活動報告
北から南から 各地の動き
さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。
2025年2月1日~2月28日分
SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出
住民に参加を呼びかける支援
(住民対象のフォーラムや勉強会の支援等)
香芝市(奈良県)
2月2日
香芝市で開催された今和6年度ボランティア養成講座「セカンドライフいきいき講座」に講師として協力した。全3回のプログラムで、今回はその1回目。市内における支え合い活動の普及、またシニア世代の生きがいある社会参加の促進を目的として、市民40名ほどが参加した。チラシや呼びかけに加え、市公式LINEでの呼び込みにより、飛び入りの参加者もいた。
当財団の基調講演は「生きがいをもったおたがいさまの支え合い」と題して、日本の現状、地域包括ケアシステム、社会参加・介護予防・生活支援、事例紹介について話した。参加者への問いかけにたくさんの発言があるなど参加者からは関心の高さがうかがえた。社会参加しながらお互いさまの気持ちで助け合う関係を構築しようと呼びかけ、事例として、群馬県高崎市の居場所参加者の様子と声を動画で紹介した。
講演後は「助け合い体験ゲーム」を実施。違う地区の知らない人同士でのグループで行った。
最後に財団より「地域活動は一人ひとりの個性や得意なことが生かせる場で、困ったときはお互いさまで助け合う香芝市を目指しましょう」とメッセージを送った。
参加者の中にはすでに活動している市民もおり、今回の講座をきっかけにその輪が広がっていくことを期待したい。(目﨑 智恵子)
和歌山県
2月15日
当財団の和歌山県ブロック主催のフォーラム「第2弾さわやか地域づくり交流会『こども・まんなか社会にむけて』」開催され、地域の活動者、SCや活動をしようとしている住民など約50名、さわやかインストラクターの市野弘氏、紙谷伸子氏、高林稔氏、財団の助け合い推進パートナーの土山徳泰氏、中村吉伸氏、財団・清水肇子理事長、目﨑、窪田が参加した。
市野氏のあいさつの後、清水理事長が基調講演。「『こどもまんなか社会にむけて』~誰もが自分を生かして幸せに暮らせる地域づくりをすすめよう~」と題して、人生100年時代になったが、そのポイントは「いきがい」である。違いを認め合う多様性、皆が対等でお互いさまの双方向、そして尊厳が保持されることが重要、と話した。さらに、参加者に配布した財団の「ともあそび」ツールを紹介しながら、共感力を育む例や複数の居場所事例について話し、具現化に向けてのヒントを提供した。
後半は、高林氏がファシリテーターを務め、県内実践者3名が登壇しての座談会。冒頭、県こども家庭局こども未来課課長・戒脇伸晃氏から、こども食堂のあり方、意義、補助金、今後の方針(計画)について説明があった。「介護相談センターピース&ピース」西原加奈子氏は、自然農業をきっかけに地域住民のつながりを構築していると報告。「NPO法人砂山バンマツリ」樫原雅忠氏は、「共に自然に触れて楽しみながら人間力(豊かな心)を養う」という方針の下、地域でつながりの輪を広げるために野菜作りをしていると報告した。それぞれが地域課題解決に向けて、子どもや大人が交流し地域でいきいき暮らせるよう取り組んでいることが伝わった。
最後に清水理事長が「みんなで考えることが重要。自律心を育むために今後どうするかは、我々が考えなければならない。子どもが自分で答えを見つけられるようにどう導いていくかを考えることは大人の成長にもつながる。共感力、創造力を育めるよう、みんなで取り組みましょう」と締めくくった。(目﨑 智恵子)
三芳町(埼玉県)
2月25日
三芳町で「第4回 町をあげてみんなで支え合うまちづくりフォーラム」が開催され、当財団の清水肇子理事長が講師を務めた。
協議体委員長の開会あいさつに続き、第1層SCより町の現状について説明が行われた。三芳町で協議体が発足して9年。発足時にもフォーラムを実施したが、安心して暮らしていくためにはちょっとした地域の助け合いが必要である。子ども食堂、通いの場、小学生が高齢者を見守る活動などが創出されたが、これからも子どもから高齢者までお互いにできることで支え合う地域づくりを進めていたいと思っている。今日をきっかけに世代を超えて助け合いをさらに広めていきたい。明日から何かやってみたいというものを1つでも持ち帰ってほしい」と同町の関口和宏SCが話した。
続いて清水理事長が「お互い様の支え合いがある地域活動の推進~支援につながるしくみづくりと人と人とがつながるしくみづくり~」と題して基調講演。いきいきと自分らしく暮らしていく仕組みづくりのためには、つながる・つなげる「場」をつくることが必要で、地域の情報共有が大切である。人生100年時代になり、互いの尊厳をベースにしながら、お互いの違いを認め合い、双方向性での支え合いを進めていくことが必要である、と話した。また、財団ツール「ともあそびへのおさそい」「どう遊ぶ?QA」を紹介して、地域で子どもに目を向けることが現在行っている活動を広げることにもなる、と伝えた。また、「いきがい」と「主体的な参加」がキーワードになると話し、岐阜県各務原市八木山地区ささえあいの家、東京都江東区砂町よっちゃん家、新潟県新発田市川東いきいき大作戦、神奈川県川崎市夢パーク等を事例として紹介し、「これからも誰もが生きがいを持てるあったかい地域をつくっていこう」とまとめた。
第2部では、「支え合い活動を実践する人の想いとは!?」と題して、2名の登壇者と関口SCがパネルディスカッションを行った。埼玉県川越市新宿町5丁目自治会会長の荒木浩子氏は、『域活き!あら5』と題して、生活支援やさまざまな集いの場などの当自治会の活動を紹介。自治会が地域共生社会をつくっている様子を10のポイントとともに紹介し、「自治会は福祉である」と話した。三芳町「おたがいさまの会」代表の菅原法子氏は、日常的に行っているちょっとした困り事や移動の助け合いをお互い気兼ねなく行うために、地域で支え合えるしくみをつくりたいと、有償ボランティアによる活動を立ち上げた。
関口SCは「素晴らしい活動を紹介すると同時に、始めたきっかけを共有したいと思った。困った人を助けることで相手が気兼ねしてしまうことを何とかしたい、と有償ボランティアにしたきっかけなどを知ってほしかった。参加者の皆さんも、できることでサポートする側にまわっていただきたい」と話した。清水理事長も「今日紹介された活動をヒントに、何か一歩踏み出せないか考え、進めていきましょう」と呼びかけ、締めくくった。(岡野 貴代)
SC研修・情報交換会等に協力
福井県
2月5・6日
SC同士の意見交換と交流によって取り組みの推進と充実することを目的とした「令和6年度生活支援コーディネーター情報交換会」が福井県主催で開催された。この情報交換会は、参加者の話しやすさ、集まりやすさ等を考慮し、県内の嶺北地区(5日)と嶺南地区(6日)でそれぞれ同じプログラムで開催。当初は現地集合研修の予定だったが、雪の影響でオンライン開催に変更された。
今回は、三重県紀北町の第1層SC山口淳氏(紀北町社協)も事例紹介の講師として参加しており、活動創出への取り組みのプロセスとSCになってからの気持ちの変化などを伝えていた。同町の取り組みは、担い手発掘を目的として「ささえ合い講座」をきっかけに、住民有志で「みらい塾」(地域課題を考える話し合いの場)を立ち上げ、その後の居場所開設につながっている事例で、分かりやすい説明で参加者の参考になった様子。「自身の市でのボランティア講座の内容を見直したい」という声も出ていた。
後半のグループワークでは「活動創出の具体的な取組方法」について意見を出し合ってもらった。財団からは「他市町の事例をそのままコピーして実行するのではなく、良い部分を自分の担当地区に合うよう調整することが大事」と伝えた。(髙橋 望)
京都府
2月14日
京都府で、府内のSC数名からなる情報交換会実行委員会が主催して「みんながつながる情報交換会vol.4」が開催された。参加者は約30名。
開会あいさつでは、久御山町SCの松下一恵氏より「自分もSCになったばかりの頃は分からないことだらけで、SC同士のつながりがとても心強かった」と情報交換会の意義を説明。京都府のさわやかインストラクター古海りえ子氏は、地元・精華町での自団体の活動について話し、「この情報交換会でつながりをつくり、悩みや困り事を共有してほしい」とメッセージを送った。
続いて、全員の自己紹介。全員分の自己紹介シートを配布し、スクリーンにも投影した。1人ずつ所属、経験、今頑張っていること、悩んでいることなどプロフィールを発表して交流の第一歩とし、さらにランチミーティングで交流を深めた。
後半はグループワークを1時間×2回行った。1回目と2回目でメンバーを入れ替え、テーマを決めずに「聞きたいこと」「困っていること」「助言」等それぞれが好きなことを話し、大変盛り上がった。
発表では「地域ごとにやり方が違い、大変勉強になった」「SCは地域の中からつくらないとあかん」「義務感(やらされ感)は相手に伝わる」「失敗なんてない」等の意見があった。
情報交換会に初めて参加した住民SCの瀬戸享明さん(宮津市第2層SC)の「地道な活動は大きな飛躍はないが、着実に進んでいることを理解してほしい。各地域で住民にどう働きかけるか。協力し合っていこう」との言葉に他のSCは元気づけられた様子だった。
SC同士がつながり、助言やノウハウ、ヒントを持ち帰ることができた情報交換会となった。(目﨑 智恵子)
長崎県
2月19日
長崎県主催の「テーマ別研修会」が開催された。県内市町からSC、協議体、自治体職員ら約75名、また、県からも企画官や課長補佐、担当職員などの本庁職員や県保健所職員も参加した。
有償ボランティア「つんなむの会」(時津町)、共生型居場所「協和(今日は)よんなっせ」(波佐見町)、買い物支援「買い物支援サービスあたご」(東彼杵町)と、いずれも住民主体で取り組んでいる実践者とSCの報告に加え、SCの働きかけ等を通じて民間企業と連携した買い物支援を実施している事例の紹介(長崎市)が行われた。
生活支援体制整備事業が始まり10年目、県内でそれぞれの地域の実情に沿った助け合いが広がっている。参加者が多く「他のまちの取り組みを知りたい」という関心の高さもうかがえた。また、県福祉保健部長寿社会課課長の中村直輝氏からは、生活支援体制整備事業の重要性と「事業をムーブメントにしたい」とバックアップしていきたい思いも語られ、参加者のモチベーションも上がった様子だった。
発表後には活発に質疑応答が行われ、財団も各事例の良い点をポイントとして挙げたり、他県の事例を紹介したり、また、発表者に質問することで理解が深まるよう支援した。助け合い創出に向けてどんな仕掛けをし、その気になった住民をどう見つけ、立ち上げに向けてSCらはどう関わっていくのか、生まれた活動をどう地域に広げていくのか、それぞれのまちのやり方を学び合う機会になったようだ。(鶴山 芳子)
大阪府
2月25日
さわやか大阪ブロック主催、大阪府共催、当財団協力で「第2回本音で語ろう!!情報交換会2024~確認とラストスパート編2~」が開催された。テーマは「確認」と「ラストスパート」とし、1年の締め、自身のSCとしての立ち位置等確認、情報交換などを目的とした。参加者はSC・行政職員計29名で、奈良県からも数名が参加。その他、財団のさわやかインストラクターと助け合い推進パートナーも参加した。
この日の進行担当で助け合い推進パートナー田中樹子氏の開会あいさつに続き、さわやかインストラクター寺井正治さんが「フランクに話ができる交流会なので、積極的に発言してほしい」とあいさつ。
府からは、3月開催予定の「ええまち大交流会」「大阪ええまちプロジェクト研修会」のお知らせがあったほか、各市町村の取り組み情報一覧を配布して説明と情報提供が行われた。
最初のプログラムはセルフチチェック。自身のSCとしての心構えや地域の現状、知識をチェックし、自身のできていることと未熟なことを確認した。
同府藤井寺市SCで財団の助け合い推進パートナーでもある羽根武志氏の進行によるアイスブレークの後、グループ分けをしてワークを実施。「みらいシート」を基に自己紹介、前任者からの引継ぎや経緯、悩み等を話し合った。発表では、「シートを見ながら業務の課題が確認でき、他の人の話を聞いて足りないところが浮き彫りになった」「住民目線での取り組みを参考にしたい」「都市部との違いがあり、参考になった」等の声があった。
同じく助け合い推進パートナーの永濱旭氏(同府枚方市)によるアイスブレークの後、「市町村における地域共生社会推進」と題した財団のミニ講座。『さぁ、やろう』26号に掲載された「いきがい・助け合いオンラインフェスタ2024」の特別トークを参考に、社会保障、伴走支援、自助、公助、フレイル予防、フレイルサポーター活動、多様性を認め合う多元的な社会、といったキーワードを示しながら課題や対策を伝え、SCとしての心構えや役割を示した。
2つ目のグループワークは同じく助け合い推進パートナーの新宅太郎氏(同府吹田市)の進行で、生活支援体制整備事業の進め方を皆で考えた。「カレーライス作りで体制整備を考えよう」と題し、SCの仕事をカレーライス調理の過程に置き換えて考えた。①意見の発散・収束のタイミングを意識 ②出された意見は次回の検討会に生かす ③優先順位を決める ④冷静に5W1Hは最後に決める ⑤お客さんをつくらない(全員に役割を振る) ⑥SCはマネジメントを意識する ⑦小さな仕組みをアウトプットする ⑧必ず振り返りをする。このような流れで事業の手順を整理した。また、合意形成のプロセスとして、SCが活動するまでを図で提示した。発表では「手順が確認できた。料理で例えると分かりやすかった」といった前向きな意見が出た。
最後には自由に話をする時間が設けられ、参加者同士が意見や情報を交換していた。
締めとして財団より「みんなで大阪を元気にしていきましょう。今日できた仲間を大切にしてほしい。みんなで連絡を取り合ってやっていきましょう」とメッセージを送った。(目﨑 智恵子)
協議体の活動・編成等に協力
東大和市(東京都)
2月7日
「令和6年度第3回東大和市地域包括ケア推進会議専門部会の生活支援体制整備事業部会(第1層協議体)」で当財団が講師を務めた。東大和市の第1層協議体は年3回実施。2024年度新たに着任した委員もおり、あらためて生活支援体制整備事業について説明してほしいとの依頼を受けて協力した。
医師、リハビリ職、ケアマネジャー等の専門職の会からの委員も参加していることから、助け合いがなぜ必要なのかとあわせて、助け合いは人の役に立つだけでなく、自身の心身の健康づくりにも役立つことを話し、また、商工会や社会福祉法人なども参加していることから、活動場所の提供、人材での支援、集客等、それぞれの立場を生かして住民活動を応援してほしいことなども話した。
講演に続き、これまでの第1層協議体の活動(マップ作成、講演会開催等)、第2層協議体の活動が各SCから紹介された。
最後に、各委員から質問や感想を挙げてもらった。「支援する側・される側でなく、誰もが参 加する地域をつくっていきたい」「介護保険を使う手前の人やお元気な高齢者もたくさんいるので、元気な方の活躍の場ができる場所があると良い」「訪問しているときに、近隣の関わりが薄いと感じるので、体操だけでなく茶話会も行うなど、地域のつながりのために先を見つめて進めていきたい」等、意欲ある意見が挙げられた。
まとめで行政より、「第2層協議体が中心に助け合い活動を進めているが、課題も多い。第1層協議体にも知恵を拝借しながら、特に第2層協議体が中心に進めている居場所づくりを支援していきたい」と話があった。また、第1層協議体による第2層協議体の視察も予定していることが案内され、現場を見ることにより具体的な第1層協議体による第2層協議体の活動支援につなげていきたいとの趣旨。今後の同市の協議体の動きに期待したい。(岡野 貴代)
筑西市(茨城県)
2月20日
筑西市生活支援体制整備事業第1層会議に参加した。参加者は、第2層協議体委員および地縁関係者、ボランティア団体。第1層SCは茨城県のさわやかインストラクター小松崎登美子氏、第2層SCは協議体の住民が務めている。第2層協議体は7圏域で毎月開催されており、メンバーは市社協、包括、民生委員、シルバーリハビリ体操指導士、社協ボランティア登録団体、自治会、高齢者クラブなどで構成されていて、第1層SCによる推薦および自薦であるとのこと。
行政あいさつの後、当財団より「生活支援体制整備事業の必要性と役割について」と題して講演を行った。なぜ助け合いが必要かについて話した後、事業の概要、他市町村の協議体の取り組み事例を紹介し、今後も地域の声を聞きながら、必要な活動を創出・拡充してほしいと話した。
その後は、「地域について考えてみよう」をテーマに第2層圏域ごとに話し合った。
最後のまとめは小松崎氏が行った。同市では、居場所・サロンづくりに話題が集中している。人とのコミュニティの大切さを認識している表れであると思う。ある地域では、自治会長、民生委員、健康増進委員など多種多様な人が参加し、集いの場のプログラムも事欠かない。またある地域では、会食したいけど場所がないという声が上がったが、広い家に住む一人暮らしの人が「家を使ってほしい」と申し出て、課題が解決した例もある。集いの場には、住民からの日頃の困り事などの課題が出るので、その場で出された課題は協議体に持ち帰って話し合ってほしいと伝え、集いの場の創出を中心とした助け合いの拡充を呼びかけた。
市社協地域推進課係長の井伊左生子氏は、「グループを回りながら、地域の課題が聞こえてきた。皆さんと共に支え合いの地域づくりを進めていきたい」とまとめた。
アンケートは、協議体への参加申込書も兼ねており、今後協議体の協議体への参加者を増やす工夫もなされていた。(岡野 貴代)
大野市(福井県)
2月20日
大野市では公民館圏域で計8つの第2層協議体が活動している。今回は市内で2番目に編成された協議体「やさしい小山ささえ愛隊」(小山地区)で勉強会が行われ、当財団が協力した。この協議体ではこれまでさまざまな取り組みを行ってきているものの、少し行き詰まりを感じているとのことで、協議体メンバーからの要望で今回の勉強会が開催されることとなった。
勉強会でのテーマは「移動支援」と「居場所開設」。「移動支援」については、地区内で現在、住民ドライバーが自家用車で送迎する助け合い移送の実証実験(どのくらいの利用があるか)が行われているところで、その後の取り組みについての相談。運転者講習等の費用はこれまで市の共助型移動支援事業補助金が充てられているが、小山地区では実証実験の結果に関わらず、ニーズがあれば地区の取り組みとして移動支援を続けていきたい意向で、どのような形で継続していくかについて意見交換が行われた。財団からは先行事例を紹介しながら、総合事業B+Dを活用することも提案した。
「居場所開設」については、数人の女性メンバーが「自ら立ち上げ、すぐにも始めたい」という想いだが、協議体として進めてよいのかという相談。財団からは、協議体の役割と地域活動そのものは異なることを説明した上で、協議体のメンバーとなっている住民が協議体活動と地域活動の両方を行うことがあってもいいことを伝えた。その分、負担が大きくなりがちなので、一緒に動いてくれる人を見つけていくことがポイントであることを共有した。(髙橋 望)
敦賀市(福井県)
2月22日
敦賀市ではこれまで3地区(公民館圏域)で第2層協議体が立ち上がっている。協議体のメンバーからは以前より「他の協議体がどういうことをやっているのか聞いてみたい」という声が上がっていたこともあり、各協議体の取り組みを共有し意見交換を行う「合同交流会」が企画された。
交流会は、参加者自身が「動きながら交流する」ことで前向きな気持ちになってもらうことを狙い、ワールドカフェ方式を参考に行われた。グループワークのテーマは「どのように仲間(担い手)を増やしていくか」で、参加者は途中で一度グループから離れ、移動先の別グループでの協議内容を持ち帰り、元グループで共有し協議を続ける方法とした。財団はまとめのコメントを行った。
参加者からは「協議体をスタートした当時の気持ちを思い出した」といった声も上がっており、協議体発足当初のような前向きな空気に包まれていた。(髙橋 望)
天童市(山形県)
2月25日
天童市第3中学校区における第2層協議体の体制づくりに向けた勉強会の3回目が開催された。最初に天童市第1層SCより、2回目の勉強会の振り返りとして勉強会の様子や地区ごとに話し合った「目指す地域像」について共有があった。続いて、「第2層協議体はどんなことをするのか?」をテーマに当財団が講演を行った。一言で言えば「第3風学校区の中に助け合いを広げること」とし、具体的には目指す地域像を共有し、その実現のために地域ニーズを掘り起こし、ニーズを解決するためのつながりづくりや仕組みづくりをする。また、そのためには住民への理解を広げることが重要で、他地域では自治会や集落など小さな単位で座談会を開いたり、中学校区内でミニフォーラムを開いたり、第3層として活動している人たちに集まってもらい情報交換会をしたりしている。さらに住民主体の助け合い活動(第3層)を立ち上げ、モデルとして圏域に広げている地域もある、と各地の事例を交えながら「実践する:第3層、広げる:第2層」を伝えた。その後、グループワークで目指す地域像を実現するための協議体メンバーについて意見を出し合った。今回3回目となり、これまでについても振り返りながらさまざまな意見や気づきが出されていた。第3中学校区には4地域あり、4つの地域もそれぞれ特徴がある中、「中学校区で分けるのは広すぎるのではないか」という意見や、これまでの経験から「ガチガチにならないように」「世代間ギャップもあり、地域ニーズの解決は難しいのでは」「必要性は感じたが、やらされ感が残り長続きするだろうか」など。グループの発表を受けてさわやかインストラクター加藤由紀子氏の前向きなコメントと共に、財団からもコメントした。アンケートとグループワークで、協議体への参加意志と推薦を受け、また、参加者の反応を見て、行政、社協、包括、SC、インストラクターで協議体立ち上げに向けて議論する。3月10日には第3中学校区の第2層協議体がスタートする予定。(鶴山 芳子)
岬町(大阪府)
2月27日
岬町で町社協主催「令和6年度第2回岬町生活支援・介護予防サービス協議体会議」が行われた。10月に開催された第1回の振り返りや今後の方向性・展望を確認することが目的で、参加者は第1層協議体メンバー20名ほど。
行政より、「2016年から協議体ができ、10年で大きく発展してきた。支え合い活動が進んだ。さわやか福祉財団にも支援をいただき、府内でも注目されている。今後は第2層SCを配置し、第1層・第2層SCを中心とした地域活動の展開等、住民主体の活動をより充実させるために皆様と協力していきたい」と話があった。
協議体委員長が、岬町まち歩き見守り声かけ訓練(淡輪)の結果を説明した。地図や資料を配布し、参加者から気づきや意見、感想が出た。
第1層SC中家裕美氏からは、住民主体による持続可能な生活支援の充実・拡充を目指した20年度からの過程の振り返りが行われた。活動している中で、90歳の住民から相談を受け、活動団体と共に有志による訪問型サービスD「かご屋」ができた。現在、試験運用中でSCも後方支援していく、とのことだった。
当財団の講義は「自立した日常生活を望む暮らし 本人の力を引き出す支援」と題して、地域包括ケアシステム、社会参加、介護予防、生活支援について話した。社会参加すること、多様なつながりがある人は認知症やうつ病のリスクが低い傾向にあることも伝え、人とつながり孤立しないことの大切さを説明した。
グループワークは、「地域にあったらいいな」を皆で考えた。
最後に財団より「とても良いアイデアが出た。集会所や公民館だけでなくいろいろな場を見つけてみよう。声をかけられるのを待っている人もいるので、どんどん周りに声をかけて輪を広げてほしい」とメッセージを送った。(目﨑 智恵子)
地域ケア会議に協力
戸田市(埼玉県)
2月12日
戸田市第2回新曾地区地域ケア会議に協力した。参加者約35名。
同市の地域ケア会議は、町内会長、老人クラブ、介護保険事業所、民生委員等の地域住民など多様な主体が参加し、地域の課題や地域でできることを話し合っている。各包括では、地域ケア会議の中で住民や地域の事業所、企業などが参加し、地域課題を洗い出し、地域に必要な活動や地域でできることのヒントを得て、地域に持ち帰って話し合うためのきっかけづくりを行っている。
今回参加した新曾地域包括支援センターの地域ケア会議では、これまで地域をごちゃまぜにして話し合いをしてきたが、今回は近い地域ごとにグループを編成し、地域ごとの特徴を踏まえてより深い話し合いができるよう工夫を行った。
最初に、新曾地区包括支援センターよりこれまでの振り返りを行った後、当財団より助け合いの大切さの説明と各地の助け合い活動の事例共有の講義を行った。続くグループワークでは講義を聞いて感じたことを共有し、地図を広げて自分の地域の特徴を振り返り、課題や資源を確認。非常に活発な話し合いが展開された。
全体発表による共有では、サロンに来るまでの移動手段がない、新旧住宅地との交流がない、生活支援の助け合いを町会でやるかどうか検討する必要がある、倉庫街に新たにできた住宅地なので町内に店がない、新しい家・マンションが多い、町会が縦に長く会館が南側にあり北側の人が集まりづらい、有償ボランティアは無償よりも活動しやすいのではないか、など、同地区同士の話し合いならではの、地域の特徴やそこから見えてくる課題が上がった。
コメントで財団より、有償ボランティアについて触れ、少額の謝金を介することでお礼を気にせず頼むほうも頼まれるほうも気持ちよく活動できるといった有償ボランティアのメリットを話し、今回のグループワークから得た気づきをそのままにせず、それぞれの地域で次につなげるための話し合いをしてほしい、とまとめた。
2月17日
戸田市東部地区地域ケア会議で当財団が講師を務めた。参加者約20名。
この地域ケア会議は、これまでの課題の洗い出しを踏まえ、事業所や企業にも協力を求めたいという意向があり、民生委員やボランティアなどの住民に加え、商店やコンビニ、福祉有償運送の関係者等にも声をかけ、さまざまな立場から地域でできることを共に考える場として開催された。会議はさまざまな団体に広く参加してほしいと、17日と21日の2回に分けてほぼ同じ内容で実施され、財団はそのうちの17日に協力した。
冒頭で東部地域包括支援センター長が、あいさつも兼ねて包括として把握している地域の課題について説明。東部圏域の課題は、移動販売で日用雑貨が販売されていない、バス停が遠い、交通量が多く外出しにくいなど。比較的都市部ではあるものの、生活に必要な買い物がしづらいことや、公共交通機関のみでは外出が難しい現状が見受けられ、こうした課題を解決することで高齢者の生活の質向上につながると述べた。
続いて財団より、助け合いの重要性と、企業が参加する地域の助け合い事例の紹介など講演を行った。
その後のグループワークは、「地域課題を解決するために自分たちでできること」「その活動を具体化するために何から始めるか」について話し合われた。立場が異なる参加者が多かったため、まずは個人で考えた後、グループで共有した。今回はアイデア出しが目的であり、実現の可否は問わないことを伝えたことで、お互いにアドバイスし合う場面や協力できそうなことの情報共有が見られ、活発な意見交換が行われた。さらに、「何から始めるか」をテーマに、初めの一歩を意識した具体的な行動を考えた。
発表では、「できること」として「場所の提供」「ちょっとした手伝い」「あいさつ」「書類の整理や記入の代行」「手芸教室の開催」「車やドライバーの提供」「スマホの操作支援」などが挙がった。
「何から始めるか」については、「困り事の聞き取り」「地域の団体への宣伝」「声かけの実施」「デイサービスでのごみ出し支援」「チラシを作成しての宣伝」「あいさつの実践」「キッチンを活用した手作りのおかずの提供」などが挙がった。加えて、こうした活動を始めるためには「住民の声にしっかり耳を傾けることが重要」との意見もあった。
まとめとして、東部地域包括支援センターから「地域の団体が集まり話し合うことが、地域づくりやネットワーク形成の第一歩であると感じた」と、企業・団体を含めた地域のつながりの重要性が強調された。グループワークに参加した行政担当者も「それぞれの強みを生かし協力することで、地域課題を解決できる可能性が高まる」と話し、引き続きの参加を呼びかけた。
住民や地域の多様な団体も参加する地域ケア会議を推進している戸田市東部地区。今後もこうした機会を生かし、専門職と企業を含む地域が連携を深め、課題解決力が向上していくことに期待したい。
* * *
地域課題や住民でできることを話し合っている戸田市の地域ケア会議。地域ごとに集まってのグループワークでは活発な意見が出ており、参加者の地域への強い思いが感じられる。発表はどれも日頃から地域に目を向けているからこそ見える気づきで視点が素晴らしく、今回の話し合いを機会に地域での話し合いにつなげ、地域活動がさらに充実・発展することを期待している。(岡野 貴代)
居場所やサロンの交流会等に協力
猪名川町(兵庫県)
2月12日
猪名川町は、一般介護予防事業で「通いの場」を広げてきているが、健康教室型、脳トレタイプ型、自宅開放型、サロン型などタイプはさまざまである。これまで通いの場同士が連携したことはなかったが、「みんなでつながろう!」をテーマに今回初めて一堂に会して交流し情報交換をすることでモチベーションを上げようと、「通いの場フェス」を包括、町社協が企画し、当財団は講師として協力した。
プログラムは、第1部として財団から「つながる ひろがる 通いの場!」をテーマに講演。居場所の必要性を伝え、居場所とは何か、居場所の効果を共有し、「長く続くコツ・大事なポイント」「様々な事例からヒントを見つけよう!」「つながりについて」をキーワードに全国各地の事例を紹介しながらそれぞれの内容を伝えることとした。
第2部は活動紹介。4つのタイプの通いの場(サロン、健康長寿体操教室、脳の健康教室、いきいき百歳体操教室)が発表。当財団はコーディネーターとして、とても良い点を伝えながら、悩みや継続してきてよかったことなど聞き出して共有した。第3部は交流会とし、グループワークで①今日の感想や気づき、②やってよかったこと、行ってよかったこと、③こんな通いの場があったらいいな! について話し合った。終了後、会場の出口で「さっそく知人に声かけして、できることを相談してみよう!」との声もあったとのこと。全国各地でさまざまな通いの場や居場所、サロンが広がっていく中、猪名川町のように一堂に会して情報交換をしながらネットワークづくりを推進していくことの大切さを実感した。参加者のモチベーションアップになった企画であった。(鶴山 芳子)
茅ヶ崎市(神奈川県)
2月3日
2050年には高齢者の6人に1人が認知症になると推計され、サロン等地域活動においても認知症高齢者への対応や予防が重要となっている。そのような中、茅ケ崎市でサロン実践者を対象に、活動での困り事や今後運営していく上での心配事について意見交換し、認知症の理解を深め対応策を学ぶためのサロン交流会が開催された。市内に70ほどあるサロンから30団体・60名以上の参加があった。
行政からのオリエンテーションに続き、当財団が「サロン支援者として 知っておきたい認知症のこと 誰もが自分らしく居られる場所づくり」と題して講演した。始めにサロン活動者の実績を称え、次に「新しい認知症観」や認知症の人の将来推計、認知症基本法の基本理念、基本的事項を紹介し、その中で関連する国民の理解の増進や社会参加、早期発見などサロンとの関連、サロンでできること等を伝えながら、サロンや居場所が今後ますます大切な活動になってくることを伝えた。
事例は、山形県天童市の「ふれあい天童」を紹介。重度の認知症の人も一緒に過ごす日常の様子を伝え、大切にしていることとして、「差別や区別をしないこと」「何でも頼むこと」(頼まれることはうれしい)「失敗は誰にでもあること」「苦手なことは頼まないこと」「プライドを傷つけない、拒否をしない、強く命令しない」等について触れ、“お客にしない”(役割を持つ)受け入れと対応の大切さが、結果的に誰でも居心地のよい場になり、家族の安心にもつながること、さまざまな効果を生み出すことを伝えた。また、いろいろな居場所がつながること(ネットワークづくり)、可能であれば多様な人を受け入れることで、住民が行きたいときに行ける場所を選べる地域になっていくのでは、と提案した。最後に共生の居場所の効果とこれからの地域共生社会について伝え、まとめた。
グループワークでは、認知症の人を受け入れているサロンや「認知症は病気だから医療行為が必要ではないか」と思っている意見などが出た様子。発表では、認知症の人たちを受け入れることに触れながら、「参加者が固定化している」「後継者について」などよくある質問も出された。
認知症の理解促進のためにも、サロンや居場所で一緒に過ごし受け入れる。そのための対応方法を事例と伝えていくことが重要である。自治体内のサロンや居場所をはじめとする活動者が一堂に会し情報の共有や交換を行い、ネットワークづくりを推進していくことで地域共生社会につながると考える。(鶴山 芳子)
アドバイザー派遣事業に協力
新潟県
2月5日
新潟県の「令和6年度新潟県生活支援体制整備アドバイザー派遣事業報告会」がオンラインで開催され、県内市町村のSCや行政担当者など80名以上が参加した。同県のアドバイザー派遣事業を活用した市町村における取り組みの成果(具体的な経過を含む)の共有・情報交換を通じて、今後の自市町村・自地域での地域づくりに向けた参考としてもらうことが目的。
県による開会あいさつと行政説明に続き、取り組み報告が行われた。
新潟市の支え合いのしくみづくりアドバイザーで地域の茶の間創設者の河田珪子氏と当財団・鶴山がアドバイザーとして支援した佐渡市(令和4~6年度に事業活用)は、協議体および生活支援コーディネーター活動支援、共生型常設型居場所創出支援、有償の助け合い創出支援について報告。フォーラムや勉強会を通じて有償ボランティアや居場所なども広がり始めている。また、第1層協議体は当初50ほどの企業・団体による体制だったが、勉強会をきっかけに現在は市内の助け合い活動者らの情報交換会などとし、住民主体の助け合いを広げる取り組みをしている。勉強会で意気投合した住民が有償ボランティアを立ち上げたほか、市が企業と協定を結び移動販売を展開し、その立ち寄り所設定にSCが協力して運行をきっかけとした居場所づくりも推進している。
田上町(令和4~5年度に事業活用)は、当財団・鶴山がアドバイザーとして支援。共生型常設型居場所創出支援、有償の助け合い創出支援について報告された。協議体支援から始まり、協議体を核に住民へ働きかけるフォーラムや勉強会を重ね、成果が見え始めている。形はあるもののどうしたらよいか悩んでいた第1層協議体が、「住民に働きかけなければ始まらない」と市民フォーラムを企画し、その参加者から手を挙げた人を対象に助け合いの勉強会を重ね、居場所と有償ボランティアが立ち上がってきていると報告があった。
河田氏は2市町の取り組みを称え、住民の声を聞いていることの大切さなどをコメントした。鶴山は伴走支援について、また、さまざまな主体のネットワークづくりに向けて、ベースである住民の声を聞き住民の力を引き出すことの重要性についてコメントした。
その後のグループワークは、zoomのブレイクアウトルームで議論した。
参加市町村は他市町村の取り組みと課題を情報交換する機会を求めているようだった。(鶴山 芳子)
能美市(石川県)
2月7日
能美市では、第2層を3圏域(旧町単位)に設定、能美市社協とあんしん相談センター(地域包括支援センター)に3名ずつ計6名の第2層SCを配置、2名のペアで地域を担当する体制となっている。この体制は2024年から変更されたもので、新体制で効果的に取り組みを進めていくために、地域での実践を意識したSC向けの研修としてこの日、「地域支援事業研修会」が市主催で開催された。この研修会は1月27日開催の第1回と、今回の第2回で構成されている。当財団は、石川県のアドバイザー派遣事業として協力した。
第1回はオンライン開催で、奈良県葛城市第1層SCの田口研一郎氏から取り組み事例の紹介(住民主体と伴走支援の実践)、財団から活動創出に向けた体制づくりを説明した。今回は現地集合研修で第1回の事例等を参照しながら、「居場所、有償ボランティア、移動支援の立ち上げ方」をテーマとしたグループワークを中心に、意見交換を行った。
参加者からは「①どのように地域の声を拾っていくとよいか」「②住民のやらされ感をどう払拭したらよいか」といった質問が出てきており、財団からは「①居場所などの集まりに積極的に出向くだけでなく、何気ない日常会話にもアンテナを立ててリアルな声を引き出していくように意識する」「②『やってください』とお願いするのではなく、住民自身で決めていく場を提供していく。ただし任せっきりではなく一緒に考えていくことが重要」と説明した。
SCは、新体制になり地域の実態に触れる時間が増えた様子で、具体的な質問や意見が多く出ていた。(髙橋 望)
南島原市(長崎県)
2月9日
第2層協議体の体制再構築を目指す南島原市で、まず住民への活動理解と参加を呼びかけるフォーラムが開催され、120名ほどの市民が参加した。
当財団は長崎県のアドバイザー派遣事業として協力。「誰もが輝ける地域を目指して」と題して基調講演を行った。SCと協議体の役割を紹介し、地域の現状とともにつながりや助け合いの必要性を伝え、主体的な助け合い活動のさまざまな事例を紹介した。また、これから第2層ごとに話し合う協議体を再構築していくため、主体的な話し合いの事例を紹介した。
パネルディスカッションは財団が進行を務め、住民の立場、包括、行政、SCとそれぞれの立場から支え合いやつながりなどに関する取り組みや必要性を紹介してもらい、質問しながら掘り下げた。また、会場からも質問をもらい、やり取りしながら「みんなでやっていこう」という機運をつくるようにした。
アンケートには、
〇本市も、高齢・過疎化が進んでいく中で地域の連携も少しずつ薄らいでいるなーと感じていた。講演にあったような取り組みを、可能な形でできたらと思う。
〇子育て世代として今の南島原市に住み続けることに不安を感じていた。とても良いところなので住み続けたい気持ちもあり、自分たちの手で地域を変えていきたいと思った。
〇自分も高齢者なので「お互い様」の精神で、できることを維持していきたい。
など、たくさんの前向きな声が書かれていた。
若い人たちも核にして勉強会を重ねて、第2層協議体づくりから助け合いの地域づくりを進めてほしい。(鶴山 芳子)
笛吹市(山梨県)
2月13日
山梨県のアドバイザー派遣事業を活用し、笛吹市で「誰もが集える居場所づくり」について学び合う勉強会があり、当財団は講師を務めた。打ち合わせで、市としてはサービスBを推進していきたいとの話があったが、サービス活動・Bは住民主体の活動を補助する仕組みであることを共有し、住民にやらせるのではなく、必要性を実感し「行ってみたい」居場所を推進することが重要ではないか、と提案した。また、主体的な活動をできる限り縛らずに、住民たちが自由に取り組み、継続していけるための補助にどうできるかは、行政の検討にかかっているのではないかと共有。当日は住民に向けた勉強会の後に、包括、社協、SCら関係者に対して県が総合事業のガイドライン改正についても伝える勉強会・意見交換会をしようと計画を進めることとなった。
勉強会当日は、関心のある住民たちが集まり、講演を熱心に聞いてくれた。「行きたい居場所」として始めた取り組みや、空き家、畑、ベンチ、空き教室、食事中心、お茶とおしゃべりなどさまざまな事例を紹介し、「住民は百人百様、誰かのために始めるのも一つだが、自分ならどんな居場所に行きたいか、そこで何をしたいかという視点で考えてみることが、活動の継続や関心のある人の参加につながるのではないか」と説明した。質疑応答も活発に行われた。
アンケートでは「お話を聞いて背中を押されたようで、頑張れそうと思いました」「もっと広い範囲の方(区役員など)に呼びかけて、少しずつでもいいから必要性を伝えることができたらよい。このような取り組みはとても大切なことで、いいなーと思う」等の意見があった。
同市では、「誰もが集える通いの場立ち上げプロジェクトチーム」を立ち上げ、今年から定期的に集まって立ち上げを進めていくことになった。(鶴山 芳子)
波佐見町(長崎県)
2月18日
波佐見町で「支え合いのまちづくり 講演・活動報告会」が開催された。同町では、2018年度にフォーラムから3回の住民勉強会を開催し、3小学校区で第2層協議体を立ち上げ、その後も勉強会等を重ねながら22自治会ごとに助け合い創出に取り組んできた。有償ボランティア3団体、無償ボランティア1団体、居場所4か所が自治会単位で立ち上がり活動してきたが、コロナ禍の影響もあってか、そこから広がらないことが課題でもある。
2024年度は、住民による実行委員会が主催して昨年11月に大阪の大学教授を講師にフォーラムを開催。その後、できるところから自治会ごとの地域ミーティングを立ち上げてきた。そのような中で、今回は「支え合い」をテーマにした講演・報告会を開催し、実践者のモチベーションを上げ、助け合いの理解を広げ、さらなる立ち上げや参加につなげることが狙い。居場所や有償ボランティアの実践者から要望があり、当財団が講師として参加した。
行政のあいさつの後、実践報告として、有償ボランティア3団体(井石ささえ愛たい、協和ささえ愛たい、中尾山おたすけ隊)、無償ボランティア1団体(田の頭見守り隊)、居場所3か所(雀のお宿、協和(今日は)よんなっせ、楽しか農)が発表。どれも主体となって取り組んでいる住民が思いを持って報告した。最初に立ち上がった「井石ささえ愛たい」をモデルに他地域が立ち上げていたり、「雀のお宿」は廃校を活用した居場所だが取り組みについての考え方が柔軟に進化している様子も分かった。「協和よんなっせ」は子どもと高齢者などを中心とした共生の居場所だが、イベントも重ね参加者が広がっていることや、移動支援の必要性から2年間勉強会を重ね今年4月から活動が始まること等が発表された。また、他地域でも居場所を広げたいと、「居場所キャラバン隊」を立ち上げSCと共に他地域を回り始めているなど主体性のある素晴らしい取り組みの紹介もあった。
長いところは活動開始から7年になる。課題をみんなで乗り越えている素晴らしさや住民のニーズに応じた活動の広がり、楽しそうな様子を財団からコメントした。
財団は「自分らしく安心して暮らせる地域づくり」(得意を活かして助け合い)と題して講演。あらためて、制度で助け合いを広げることになって10年、全自治体で取り組みが進んでいること、地域の変化により助け合いの必要性が増していることを話した。また、今後の参考として、「行きたい居場所」が“集める”のでなく“集まる”居場所になっている事例、やりたいことをやることが結果的に誰かのためになっている事例、認知症があってもできることを頼むことで自信をつけ生きる意欲につながっている事例、世代を超えた話し合いを年1回やってみた事例などを紹介した。
定員を超えて多く人たちが参加した講演・活動報告会となり、住民の思いに心動かされたのか質疑応答ではたくさんの質問が出た。7年経ち、主体的な住民が生まれ、このような機会を重ねることで地域が少しずつ変化していくことが感じられた。(鶴山 芳子)
鎌倉市(神奈川県)
2月20日
鎌倉市で、神奈川県のアドバイザー派遣事業を活用したSC向けの勉強会が開催され、神奈川県のさわやかインストラクター島津禮子氏、当財団の丹直秀理事と共に参加した。同市での勉強会は昨年度から進めてきたが、2層5圏域で第2層SCらがさまざまな取り組みを進めていく中で、充て職だけではない主体的な住民の意識の醸成を進めるためにも有効ではないかと、市は2025年度事業として「地域カルテ」を推進する計画である。そこでの参考にと全国の取り組み事例をいくつか紹介し、質疑応答で理解を深める勉強会となった。
「地域カルテ」は同県川崎市が取り組んできているが、鎌倉市も情報収集しながら始めている計画についても説明された。
暮らす地域ごとのさまざまなデータを住民同士で共有しながら、これからの我が地域について話し合う機会は「自分ごと」に感じる意識を醸成し、主体的な活動創出や参加につながる良い方法だと思う。
質疑応答は、SCらが地域に入る中で気になっている移動支援などさまざまな質問が出たが、県担当者から県内の情報提供もしてもらうなど、みんなで情報交換や意見交換を行った。25年度、当財団としても鎌倉市の「地域カルテ」が進んでいく過程を教えてもらいながら、情報発信していくことができればと思う。(鶴山芳子)
西海市(長崎県)
2月28日
2024年度は大島地区でフォーラムを開催し、その後、アンケートで関心の高かった人たちを対象に4回の勉強会を重ねてきた西海市。この日は最後となる4回目の勉強会が実施され、当財団は長崎県のアドバイザー派遣事業として協力した。
最初に、第1層SCがこれまでの振り返りや勉強会におけるアンケートの内容を説明し、全体で共有。さらに「目指す地域」について話し合った地域像を再度共有した。この日は「目指す地域像を実現するために」をテーマにし、「やりたいことを実現するためにどうしたらいいと思いますか」「これならできるということはありますか?」「知りたいことは何ですか?」というテーマでグループワークを行った。グループワークも回を重ね、話しやすい関係ができ始めていた。昨年10月開催のフォーラム後、12月には有償ボランティアを立ち上げたという住民もいて、その人に対しての質問や、悩みを共有するグループもあった。
その後、話し合ったことや聞きたいことが発表され、財団よりコメントや情報提供を行った。有償ボランティアは具体的に立ち上がり始めているので、立ち上げ前にアンケートを取って立ち上げたという他県の活動を紹介。「助けて」と言いにくい社会ではあるが、暮らしている状況や不安に思っていることについて具体的に聞き、必要な支援を具体的に並べて選んでもらうようなアンケートは参考になった様子。居場所や有償ボランティアについても、事例や改正された制度などの情報を提供した。西海市は25年度に西彼地区でフォーラムを行う予定。これで全地域でのフォーラムを実行することになる。(鶴山 芳子)
(本稿担当は、岡野貴代、髙橋望、鶴山芳子、目﨑智恵子)