活動報告
北から南から 各地の動き
さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。
2026年3月1日~3月31日分
SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出
SC研修・情報交換会等に協力
静岡県
3月2日
静岡県ブロックでは、今年度はSC情報交換会に連動し、「現場視察研修会IN 富士宮」を開催した。SC情報交換会で実践発表をしてくれた助け合い推進パートナーの一人、稲葉修氏が店長を務める富士宮市の木工房「いつでもゆめを」への視察を含め、さわやかインストラクターの木下さち子氏を中心に、県内の助け合い推進パートナーとさわやかインストラクターの鈴木明与氏でオンラインでの打ち合わせを重ねて企画を進めた。
現場視察研修会の副題は「~見る・聞く・話す 活動を理解する一番の近道~」とし、同県内SCや行政職員等を対象に、現場に出向いてそれぞれの参加者が肌で感じてもらえる内容を組み立てた。
◇視察先①「木工房 いつでもゆめを」
2013年にスタートした認知症の人が働く場であり、共生の空間。週に2回、9時半~14時まで開き、平均年齢は65歳。研修会参加者は2グループに分かれ、作業の様子や工具の説明、商品の説明を受けた。一見しただけでは誰が認知症で誰がボランティアか分からないほど、皆さんがその場に溶け込み自然体だった。途中の休憩時間中もお茶を飲みながらおしゃべりに花を咲かせる人、そのまま仕事を続ける人など、それぞれの意思を最優先に共生の空間をつくっている。メイン商品は車椅子でも乗れる体重計だが、ほかにもパズル、フィッシングゲーム等、木目を生かした数々の商品が棚に置かれ、販売されていた。
◇視察先②「平等寺」
月1回の介護者カフェ「ケアラーズカフェともいき」が開催されており、それが終わった後、「ともいき」参加者も利用できる大人食堂(別の部屋で開催)で昼食をいただいた。食材はほとんどが寄付で、食事作りボランティアは檀家の人たちと民生委員が担当している。住職の岩田照賢氏から、お寺でケアラーズカフェの開催を始めた経緯や地域にもたらす効果、さらにはそこから発展してNPO法人を立ち上げ活動している様子が説明された。
◇富士宮市高齢介護支援課地域包括ケア推進係 認知症地域支援推進員の杉浦綾乃氏から市の認知症施策として、18年ほど前から制度に特化せず、その人がどうしたいかという視点で「認知症」ではなく「認知症の人」に着目し、人・場所・情報の架け橋となるように活動している状況が説明された。現在認知症カフェは市内に26か所。やり方はバリエーションに富んでおり、ゴルフやソフトボールを一緒にやるところや、自動車学校を利用したカフェなどもある。
◇市社協の渡井友洋氏からは、05年に介護予防の一環としてスタートし現在112か所で行われている「寄り合い処」の説明がされた。もともと高齢者から始まった事業だが、翌年には社協と市との協議で地域住民誰もが対象となり、スタッフも住民。区民館、集会所のほか、代表者の自宅で行うこともある。寄り合い処が終わる時間に合わせて移動スーパーに来てもらい買い物支援を行う、スタッフが送迎、社会福祉法人の車両と職員が送迎協力、子育て世代の悩みを聞く等、多世代交流や地域づくりの拠点になっている。
* * *
富士宮市は人口12万人強、専門職と住民の連携がしっかりでき、縦割りでなく住民視点で取り組みを進めている様子が参考になった。参加者アンケートには、「町に多世代交流を働きかけていく」「居場所で自由にフランクに話ができるよう、雰囲気や声かけを工夫していきたい」等の声が寄せられた。(上田 恵子)
京都府
3月13日
京都府のみんながつながる情報交換会実行委員会主催「第6回みんながつながる情報交換会 in 宮津」が開催され、府内のSCと行政職員など約20名が参加、当財団も協力した。
これまでの情報交換会ではグループワークを中心とした交流を重ね、SC同士の横のつながりづくりを進めてきた。回を重ねる中で参加者同士の関係性も深まり、互いの活動に生かされるなど一定の成果が見られている。しかし京都府は南北に細長く、府内であっても日常的な交流が難しいという課題がある。そのため、第6回の今回は京都縦貫道を活用したバスツアー形式とし、最南端の精華町や木津川市から北部の宮津市の取り組みを直接学ぶ機会とし、さらに一歩踏み込み「実践の現場から学ぶ」ことを目的とした。
当日は8時に精華町を出発し、途中2か所で参加者が乗車。バス内でも情報交換しながら移動し、11時30分に宮津市へ到着し、宮津で現地合流した参加者と一緒にランチミーティングを行った。
午後からは地区公民館で開催されている第2層協議体「北部生活支援サービス研究会」の会議を見学し、情報交換を行った。
北部生活支援サービス研究会では、自治会ごとの取り組み状況の発表があり、サロン活動等が活発に行われていることが分かった。
意見交換では、参加者からメンバーの選出方法やグリーンスローモビリティの実証実験、ごみ出し支援等について質問かあった。質問に対して同研究会メンバーより、協議体は地域の現状を知るための大切な情報共有の場であり地域を知る機会になること。地域に根差した活動を行うために一人ひとりが主体的に取り組み、役割があること。企業との連携も大切だが、住民ができることを話し合うことが大切であることなどが熱く語られた。
今回の情報交換会は、実際の協議体の運営を現場で学ぶ貴重な機会となり、参加者にとって具体的なイメージを持つことができる有意義な内容となった。また、バスツアーとしたことで参加者同士の交流も深まり、これまで築いてきた横のつながりがさらに強化された。各市町村で取り組みが異なる生活支援体制整備事業において、他地域の実践を直接学ぶことは大きな刺激となり、今後の活動のヒントや推進力につながることが期待される。
今後もこのような実践的な学びと交流の機会を継続し、京都府全体の取り組みのさらなる推進につなげることが重要である。財団も伴走していく。(目﨑 智恵子)
協議体の活動・編成等に協力
北名古屋市(愛知県)
3月2日
北名古屋市第1層協議体の第1回会議が開催され、当財団は講師として協力した。同市は3年前から包括圏域に第2層協議体を立ち上げてきた。包括に所属する第2層SCが第2層協議体を開催し、話し合いからニーズが掘り起こされたり、活動創出が始まったりしている。愛知県のアドバイザー派遣で、2023年度から第2層づくりの勉強会(ワークショップ)に、25年度は報告会開催時に協力した。
この日は、財団から「生活支援体制整備事業の概要」として、事業の意義や第1層・第2層について説明。山梨県南アルプス市の事例を中心に、第1層・第2層それぞれの役割や、行政は地域の厳しい実情も住民に伝えて「一緒に取り組もう」という覚悟を見せる必要性があることなども伝えた。
次に第1層と各第2層が活動発表等を行い、続く「自己紹介」で第1層協議体メンバーである民生児童委員、老人クラブ、商工会議所、シルバー人材センター、連合自治会などの7名から自己紹介とともに同市の課題や意見、感じたことなどが話された。
最後に財団から、北名古屋市をよくしていきたいというそれぞれの思いを実感したこと伝え、第2層SCも入って目指す地域像を話し合うことから始めてはどうか、と提案した。
今後も相談しながら、第1層・第2層が連携して機能し住民主体の活動への働きかけが進んでいくようにバックアップしたい。(鶴山 芳子)
東彼三町(波佐見町・川棚町・東彼杵町/長崎県)
3月10日
長崎県東彼杵郡の三町(波佐見町・川棚町・東彼杵町)のSCらが昨年度夏に話し合いを重ね、住民主体によるさらなる地域づくりを推進しようと、協議体や助け合い活動を実践する住民による三町での交流会を企画。この日、「東彼三町協議体等合同研修交流会」が開催され、三町からそれぞれ15名ほどの住民、各町の包括、管轄する県央保健所職員、県担当、波佐見町の担当課長が参加した。当財団にも県のアドバイザー派遣により依頼があり、協力した。
波佐見町の担当課長によるあいさつに続き、財団が「住民主体で広がるまちづくり」と題して財団が講演した。「最近活動を始めた住民も多いため、活動の基本を押さえる」「後継者を問題、メンバーが固定化している等の悩みをどうするか」等の依頼に応える内容とし、ほかに「具体的なニーズを把握し共有すること」「住民だからできる効果」「助け合いの評価の考え方」等を事例を交えながら伝えた。頷きながら熱心に聞いてくれる参加者もいた。
各町の取り組み発表はSCが担当した。フォーラムや勉強会から助け合い活動創出が広がり出し、最近は小学校区ごとに地域ミーティングを始めている波佐見町。第2層協議体が第3層ごとに座談会を仕掛けているが、2年ほどで主体的な話し合いになってきており、座談会のニーズから第1層がフォーラムを計画している東彼杵町。手を挙げた人を中心に常設の居場所や企業と連携した買い物支援などの取り組みが生まれており、助け合いの広がりからか介護認定率も下がってきている川棚町。三町とも違う住民主体の取り組みが共有され参考になったと思われる。
情報交換会は、①「今取り組んでいること」、②「今後取り組んでいきたいこと」について地域ごちゃまぜのグループで話し合った。いくつかのグループからの発表を受けて、最後に10分ほど財団からコメントした。情報交換会後の満足したような表情の参加者の気持ちを受け、町を思い熱心に取り組んできたことを称え、地域は違えど目的は同じ近隣の仲間であること、今後は見学し合ったりするのもよいのでは、と話すと頷く参加者もいた。さらに「多様な主体の連携に向けた交流会」の事例を紹介し、次の実践を提案した。
三町の関係者は、この交流会の成果を共有し、2026年度も計画していきたいとのことだった。17年頃から事業に取り組んでいる三町でどの町も助け合いが広がり始め、協議体も活発になってきた。交流することで刺激し合うよい機会となった。(鶴山 芳子)
村上市(新潟県)
3月17日
村上市で毎年恒例の第1層協議体と第2層協議体「ご近所ささえ~る隊」の合同研修会が開催され、当財団はアドバイザーとして新潟県担当者と共に参加した。今回は第1層・第2層協議体と各SCに加え民生委員や自治会長等にも声をかけて行い、会場にはいつもより多くの参加があり活気ある研修会となった。
開会あいさつ、オリエンテーションに続き、「互近所ささえ~る隊活動報告 ~今年度の活動を共有し、来年度の活動へつなげよう!~」として各第2層協議体が活動を発表した。
グループワークは、活動発表の「良かった」「いいね!」と思う点、「こうしてみたらどうか」など自由にアイデアを出し、全体発表を行った。
同市は第2層協議体を旧町単位5圏域で設置しているが、体制をつくった2016年頃からまちづくり協議会との連携を進めており、第1層・第2層共に協議体メンバーがまち協やNPO、社協、自治会区長、民生委員、介護サービス事業所、集落支援員などさまざまな組織の人で構成されている。第2層はそれぞれが独自の活動をしており、この機会にその取り組みの成果や課題を共有し、26年度の各協議体の取り組みに生かしていくことを目的に合同研修会が開かれている。
地域座談会、資源把握によるマップや便利帳の作成、移動サービスや地域の茶の間、除雪等の生活支援などざまざまな助け合い活動の創出、まち協との連携した取り組みが定着してきているように感じた。まちづくりと連携することで対象者が全世代型となり、またデータを生かしたり、座談会によるニーズ把握や意識醸成も自然に行われているようである。
財団からは、まち協との連携による活動の定着とその効果、これからの活動として、①家族機能低下による生活支援(移動も含む)の仕組みづくりの必要性、②認知症になっても行かれる常設共生の居場所づくりと、居場所という拠点を軸にした企業や学校等との連携、③多様な主体の連携、を提案。新潟県主催の「居場所活動大交流会」に触れ、県担当者からも内容を紹介しもらった。さらに、④総合事業を活用し主体的な活動継続につながるように、とコメントした。
同研修会の優れたところとして、グループワークの方法が光っている。グループは地域ごちゃまぜでつくり、1つの協議体の発表に対して、よかった点と「こうしてみたらどうか」というアイデア出しをする。それぞれが自分の地域の実践経験に基づいて振り返る機会となり、新たなアイデアを生み出し自分たちの活動に反映できる。さらに、地域を越えて同じ目的を共有する仲間づくりにもなるよい機会だと感じる。(鶴山 芳子)
アドバイザー派遣事業に協力
開成町(神奈川県)
3月16日
開成町は2025年度、第1層協議体の活性化を狙いとして、町、社協、SC、県、そして当財団も県のアドバイザー派遣として協力し、話し合いを重ねてきた。昨年12月と今年1月には、協議体メンバーの事業の理解や、主体的な住民を協議体メンバーに加えることを目的に住民フォーラムを行った。また、ワークショップで住民ニーズや「この人たちに入ってもらうとよい」という意見も共有した。
この日は、アドバイザーとして丹直秀理事と一緒に協力した。議題は次の通り。
① 神奈川県 生活支援体制整備アドバイザー派遣 地域包括ケア推進事業のおける専門職員等派遣事業採択による「開成町支えあいのまちづくりフォーラム」の振り返りについて
② 支えあい推進会議(協議体)で取り組むこと(具体的な方針の決定)について
①と②について、参加者からそれぞれ意見が出された。参加者は、フォーラムに参加して理解を深めた第1層協議体メンバー。オブザーバーとして、フォーラムで手を挙げた住民6名が参加したため、より活発な議論となった。オブザーバーメンバーは地域愛があり、地域のために考えていたこと・気になっていたことがそれぞれあった様子。熱心に前向きな意見を述べ、それを皆で共有できたこともよかった。
26年度のフォーラムは、協議体メンバーやオブザーバーメンバーなどで実行委員会をつくって進めることになっている。(鶴山 芳子)
(本原稿は、上田恵子、鶴山芳子、目﨑智恵子)