活動報告

北から南から 各地の動き

さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
 住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
 その取り組みの一部をご紹介します。

2025年11月1日~11月30日分

SC=生活支援コーディネーター
 3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出

住民に参加を呼びかける支援
(住民対象のフォーラムや勉強会の支援等)

成田市(千葉県)

11月15日

「成田市地域包括ケア講演会」が開催され、市民など約70名が参加した。同市では、高齢者や認知症の人たちが住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるまちづくりを目指し、地域包括ケアシステムの推進に取り組んでおり、特に、住民主体の地域活動支援や介護予防の普及啓発に力を入れている。今回は、その取り組みの一環として「助け合いの地域づくりを学ぼう」をテーマに実施された。
 介護保険課課長のあいさつに続き、当財団が講演を行った。講演では、地域で安心して暮らし続けるためには、公的制度による支援だけでは限界があり、地域の実情に寄り添った細やかな住民同士の助け合いが必要であることを説明した。さらに、居場所や有償ボランティアの効果についても触れ、居場所が高齢者のいきがいづくりや孤独・孤立の防止、介護予防に寄与していることも伝えた。有償ボランティアについては、一定の謝金を介することで、助けるほうも助けられるほうも気持ちよく活動ができることや、住民主体だからこそ柔軟な対応が可能である点、助ける側だけでなく助けられる側も心身の健康に効果があることを説明した。また、居場所で住民主体のちょっとした困り事を支え合う有償ボランティアに取り組むことで、新たな参加者や、困った人が声を上げることができた実践例を紹介した。
 講演後の質疑応答では、地域の居場所の立ち上げや継続のコツ、取り組みにあたっての金銭管理の方法など、実践を前提とした具体的な質問が出た。財団からは、特定の人の負担が多くならないような工夫や、金銭管理には収入と支出を掲示するなどして参加者の信頼を得ながら進めることが大切であることなどを回答した。
 その後、閉会あいさつとアンケート記入をもって講演会は終了した。
 住民向け講演会ではあったが、会場には第2層SCも参加しており、今後の活動に生かしていきたいと話していた。参加者からは、「助け合い活動の意義をあらためて理解できた」「地域でできることを考える契機になった」などの声が寄せられ、住民主体の地域づくりに向けた意識の醸成に寄与する機会となったと感じた。(岡野 貴代)

宮古市(岩手県)

11月30日

「第20回宮古市社会福祉大会」が開催され、講演会の講師を務めた。テーマは「住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けるために~住民主体でつくる地域の支え合い~」。
 今年度、宮古市では第1層協議体を立ち上げたいと県のアドバイザー派遣事業を活用し、11月18日に1回目の関係者勉強会を行ったところ。福祉大会では民生委員をはじめとする福祉関係者、団体や組織に加え、関心を持つ住民、企業などにも声かけをして、「生活支援体制整備事業、住民主体の助け合い、協議体」について理解を進める機会とし、第2層協議体の体制づくりの動きにつなげていきたいとの相談があって講師を務め、全国各地の事例を入れながら講演を行った。
 今後、福祉大会のアンケートで協議体に関心がある人に第1層または第2層に参画してもらうようにして、適切な体制をつくっていきたいとのことだった。(鶴山 芳子)

西海市(長崎県)

11月16日

 西海市西彼地区で市民フォーラムが開催された。西海市は2022年3月から「住民に助け合いの必要性と参加を呼びかけよう」として、第2層圏域ごとに第1層協議体、第1層・第2層SC、行政、社会福祉協議会等が話し合い計画してフォーラムを開催。第2層圏域で開催しながらも、対象は全圏域として行ってきた。その後、住民勉強会を4回行って助け合い創出や協議体の立ち上げ、既存の地域づくり連絡会の活性化などを進めてきた。
 今回の西彼地区での開催は5圏域目で最後となる。メイン会場を西彼地区とし、サテライト会場として離島の江島地区、平島地区、松島地区とリモート中継して、160名の参加となった。
 内容はこれまでのフォーラム同様、支え合い活動を推進していくことを軸としながら、人口減少が進む今後の地域づくりを考え、多世代のつながりや多様な主体との連携も視野に入れ進めた。
 まず行政から「西海市の現状と課題」について説明。続いて「広げよう つなげよう 地域助け合い~自分たちの住む地域を、自分たちで良くしていこう~」と題し、当財団が講演。助け合いの必要性やSCと協議体の役割、多世代のつながりによる仕組みや企業との連携などの事例も交えて紹介した。
 シンポジウム「~あふれる笑顔!わが町の助け合い活動~」は財団がファシリテーターを務め、①西海町七釜地区の生活支援創出の歩み(地域福祉連絡会・アンケートを用いて)、②買い物支援の取り組み(地域と企業の移動販売車のマッチング)、③居場所の取り組み(八木原わいわいクラブ)の実践者とSCらが登壇。②については、自治会長ら住民とスーパーが社会貢献として連携しながら取り組んでいる買い物支援について紹介があった。自治会長は「移動販売車が来てくれることで集う機会が増え、会っておしゃべりできることの喜びを実感している」と語り、スーパーの担当者は「社会貢献はしているものの採算が厳しい」と率直な課題を提示した。
 住民が望む移動販売をどう継続していくかについては、住民も「共に継続していく」というウィンウィンの関係の必要性を共有した。会場から質問も出て、活発なフォーラムとなった。12月からの勉強会や次年度以降の仕掛けにつながる機会になった。(鶴山 芳子)

SC研修・情報交換会等に協力

岩手県

11月19日

岩手県で、SC等を対象として生活支援サービスの内容や立ち上げの過程等について実践的な知識を習得するとともに、相互の情報交換を目的とする「現地視察研修会」が開催され、県内各地からSCや行政担当者21名が参加、当財団はアドバイザーとして協力した。
 視察先は、同県一戸町にある元幼稚園だった建物を活用したボランティア拠点であり常設の居場所である「いちボラ+(プラス)」。運営している町社協から、認知症地域支援推進員とSCが情報提供を行った。部屋が複数あり、小さいながらホールや園庭もある。多世代交流や自由な活動ができるなど、廃園になった幼稚園を活用しているためメリットがたくさんあった。
 この日は、共生常設の居場所と、子育てママたちと小さい子どもたちとのサークルが行われていた。居場所に来ている80代の女性高齢者のところに赤ちゃんを抱いた母親が来て話をしていたので聞くと、孫とひ孫だという。一緒に住んでいないが、ここでふれあっているとのこと。また、手作り弁当を女性高齢者が販売しており、子育てママたちも隣の部屋から買いにきたりして、居場所の人たちの表情がさらに明るくなっていた。
 公的な場所なので家賃や光熱費がかからず、ボランティア活動に必要な物品を置いておくこともできている。
 情報交換は「地域のボランティア活動に生活支援コーディネーターはどのように関わるか」をテーマに行われ、財団が他県の情報も提供しながら進行した。また、住民たちが必要性を実感できる機会をSCらがつくり、実感した人を中心に仲間づくりと活動立ち上げをバックアップしていくことが、“やらされ感のない住民主体の活動”を支援するSCの役割であることも伝えた。
 参加者アンケートでは「実際に活動の場所や様子を知ることができ、自地域ではどうしたらやっていけるのか考えることができた」「同じ建物の中にいちボラ、子育て支援、放課後クラブがあり、子どもと高齢者の交流がしやすくてよいと思った」「 すばらしい! 拠点があることで、住民のボランティア活動が広がり、地域に浸透していることが分かった。一方で、職員常駐など同じ課題もあり、共有できてよかった」などの感想が寄せられた。(鶴山 芳子)

協議体の活動・編成等に協力

喜多方市(福島県)

11月10日

福島県のさわやかインストラクター大山重敏氏を通じて依頼を受け、喜多方市の第1層・第2層協議体の研修会にあたる「自分らしく地域とつながる講座~無理なく支え合う地域づくり~」に協力した。県のアドバイザー派遣事業を活用しており、県、県社協、会津福祉事務所も参加しての開催となった。
 現在、同市では「喜多方市生活支援支え合い連携会議」と、第2層協議体「地区生活支援支え合い会議」(以下、支え合い会議)が15地区で熱心に活動している。支え合い会議でさまざまな取り組みが検討・実施されているが、活動の活性化や広がりが課題とのことだった。そこで、さらに多くの住民にも関心を持ってもらいたいと、支え合い会議以外にも関心のある住民や生活支援支え合い会議委員、チームオレンジ、居宅介護支援事業所、民生児童委員にも参加を呼びかけ、約70名が参加した。
 開会あいさつに続き、財団が「自分らしく地域とつながる講座~無理なく支え合う地域づくり~」と題して講演。助け合いの地域づくりが今後ますます必要であり、「自分事」として考えてもらうこと、好きなことや得意なことを生かして地域に参加すること、世代を超えたつながりを意識していくことなどを、全国の事例を通じて今後の第2層それぞれの活動にヒントにしてもらうように伝えた。
 次に、第1層SCの進行で支え合い会議3地区から取り組みが報告され、質疑応答ではアドバイザーとして財団がコメントした。
 後日、関係者に「大変有意義だった」との感想も寄せられたとのことで、今後の活動に生かされることを期待したい。(鶴山 芳子)

宮古市(岩手県)

11月18日

宮古市が県のアドバイザー派遣事業を活用し、今年度中に適切な(機能する)第1層協議体を立ち上げることを目標に、関係者による勉強会と意見交換会を行った。
 支援は「公益財団法人いきいき岩手支援財団」が仲介し、内容は、
 ① オンラインによる情報共有(課題や目標等)を開催
 ② 行政やSCが当財団の「いきがい・助け合いオンラインフェスタ」のSCのプログラムで学ぶ
 ③ 現地支援:関係者勉強会・情報交換会(11月18日)
 ④ 現地支援 第1層協議体候補者との勉強会(2月開催予定)
 としている。アドバイザーは、山梨県南アルプス市の元第1層SC斉藤節子氏と当財団。
 この日は、午前中に第2層SC(10名程度)の地域ニーズの報告と共有、意見交換が行われた。第2層SCがそれぞれの地区で悩みを抱えながら頑張っているが、異動や交替もあり、全体共有において不足している部分や課題解決に向けて知恵を出し合う必要性などを感じた。
 午後からは、今後の“みやこ流”の主体的な地域づくりを進める第1層協議体の体制づくりを進めるために、斉藤氏が南アルプス市の第1層協議体の活動事例を紹介。SCや行政、社協等の関係者から質問も出て、気づきが生まれ、言えなかった悩みが1つずつ出されていく中で活発な議論となった。
 今後の取り組みを進めていく上で、行政、社協、SCのそれぞれの役割や連携の必要性なども感じる機会となったようである。(鶴山 芳子)

天童市(山形県)

11月21日

天童市中部・成生地区の第2層協議体づくりに向けた住民勉強会の2回目。初参加の人も含めて51名が参加した。今回は「目指す地域像」を話し合うことがテーマ。1回目終了後、SC、行政、地域包括支援センター、社協などで打ち合わせを行い、山形県のさわやかインストラクター加藤由紀子氏とも共有しながら準備して行われた。
 今回は「目指す地域像を考えよう」をテーマに行った。SCによる1回目の振り返りの後、加藤氏が「ふれあい天童の活動について」と題して講演。続いて「目指す地域像」と題して鶴山が講演。その後、8グループに分かれて「目指す地域像を話し合おう」をテーマに、5年後10年後のわが地域を「どんな地域なら住みたいか」「なぜそう思ったか」「目指す地域像」というポイントで話し合った。
 発表では「多世代で」「老若男女」等すべての人々を対象とした安心して気軽にふれあい助け合える地域をつくっていきたいということが多くのグループで発表され共有した。
 次回はその「目指す地域像」をどう実現していくのか話し合っていこうと、加藤氏と財団がまとめのコメントをした。勉強会やそのための打ち合わせを通じて、関係者の連携が進んでいることを実感した。3回目は12月開催予定。(鶴山 芳子)

地域ケア圏域会議に協力

戸田市(埼玉県)

11月18日

「令和7年度戸田市中央地域包括支援センター地域ケア圏域会議」の2回目が開催され、約30名が参加した。本会議は、10月30日に実施された1回目の会議と同じ構成で、参加人数が多かったことから2回に分けて実施したもの。今回も、民生児童委員、町会、老人会等の地域関係者など地域の多様な立場の参加者が集まり、講演とグループワークを通じて、地域課題の共有と解決に向けた居場所づくりについて活発な意見交換が行われた。
 まず包括から、包括の役割や地域ケア会議の目的、2024年度の振り返りについて説明が行われ、24年度は「高齢者の集いの場について考える」をテーマに行ったことが報告された。続いて当財団より「助け合いの地域づくりに向けて」と題して、助け合いの必要性について話した。
 グループワークは5グループに分かれて実施。テーマ1「地域の課題」、テーマ2「その課題を解決するためにどんな居場所があればよいか」について話し合い、最後に各グループが発表した。
 今回の会議では特に、地域のつながりの希薄化、高齢者の閉じこもり、町会活動への参加不足、ごみ置き場の管理や見守りに関わる課題など、日常生活の中で顕在化している困り事が共通して挙げられた。
 町会加入者が増えないことが多くのグループで共有された。「町会に入ると楽しいとアピールしたい」「町会がごみ置き場を管理していることをもっと伝えるべき」といった意見があり、町会活動の見える化や参加メリットの伝え方が課題として挙げられた。また、地域内でどんな人が暮らしているか分からない、近所付き合いが薄れているといった声も多く、特に高齢者からは「知らない人に声をかけられると警戒してしまう」という状況も指摘された。
 高齢者の閉じこもりについては、「インターフォンを鳴らしても出てくれない」「留守電のまま連絡が取れない」との意見もあり、見守りにつながりにくい現状が共有された。個人情報保護の観点から、見守りが必要な人を把握しづらいとの指摘もあった一方、「信用されている地域の人と一緒に行くことで受け入れられやすい」といった工夫も紹介された。
 一方、課題解決に向けた“居場所”については、多彩なアイデアが出された。「テーマを決めず、気軽に集まれる場」「町会以外の人も参加できる場」「マンツーマンの声かけで人材が見つかる」といった声があり、誰でも入りやすい“開かれた場”が必要であるとの意見が多かった。また、「会議室でランチ会をしたい」「手芸や折り紙など趣味を介した集いの場を広げたい」「子どもと高齢者が交流できる企画」「ごみ収集場でラジオ体操の声かけを行う」といった具体的な実践アイデアも挙げられた。
 さらに、「町会会館を全面的にオープンにする」「会費を取らずに全員が町会という発想」など大胆な提案も出され、地域活動への参画を広げるための柔軟なアイデアとして注目された。また、助け合いを “自分事”として考えることにつながるよう、バザーや詐欺防止講座、音楽イベントなど気軽に参加できる企画の必要性も示された。
 参加者には「地域の課題は、つながり不足・情報不足・参加のきっかけ不足・高齢者の孤立といった要素に目を向けることが大切なのではないか」といった気づきが生まれたようだ。
 参加者からも「他地区の意見を聞いて参考になった」「自分たちの活動を見直す良い機会になった」といった前向きな声が寄せられた。今回の意見を踏まえ、今後も住民と包括が連携し、安心して暮らすことのできる地域づくりが進むことを期待したい。(岡野 貴代)

(本稿担当は、岡野貴代、鶴山芳子)