「地域助け合い基金」助成先報告

 ぐんま脳損傷者地域拠点プロジェクト

群馬県前橋市 ウェブサイト
居場所生活支援その他

助成額

150,000円2023/08/16

助成⾦の活⽤内容

群馬県では、高次脳機能障害のある人への支援において、これまでも病院と地域の連携が十分とは言えない状況でした。コロナ禍によって、一層、病院と地域のつながりは弱体化し、高次脳機能障害のある人や家族が孤立するリスクが高まっています。
当会についても、個別に県内の病院や事業所に連絡はしていますが、周知は十分に進んでいません。
そこで、本人や家族はもとより地域の支援者や市民を対象に、高次脳機能障害のことや当会の活動を広く正しく知ってもらうための活動をしたいと考えています。
具体的には、
①cocokara(ここから)オープン記念講演会(仮タイトル)
対象は、高次脳機能障害のある人、家族、支援者(医療、福祉、介護)、そして、一般の市民です。高次脳機能障害のある人が講師になり、自分の高次脳機能障害や生きづらさ、これまでどんな支援やかかわりが有効だったか、逆にどんな支援やかかわりが苦しみを助長させたか、地域にどんな社会資源や助け合いを望むか等をお話してもらい、その後、参加者が小グループで語り合う会を計画しています。当会についての説明も行います。

②評価報告会
高次脳機能障害のある人への生活支援では、その人の高次脳機能障害の症状や対応方法を本人だけでなく家族・周りの人たちが正しく理解し適切な対応をすることが重要となります。
当会では、本人の高次脳機能障害の症状、生活や仕事への影響、適切な対応方法などについて専門評価を行います。それを本人、家族だけでなく、地域の支援者、関係者(職場の上司や同僚、友人・知人、隣人等)と共有する場(評価報告会)をつくりたいと考えています(本人・家族同席のもと)。
評価報告会の目的は本人を中心とした連携体制の構築ですが、結果的に地域の支援者間の顔の見える関係作り、支援者への支援につながると考えます。

活動報告

私たちは、群馬県前橋市で、高次脳機能障害のある人の社会参加と回復を支える居場所cocokaraを運営しています。会を立ち上げて1年ちょっと、まだ実績も少なく、地域の中で私たちのことを知っている人も少ない現状です。そこで、会のことや活動内容を知ってもらうため、次のような事業を計画しました。

一つは、講演会『高次脳機能障害ってなに? 当事者の声から学ぼう!』の開催です。
「高次脳機能障害?聞いたことがない」、「障害なんて自分とは無関係」と思っている方も多いと思います。しかし、高次脳機能障害はいつ誰がなってもおかしくない障害です。「高次脳機能障害について知ってほしい」、「自分ごととして考えてほしい」、「そう考えることが障害への備えになる」、「高次脳機能障害で困っている方がいたらcocokaraという場があることを伝えてほしい」という想いから講演会を企画しました。
講演会では、高次脳機能障害のある2人の当事者の話、小グループでのグループワーク「みんなで語ろう」、cocokaraの紹介などを行いました。当事者の方たちは、「私の経験が役に立つなら」と快く承諾してくれました。
定員は40名。当初は、何人の方に参加して頂けるだろうかと不安でしたが、41名の方から申し込みがありました。当日は欠席される方もいましたが、飛び入り参加や一部参加の方も含めると39名(当事者5名、家族12名、支援者16名、一般6名)の方にいらして頂きました。周知を手伝ってくれた、行政・医療・福祉の関係者、そして、生活支援コーディネーターには感謝の想いでいっぱいです。
終了後のアンケートでは、30名中29名が「非常に満足した」「満足した」と回答しました。また、「当事者の話が聞けて良かった」、「地域社会の中で当事者が生きやすくなれる希望を感じました」、「当事者のお話により希望が持てた」、「もっと勉強したいと思いました」などポジティブな感想が数多く寄せられました。当事者が語ると、多くの人に想いや共感を運ぶことができる、と実感しました。
この講演会をきっかけに、地域の事例検討会への参加、高次脳機能障害の当事者会発足への動きなど、地域の中に新たなつながりが生まれつつあります。

二つ目は、高次脳機能障害の評価報告会です。
生活や仕事に及ぼす高次脳機能障害の影響を最小限にするためには、その人の「できないこと」を軽減することも大切ですが、それ以上に「できること」を生かせる環境作りが重要です。でも、「できること」って何でしょうか?それを探すために、当会の専門職による評価を行っています。
評価は、面接、行動観察、神経心理学的検査などによって行います。神経心理学的検査には検査器具が必要です。今回の助成金を活用して、いくつかの器具を揃えることができ、幅広い評価が可能になりました。評価を行ったら、それを当事者、家族、支援者、関係者と共有するのが評価報告会です。遠方の場合など、私たちが出向いて行うこともあります。そこで、当事者にとって最も適切な環境や対応の仕方について、当事者を中心に皆で話し合います。
評価報告会の結果、その人に、より合った施設に移行した方もいます。

居場所cocokaraを拠点にして、地域の中に顔の見えるつながりが少しずつ生まれてきていると感じます。これからもゆっくりと着実に地域の中に根を張って「この地域になくてはならない存在」と言って頂けるよう頑張ります。

今後の展開

ぐんま脳損傷者地域拠点プロジェクトは、地域の中に高次脳機能障害についての正しい理解を拡げ、高次脳機能障害のある人の味方を増やしたいと活動しています。このため、主に、高次脳機能障害のことを知ってもらう活動、及び、高次脳機能障害のある人が安心して通える居場所cocokaraの運営を行っています。

今回の講演会を通して、高次脳機能障害を理解してもらうためには、当事者の語りにまさるものはないと実感しました。どんな専門家にもできない、理解と共感の輪を拡げる力があります。今後は、当事者メンバーが中心になって、高次脳機能障害への理解を拡げるイベントを企画、実施できることを目指しています。そのためにも、一緒に活動してくださる方を大募集中です。「ほおっておけない」「こういう活動が好き」という方、どなたでも大歓迎です。

また、今は任意団体ですが、今後はNPO法人化を考えています。オンラインなどで全国の方々ともつながりたいと考えていますので、ご興味のある方はぜひ私たちのホームページをご覧になってください。
自由に、楽しく、のびのびと活動していきたいと思っています。
URL : https://gunma-koujinou.net
どうぞよろしくお願い致します。

添付資料