始めました。また地域において百歳体操をはじめ、運動療法の取り組みがされていますが、私たちは心のリハビリと言われる「回想法」を取り入れることによりQOLの向上に寄与していきたいと考えます。

・回想法は記憶を思い出し語る事で人とつながり自己肯定感を高める認知症の非薬物療法として知られています。楽しい会話と脳トレ要素を使い進めていきますが、展開するには一定のトレーニングを受けることが大切となります。

・現在当会では一周年を迎え参加者が増え平均14~16名となっています。一方でスタッフ教育の面でスキルアップと社会のニーズに対応できる人員の確保が重要な課題となってきました。周知活動と人材育成のために専門の外部講師による回想法基礎講座・リーダー研修を開催することが必須であると考えます。

・それと並行して新しいリーフレットや講座のチラシの作成も計画しています。

活動報告

<活動報告>
助成金を活用して回想法に関する啓発活動とその活動を遂行するための人材育成を目的とする以下の取り組みを実施しました。
1、リーフレットの作成と配布。
助成金を使って当団体の活動を紹介するリーフレットを作成しました。地域サロンや包括支援センターなどに配布し回想法の理解を深めました。
2、人材育成や新たな協力者の獲得のための専門講座の実施。
遠方より回想法の専門講師を招き、「ご存じですか認知症予防に回想法」の講座を開催。講座のチラシを作成し、知り合いや関心を持ってくれそうな方々に直接配布。また30名定員を実現させるため地方新聞に掲載して参加者を募りました。

<成果>
地域の集会所や公民館、社会福祉協議会のボランティアセンター等にリーフレットを配布することで当団体の活動や回想法の取り組みに多少の関心が高まりました。また、回想法の講座に参加された方から活動に参加する意向の表明があり、新たな協力者を獲得できたことは大きな成果だと思います。
さらに、公民館へ直接リーフレットを持参したことがきっかけで、公民館主催の健康教室に講師として招かれ、地域の高齢者に回想法を紹介する機会を得ることができました。このように、助成金を活用することで私たちが目指す地域高齢者支援の体制強化とプログラムの持続性が高まります。

<課題>
講座を開催する大きな目的は地域高齢者の認知症予防に貢献するという私たちの思いに賛同して、一緒に活動するメンバーを集めることでした。しかし、参加した方の大半が介護の専門職であり、ボランティアとして活動する機会の少ない方々でした。無償での活動に熱意を示す方を見つけことは困難であると再び痛感しました。地域各所に回想法サロンを開設するためには、引き続き周知活動とメンバー募集に努め、地域高齢者の認知症予防と健康寿命増進に貢献したいと考えています。

今後の展開

花サカスの活動を2年間させていただき、多くの方と出会うことができました。介護の専門職として、また認知症家族の介護経験を通して地域サロンを開催し、回想法や介護予防の活動を実践できたことは私たちの大きな喜びです。

現在、日本の社会は8050問題、老老介護、遠距離介護、介護離職、少子化、ひきこもり、貧困など多くの課題を抱えています。介護の現場で高齢者自身から「迷惑をかけるから生きていたくない」といった後ろ向きな言葉が多く聞かれます。近年、介護の担い手不足などの問題から軽度の認知症の方が施設に入りにくくなり、自宅での家族介護も心身の負担が増大しています。このような状況下で、地域の役割がますます重要となっています。高齢者にとっては慣れ親しんだ地域に永く住めることが安心感をもたらし、社会参加も促進します。

回想法は一生懸命年月を積み重ねて生きてきた高齢者自身が自分を語ることにより、自己肯定感を高め尊厳を取り戻す療法であり、他者とつながりを強める効果も期待できます。私たちは、この回想法を地域の方々にさらに知っていただき、回想法サロンが広がることで認知症とその家族の方に、生きる喜びや地域とのつながりを感じる楽しい居場所を提供していきたいと考えています。
さらに回想法は認知症家族だけでなく、相手を理解することにおいて最適なコミュニケーションツールであり年代を問わずあらゆる人間関係において活用できます。人と人とのつながりが希薄になりがちな現在こそいろいろな場面で積極的に使っていただきたいと思っています。そうして、障害があっても認知症になっても安心して地域で暮らすことができ、それを支える優しい社会を目指すことが私たちの目標です。
まだまだ認知度の低い回想法ですが、今後は行政と協力して、住みよい社会の実現に向けて思いを持ち続け活動を継続していきたいと考えています。

添付資料