活動報告

北から南から 各地の動き

さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。

2025年9月1日~9月30日分

SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出

住民に参加を呼びかける支援
(住民対象のフォーラムや勉強会の支援等)

石川町(福島県)

9月25日

 石川町沢田地区で「支え合いの地域づくり講演会」があり、当財団が講話およびグループワークの進行を務めた。視察として、同県鏡石町から行政担当者・SCがオブサーバー参加した。
 沢田地区は自治協議会福祉部会があり、「お互いに支え合い、各自が生きがいを持って、安心して暮らせる地域づくりを目的としたい」と話し合いを続けている。自治センターを「助けてと言えない方でもお手伝いが必要になったときに相談できる場所」とし、できることで高齢者の困り事を支えたいと「お達者さん」(生活支援ボランティア)の登録制度も設けている。しかし「お達者さん」の認知度が低く、登録していることを忘れている人もいることから、あらためて地域の支え合いの大切さを伝え、周知も含め参加を呼びかけたいと、今回の講演会が企画された。
 講演会当日は、行政説明に続き、助け合いの大切さについて財団より講話を行った後、グループワークで「地域課題」と「その課題解決のために必要な活動」について話し合った。活発な話し合いが行われ、困り事としてごみ出し、買い物、通院などが挙がり、解決策として、無償ボランティアだけで難しい課題への有償ボランティアの仕組みづくりや、サロンで顔の見える関係性をつくり、そこからお互いに助け合える関係性を築いていきたい、等の発表があった。
 最後に、第2層SCから「お達者さん」の仕組みをあらためて紹介し、アンケートで参加意思を確認した。
 今回の講演会が「お達者さん」の活性化とともに、同地区でのさらなる助け合い拡充につながることを期待したい。(岡野 貴代)

SC研修・情報交換会等に協力

京都府

9月11日

 京都府で「みんながつながる情報交換会Vol.5」が開催され、実行委員である京都府内のSCや行政職員などを含む16名が参加、当財団も協力した。
 最初に、話題提供として財団・目﨑から生活支援体制整備事業について説明した。また、7月に行われたSC初任者研修で今回に向けて作成した「気になるツリー」を張り出し、全体で見直した。
 自己紹介は、参加者同士2人1組で名刺交換と自己紹介を1分間で行い、席を1つずつずれていき全員が顔合わせする形とした。ランチミーティングは、参加者皆で顔を合わせながら食事と情報交換等を行った。
 グループワークは、4名×4グループで各グループの実行委員SCが進行を担当、1回1時間でメンバーを入れ替えを2回行った。テーマは「SC活動について」「包括・行政との連携」「福祉以外とのつながりづくり」。よいと思った意見にはお互いに「イイネ!カード」を上げて話し合いを盛り上げた。各グループで模造紙に担当市町村の情報や行政とSCの連携や悩み、住民とのコミュニケーション、協議体等について書き出し、全体で情報共有した。
 また、「あの頃の自分へ」としてSCを始めた頃の自分に向けたメッセージをおのおのが付箋に書き、模造紙に貼った。「2年後の自分は、きっとうまくいく」「何でもチャレンジ!」など希望や前向きな気持ち、「自分を信じて、周りを信じて」「1人で悩むな!」など信頼とつながり、ほかに「初心を忘れず、楽しみながら笑顔で!」「変わっていなくて、すみません」などのメッセージが見られた。
 実施後アンケートの主な回答は以下の通り。
「他市町村の具体的な取り組みや地域性の違いに触れ、SC同士や行政との関係性が深まった。対話を通じて自身の実践を振り返り、支援の多様性と可能性に気づく貴重な機会となった」「ゆっくり話せる場がうれしかった」「行政との連携や地域づくり、自治体規模による違いや業務範囲の課題が多く、自治体の規模別の事例を聞きたい。また、規模に合わせた情報交換会を行いたい」「北部会場の設置があるとうれしい」
 今回は新たに2名のSCが実行委員として加わることになり、SC同士のつながりも広がりつつある京都府。今後の情報交換会の内容についても実行委員を中心に検討していく。(目﨑 智恵子、雛形 亮我)

大阪府

9月29日

 「大阪府生活支援コーディネーター情報交換会 in 北摂」が開催され、北摂地区のSCなど約20名が参加し、当財団も協力した。
財団・目﨑より「SC活動の基本を振り返る」と題して、地域課題・社会資源の把握、SCの役割分担、第1層協議体の活動状況、生活支援体制整備事業(事例含む)について講演を行った。
情報交換会は40分×2回。4グループに分かれ、「各市区町村の情報およびSCが行政に期待することなど」をテーマとして、各グループの情報交換会実行委員SCが進行を担当した。出された意見は以下の通り(一部抜粋)。
・移動販売の実施に向け企業と協働している市や、大学と連携して買い物支援マップを作成するなど、地域課題に応じた実践が広がっている市もある。
・第1層SCとして地域に積極的に出向き、福祉委員会やカフェなどを訪問したり、麻雀講師養成、子どもの居場所づくりなど幅広く展開している。
・坂が多く買い物が困難な地域には、配達可能なスーパーをまとめたマップを作成。
・畑の貸し出しを通じて男性の集いの場を創出。特別養護老人ホームの送迎車両を活用した大学見学ツアーも実施されている。

大阪府からは、今後の研修や情報交換会について情報提供があった。
アンケートの回答は以下の通り(一部抜粋)。
・第1層・第2層の役割分担やSC活動の基礎をあらためて確認し、住民ニーズの把握から仕組みづくりまでを担う本来のコーディネートの重要性を再認識した。
・生活支援体制整備事業や要綱改正、制度の基本的な考え方についても理解が深まり、既知の内容でも説明を受けることで整理が進んだ。
・第1層SCの具体的な活動や、協議体との関係性も共有され、府からの継続的な働きかけの必要性を感じた。事業実施に向けて具体的な内容や法的根拠も分かり、有意義な学びの時間となった。
・ポジティブに「我が町は〇〇が自慢!」という自慢大会で自由トークする取り組みもよい。

情報交換会で気づき、実践につなげていけるよう今後も情報提供していく。(目﨑 智恵子、雛形 亮我)

協議体の活動・編成等に協力

蓮田市(埼玉県)

9月17日

 「令和7年度蓮田市生活支援体制整備事業情報交換会」が開催され、第1層・第2層協議体委員約70名が参加した。
 開会あいさつに続き、SCから各協議体の活動報告が行われた。南中校区協議体からは、昨年11月より開始したボッチャを活用した交流活動について報告があった。中央小校区からは、ボッチャ体験会を通した地域交流会等の報告があった。
 黒浜中校区からは、デジタル格差解消の取り組みが報告された。同県桶川市の先行事例を視察したことを契機に、地域単位でスマホサロン「教えて!スマホ」を立ち上げる。黒浜西中校区は、アンケートで「してほしいこと」だけでなく「自分にできること」も多く回答されており、お助け隊の仕組みづくりを検討していることが報告された。
 蓮田北小校区では、地域住民に活動を知ってもらうことを目的として「支え合いたいはじめましての会」を開催したことが報告された。平野地域では「ワイワイおしゃべり会」が開催され、ゲームを交えた交流を通じて、困り事を打ち明ける難しさが浮き彫りになる一方、住民同士の信頼を醸成する機会となったとのことだった。
 第1層協議体からは、シニア向けスマートフォン講座の開催のほか、新たに「いきいきはすだサポーター」という愛称を定め、「高齢者いきいきマップ分科会」と「移動支援分科会」に分けて活動し、移動支援に関する介護事業者へのアンケート調査も行ったことが報告された。
 後半は、各協議体のメンバーが混在してグループワークを実施。各協議体における活動の現状や課題、今後の展望について意見交換が行われた。各グループで日頃の取り組みや課題を共有し、解決策についてアイデアを出し合った。
 課題においては、参加者が固定化し人数が少ないこと、活動内容が限られていて変化に乏しいこと、自治会等地縁組織からの支援不足、「協議体」という仕組み自体を住民に理解してもらうことの難しさ、駅前とその他の地域で特性が異なるため活動が広がりにくい、等が挙がった。こうした課題に対して、目安箱を設置して住民の声を直接集めることや、地域を細分化して小規模で活動を展開し口コミを広げること、活動を続けていくこと、安定した活動を続けるために協賛企業や助成金を活用して財源を確保すること、若い世代の参加を促進することなどが解決策として示された。
 当財団からは、自ら他の活動に参加してネットワークを広げること、専門職を含めた社会資源を活用すること、現場視察など他地区の取り組みを参考にすることを伝えた。また、「協議体とは何か」という問いに対しては、共感を示す人を起点に粘り強く理解を広げていくことが重要であること、目指す地域像を設定し活動の方向性を共有すること、などをコメントした。
 参加者からは「他の協議体も同じ悩みを持っていた。悩みと課題を共有できてよかった」といった声が聞かれ、閉会に際して参加者全員で「頑張ろう!」の三唱を行い、今後の取り組みに向けた士気の向上と結束を図った。
 本情報交換会は、活動の現状と課題を整理し、今後の方向性を検討する上で有意義な場となったようである。今後のさらなる活動の充実を期待したい。(岡野 貴代)

居場所講座に協力

杉並区(東京都)

9月20日

 東京都杉並区で「知ろう!学ぼう!地域の居場所・コミュニティづくり」が開催され、20名ほどの住民が参加、当財団は講師として協力した。
 最初に財団が講演し、助け合いの必要性と居場所が助け合いにもたらす効果について、財団の『居場所ガイドブック』からポイントを引用しながら説明した。
 その後、区社協より、こども食堂や「きずなサロン」(地域サロン)の目的と立ち上げに対する支援について説明が行われ、ネットワーク形成や立ち上げ支援、「きずなサロン助成⾦」など助成金の情報も提供された。
 続いて、実際に地域で活動を展開している団体の実践発表が行われた。同区内で「杉並みんなの食堂」を運営する太田垣道宣氏が、地域の子どもや高齢者を対象に食を通じた交流の場を提供している取り組みについて発表。食堂は単に食事を提供する場ではなく、誰もが気軽に立ち寄れる居場所としての機能を果たしていると語った。子どもが遊べるスペースなどもあり、いろいろな世代が来るので子育て支援にもつながっているという。紹介動画の中で、参加者からは「家とまた違う食事の楽しさがある」「疲れていると食事が戦争のようになってしまうので、ほっとできる場があってうれしい」などの感想が寄せられていた。普段はデザイナーとして仕事をしている太田垣氏は、「みんなの食堂をやっている理由として、こどもの孤食、生活困窮などがフォーカスされがちだが、むしろ自分自身が地域の役に立ちたい。感謝の言葉をもらうと『生きていてよかった』と思う」と語っていた。
 次に「きずなサロンいずみ」を主催する山本松江氏が、地域サロンの実践について発表した。中学校の多目的室で開催するサロンでは、体操やおしゃべり、趣味活動などを通じて高齢者が安心して集える場を提供しており、参加者同士が自然に支え合う関係を築いていると報告された。特に、参加者が「また来たい」と思える雰囲気づくりを大切にしており、誕生日会などの工夫を加えることであたたかなコミュニティを形成しているという。
 グループワークでは、両氏の発表を受け、「居心地のいい居場所とは?」「どんな居場所があるとよいか?」について意見が交わされ、居場所は単に孤立防止の機能を持つだけでなく、困ったときに声を上げられるゆるやかな関係性を育む基盤として重要であるとの認識が共有された。その一方で、特に「活動場所の確保が難しい」「地域による資源の差が大きい」などの意見も聞かれ、居場所立ち上げ時の課題も見えてきた。
 杉並区は人口も多く社会資源が豊かであることに加え、社協による補助金や周知などの支援制度もあり、居場所立ち上げ・継続の大きな力になる。本講座を機に、より多くの住民が安心して地域で暮らしていくために、効果にも着目しながら住民主体での居場所づくりが推進されることを期待したい。(岡野 貴代)

アドバイザー派遣事業に協力

開成町(神奈川県)

9月9日

 第1層協議体の再構築を目的に、フォーラム(勉強会)を12月と1月に開催することが決まった開成町。広く周知して関心のある住民が目指す地域像を話し合い、住民の意向に沿った体制の再構築をしようと準備をしている。この日は、県のアドバイザー派遣事業としてフォーラムの開催要項、チラシ、アンケートなどの案をよりよくするため、行政、社協(SCも)、県、当財団で議論した。
 チラシを配布する対象は住民なので、住民に分かりやすい表現にすること、住民の助け合いは行政の補完ではないこと、住民たちが必要性を実感し参加してみたいと思えるような身近な助け合いをチラシに入れてみることなどを財団から助言した。丹直秀理事やさわやかインストラクターの島津禮子氏からも住民の立場で助言してもらった。(鶴山 芳子)

北名古屋市(愛知県)

9月15日

 2022年~24年まで3年かけてワークショップを重ね、4地区(中学校区)で第2層協議体を立ち上げ、各地域で活動を展開してきた北名古屋市。第2層SCは地域包括支援センターに所属、第1層SCは市社会福祉協議会所属で進めてきた。月1回の協議体は4地区それぞれで取り組んできており、SC同士での連絡会を定期的に行い情報共有してきたが、今回、第2層協議体メンバーが一堂に会しての活動報告会を開催。当財団は、県のアドバイザー派遣事業によるアドバイザーとして協力した。協議体メンバーを増やして推進したいという狙いもあり、メンバー以外の住民も参加して約90名が集まり行われた。
 市社協会長のあいさつに続き、財団が協議体の役割と全国の取り組み事例を紹介する講話を行った。次に、第2層SCが各圏域の協議体について以下の通り活動を報告し、財団が助言を行った。
 続いて、「協議体に参加しよう」と題して、協議体ごとに分かれて新たに参加してみたいという住民も入り、それぞれのテーマで話し合いが行われた。
 勝手にしゃべって委員会(西部北地域包括支援センター圏域)では、居場所について具体的に、また「誰かの役に立ちたい」「ちょっと働きたい」という声から「有償ボランティア」につながりそうな話し合いをしていた。はじめのいっぽ(西部南地域包括支援センター圏域)では、「あなたの地域の課題解決をするアイデア」として人間関係の希薄さ、認知症の人の増加、子ども会や婦人会がなくなってきていることなどを共有し、解決するアイデアを出し合っていた。
 助け合い未来会議(中部地域包括支援センター圏域)では、「元気に集まれる場所」づくりとして空き家の活用やベンチ、役割があることの重要性などを話し合っていた。もえもえの会(東部地域包括支援センター圏域)では、作成中の資源マップをさらに具体的に、皆で情報を増やして充実させようと話し合っていた。
 まとめで財団からは、各協議体の話し合いがとても活発だったことに触れながら「したいことや実践できそうなことは取り組みましょう。また、気になることはさらに話し合いながら一緒に解決するよう知恵を出していきましょう」と呼びかけた。
 今日の話し合いで、心が動いた人も多かった。熱が冷めないうちに集まって話し合い、安心して暮らせる地域をみんなでつくっていこう、と伝えた。北名古屋市は、自分が住む圏域以外の協議体にも参加できるということで、「協議体の“ハシゴ”も大歓迎」とのこと。各協議体それぞれの個性を生かしながら、新規メンバーを加えて活動が活発化していくことと思う。(鶴山 芳子)

壱岐市(長崎県)

9月21日

 壱岐市で、助け合いのある地域づくりを目的とした初めての市民フォーラム「地域助けあい・支えあいフォーラム」が開催され、約100名の市民が集まった。生活支援体制整備事業担当の地域包括支援センター、市社会福祉協議会、まちづくり協議会を担当する市地域共創課、公民館を担当する市社会教育課が昨年から一緒に関係者勉強会や打ち合わせを重ね、この日を迎えた。当財団も県のアドバイザー派遣事業として協力した。
 篠原一生市長の開会あいさつに続き、市長寿支援課地域包括支援センターより市の現状と課題について説明があった。
 講演は当財団より「みんなでつくる支え合いのまち」と題して、なぜ助け合いが必要かについて伝え、居場所を中心に事例を紹介した。
 また、芦辺地区、那賀地区、渡良小学校区のまちづくり協議会が、熱い思いをもって助け合い・支え合いの事例を発表し、財団がコメントして会場からの質問にも答えた。
 島内から会場一杯に市民が参加し、アンケートでは92%が「地域の助け合い・支え合いの取り組みは必要」と回答。「自分をはじめ、まわりは高齢者家庭や独居者がほとんど。できるだけ住み慣れたところで過ごしたい」「シニアをケアの対象ではなくプレーヤーにしていくということを、まちづくりの活動の中でさらに実現していきたい」「地域の助け合い・支え合いの重要性を感じた」等の感想も寄せられた。
 同市では今後打ち合わせを進め、フォーラム参加者をメインとして、10月に第1回、来年1月に第2回の助け合い創出のための勉強会を実施する予定である。(鶴山 芳子)

(本稿担当は、岡野貴代、鶴山芳子、雛形 亮我、目﨑智恵子)