活動報告

北から南から 各地の動き

さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。

2024年2月1日~2月29日分

SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出

住民に参加を呼びかける支援 (住民対象のフォーラムや勉強会の支援等)

南アルプス市(山梨県)

2月17日

 南アルプス市で、「子ども若者ささえ愛基金講演会 居場所づくりは地域づくり」が開催された。子ども若者ささえ愛基金は、同市で2018年度に創設された基金で、これまで子ども食堂や学習支援、体験・交流活動などに活用されてきた。今回は事業の周知と、市民に自分らしく過ごせる居場所、地域共生社会について考える機会となることを狙いとして開催され、「共生型常設型の居場所」と「地域づくり」をテーマとした講演を当財団が行った。
 最初に行政より本基金について、子どもたちのためにと市民から5000万円の寄付があり立ち上がった基金であること、家庭の子育てだけではカバーできないことを広く子どもたちに提供し、細く長く続けていく方針であることが説明され、これまで助成した団体について紹介があった。
 次に財団が講演。人と人がつながらなければ地域づくりにはつながらないことと、そのための場づくりの必要性について話した。参加者に「ふらっと出かけて、ゆっくりできるところはあるか」と問いかけてみたところ、手を上げる人はいなかった。みんなが行きたくなる居場所とは、役割があるところ、居心地がいいところ、自由に過ごせる場所であるとし、プログラムありきでない、各々がやりたいことをやれる対等な場所であることが必要と話した。事例として、千葉県四街道市「コミュニティ喫茶『欅』」をメインに、静岡県袋井市「あえるもん」や新潟市「実家の茶の間・紫竹」の例を紹介。お互い様の関係づくりには、活動を自由に変化させ、皆が誰かの役に立ちたいという優しい心が生かされるような地域づくりにつなげていくことが大切であると伝えた。それぞれの事例は共生の居場所であり、子どもが参加するためのきっかけや子どもが参加したことによる効果も伝えた。また、今後向けて、子どもたちを真ん中にした地域づくりである「ともあそび」についても紹介。乳幼児の頃から遊びを通じた地域の多様な人たちとのふれあいが共感力を育むこと、そこに高齢者も参加することがこれからの若い世代も含め
た地域づくりを推進することになること等も伝えた。今回は、参加者に財団ツール『ともあそびへのおさそい』『どうあそぶ?QA』も配布した。
 最後の質疑応答では、長年引きこもりだったという男性が「共感した」と言いながら、人との関わりを持てるような機会を提供してほしいとの要望を市に伝えていた。また、基金の助成を受けて活動している団体の報告もあった。アンケートでは「刺激になった。基金の活動がもっと広がればと思います。『自分が自分らしくいられる場』は支援を受ける人もその場をつくる人にとっても必要な場だと思いました。まずは少人数(3~4人)で集える場をつくりたいと思います」「高齢者の居場所があるが参加者が多く、続けるのが難しくなっている。講演を聞き、地域の子どもや若者等を巻き込んで何かと続けたいと思います」など、今ある活動にプラスしていこうという意見も多く、今後、協議体と子どもたちの取り組みの連携にも期待が持てる機会になったと感じる。(鶴山 芳子)

吹田市(大阪府)

2月22日

 吹田市社会福祉協議会主催「団塊世代・退職後のボランティア講座」が開催され、当財団も講師として協力した。
 第1部は財団の基調講演。「第2の人生の生きがい、楽しみをみつけ、充実した日常を送るために」と題し、定年退職後の世代がボランティア活動(社会参加)をすることで、いきがいづくりになることを話した。
 第2部は、同市南山田地区福祉委員会の古賀信弘氏より先輩ボランティアの体験について話された。財団と古賀氏のトークで、古賀氏から「できることは減ってきているが、地域で人とのつながりができたことや役割があることが、セカンドライフの活力になっている」という話もあった。
 グループワークでは、自治体の継続が難しくなっていることや、健康状態に合ったボランティア活動をしていきたい、等の意見があった。(目﨑 智恵子)

座間市(神奈川県)

2月29日

 座間市社協主催「地域での支えあい活動を一歩踏み出す研修会」に協力。冒頭、市社協の第1層SCより、今回を契機に住民主体の助け合い活動の立ち上げにつなげていきたい、と話があった。当財団は「助け合いの仕組みづくり どう立ち上げ、運営する」と題して、有償ボランティア(生活支援)の立ち上げについてプロセスを講演。「助け合い体験ゲーム」で“助けて”と言えることの大切さを伝え、事例ではNPO法人ふれあい天童(山形県天童市)や、きばいもんそ会(鹿児島県鹿屋市)の動画も活用して、お互い様の助け合いの仕組みについて伝えた。
 また、同市内で2018年から活動している「相模が丘ふれあいネットワーク」からも、「相模が丘ふれあいネットワークの現状と課題」という題で発表があった。年間200件以上活動し、屋内清掃や草取り等の依頼が多いようだった。今後の課題は会員の高齢化、広報、事務所の不在、とのことだった。質疑応答も行われ、熱心な話し合いが行われた。(鶴山 芳子)

SC研修・情報交換会等に協力

埼玉県

2月20日

 埼玉県の「SCブロック別連絡会」(東部ブロック)にオブサーバー参加した。参加者12名。
 グループワーク中心の内容で、グループワーク1は同じ立場(行政担当者、第1層・第2層SC)で「今年度1年間の振り返り」を共有。グループワーク2は経験年数の近いグループで「次年度に向けての目標設定」を行い、最後に全体で今後の目標と感想を円座になって各自が発表した。
 少人数でグループワークの時間配分も50分間と長めに設定しており、全体共有でも、全員が発表することで十分な情報共有ができたようだ。感想の共有では「少人数で時間配分もゆったりと取られており、参加者同士十分に交流できてよかった」「SCは何をしたらよいのか迷っていたが皆さんの話が参考になった」「具体的な取り組み内容が聞けてよかった」などの意見があり、高評価だった。
 まとめとして、県地域包括ケア課、県社協、今回の企画担当であった羽生市高齢介護課、吉川市第1層SCから、それぞれ総括コメントがあった。羽生市からは「現場に入る機会が少ない中で、SC現場の話は参考になり、コミュニケーションの大切さを実感した」とコメントがあった。吉川市SCからは「コロナ禍でも活動を止めることなく続けることができたのは第2層協議体があったからこそで、住民の力を感じる。また、SCも一人ではなく、この場のようにつながっている仲間がいることを意識してほしい」といったアドバイスがあった。財団からも、「地域で安心して暮らしていくために生活支援体制整備事業を推進しているのであり、協議体等の会議を開催することが目的ではない。事業本来の目的に立ち返り、協議体の体制も柔軟に考えて進めてほしい」と伝えた。
 近隣地域同士でのSCのネットワーク形成も兼ねたこの連絡会は、あえて集合型で行っている。また、指導者クラスのSCが企画に携わることで、SCのニーズに応える内容となっている。今回も所属別、経験年数別とメンバーを替えて2回のグループワークを実施し、時間を長めに設定するなどSC目線での工夫がなされていた。今後も、SC同士の情報交換ができる研修の機会として、特に新任クラスのSCにとっては貴重な機会になるのではと感じた。(岡野 貴代)

協議体の活動・編成等に協力

佐渡市(新潟県)

2月8日

 「令和5年度 佐渡市支え合いの仕組みづくり連絡会(第1層協議体)が対面で開催され、助け合い活動等の実践者ら約30名が集まった。当財団は、アドバイザーとしてオンラインで参加した。
 同市第1層は、企業等を中心に50名を超える大所帯であることが特徴。2022年度は財団が現地で、新地域支援事業の意義や助け合いの効果、SCと協議体の役割等を事例を通じて伝えた。その後、第1層のあり方を検討してきた同市。23年度はフォーラムから勉強会を重ね、意識の高い助け合い実践者などを発掘してきた。第1層も見直しを行い、財団が企画にも協力しながら、意識の高い住民(活動者)に集まってもらい情報交換を中心にする会議を行った。
 意見交換「取り組んでいる活動や地域の良いところ・困っているところ・これからどう取り組んでいったら良いか、などについて」は、①活動の取り組み内容や困っているところなどについて紹介、②参加者の紹介を聞いてお互いに意見交換する、という内容で行い、発表した。
 同市の第2層は4圏域でSC4名が頑張っており、圏域ごとの取り組みはしてきたが、市全体での情報交換はとても新鮮だった様子。思いのある住民がここで知り合い、ワークショップで悩みやノウハウを情報交換し、仲間としてつながる機会となった。
財団のまとめのコメントは主に以下の通り。
・話し合いが盛り上がり、時間が足りなかったのではないか。情報交換で得られた情報やつながりをこれからの活動に生かしてほしい。また、お互いに活動を見学に行ってはどうか。
・各グループの発表は、地域のつながりの必要性として防災や集落のお手伝い、買い物、サロン・地域の茶の間をはじめ多様であり、ニーズも高齢者に限らず、子どもから高齢者までさまざまな人たちが関わる活動の必要性や課題なども出された。暮らしを考えれば当たり前で、住民だからできる助け合いの多様性、柔軟性を感じた。
・人口減少が進む中、「茶の間」と並び生活支援も今後重要になってくる。独居高齢者が増えることだけでなく、子育て中の人たちも共働きが増え、若い世代も頼みたいことがあるので、そういった活動も意識して広げていきたい。

 参加者アンケートのコメント(抜粋)には、「各活動の話が充実しており、もっと聞きたかった。細かいことも話したく、時間が少なかった」「各地区、同じような話ですが、皆が高齢に向かって一歩一歩歩いているのですから、お互い様。助け合い気にかけながら明るく生活していきたいですね。どうぞよろしく!!」「いろいろな活動が聞けて参考になりました。他地域の活動へ参加できる機会があるとうれしいです」等があった。(鶴山 芳子)

岬町(大阪府)

2月9日

 「令和5年度第2回 岬町生活支援・介護予防サービス協議体会議」が行われた。参加者は、町高齢福祉課高齢介護係、町社協SC中家裕美氏、協議体会議構成員14名、アドバイザーとして当財団。
 前回協議体の振り返り、町より「岬町徘徊高齢者等SOSネットワーク」の説明、中家氏より5月に行われる「岬町まち歩き見守り声掛け訓練」の説明、その後グループワークを行った。
 グループワークに際し、財団より「見守り声掛け訓練」に向けて地域資源と連携の重要性について講義。グループワークのテーマは「認知症の方と共に生きる地域をどう創る(協議体で取り組めること)」。そのために、今後どのような企業等と連携が必要か、またなぜそう思ったのか。意見として、連携が必要な企業等については、公共機関、コンビニ、個人商店などが挙がった。また、掲示板での周知が必要との声もあった。さらに、町の人と接する機会が多くある場所と連携することが必要であることが全体で共有された。
 まとめとして財団から、協議体が地域の人と企業等をつなぐことの必要性、地域の人が認知症になっても住み慣れた地域で暮らし続けられる地域づくりをすることが重要であることを伝えた。
 中家氏は地域支援事業の中の他事業との連携もしっかりと考えており、地域ニーズからネットワークづくり、支え合い活動創出を住民と共に行っている。今後も岬町を支援していく。(目﨑 智恵子)

宿毛市(高知県)

2月13日

 宿毛市の次年度戦略会議に情報提供で協力した。同市では、2017年に勉強会で第2層協議体を編成し、これまで活動を継続している。今回は、地域包括ケアに向けた地域づくりの視点から、今後の協議体の活動と関係者のバックアップのあり方などについて意見交換を行った。
 生活支援体制整備事業における活動創出は「互助を基本」とするため、これを関係者が成果とすることはできない。一方で、関係者は協議体の活動のバックアップを継続していく役割を担い、そのために行政と社協等関係者の連携が重要になる。今回はこの点について現場の進捗を踏まえた意見交換を実施することができた。(長瀬 純治)

三浦市(神奈川県)

2月19日

 三浦市の第2層連絡会が開催され、当財団は情報提供で協力した。同市では、現在2圏域で協議体が編成されており、今回は各圏域の構成員が参加し、それぞれの活動状況に関する報告とともに意見交換を実施した。
 報告では、いずれの協議体でもさまざまな地域情報が共有されていることが伝えられた。その後、報告内容に加えこれまで取り上げられたトピックスについて、構成員の意見を確認すると、地域課題などについてさまざまな意見が出された。どれも生活に密着した、正に住民目線での意見交換となり、今後の「互助を基本」とした活動創出の可能性にも大いに期待が持てる内容となった。(長瀬 純治)

西海市(長崎県)

2月19日

 西海市は、昨年10月に3回目の住民フォーラムを市全体に働きかけて大瀬戸町で開催した。その後も勉強会を重ね、3回目の今回は稲葉ゆり子氏(静岡県袋井市、たすけあい遠州代表・当財団評議員)を招いて行われた。2年前に同県波佐見町のミニフォーラムで稲葉氏の講演を聞いたことがきっかけとなっている。今回はチラシを作り、あらためて周知を行い50名以上の住民が参加。稲葉氏の講演を熱心に聞き、たくさんの質問が出る活発な勉強会となった。
 稲葉氏は活動を始めて30年近く。きっかけは「目の前に見えたから、すぐ近くで聞こえたから、気になり足を止めて一歩へ」とのこと。学校事務をしていた40代の頃、子どものことが女性たちの負担になる様子を見て、「私にもできることがあるかな」と考え、51歳で仕事を辞め、働く女性の支援に踏み出した。そして「自分がしてもらってうれしいこと」と惣菜作りを一人で始めた。その話を見た人、聞いた人が「手伝う」と加わった。また、「たすけあい遠州」での助け合いと、コロナ禍にスタートした地縁での「高南の居場所あえるもん」の立ち上げと助け合いについて。また、状況により柔軟に活動を変化させること、稲葉氏自身が体調を崩した体験、仕組みがあってよかったというさまざまな人たちのエピソード等も紹介された。特に現在は、「誰よりもありがとうをもらっている」「会話の中にありがとうがあると、信頼関係やつながりが濃くなる」との話に参加者は熱心に聞き入った。
 質疑応答では、「助け合いの仲間づくりは、仲良しこよしではうまくいかない。同じ目的を持つ人がいい」「楽しいとは、役割があること」「『あえるもん』は班内回覧で320万円の出資金が集まり2年で返した」「分かち合うことが好きである」など稲葉氏のさまざまな回答が参加者の理解を深め、心を打った。
 同市では、大瀬戸地区は3月に最終となる4回目の勉強会を行う。2024年度は大島地区での取り組みを予定している。(鶴山 芳子)

東郷町(愛知県)

2月21日

 東郷町で第2層協議体の連絡会が開催され、当財団は情報提供で協力した。当日は同町全2圏域の第2層協議体から構成員が参加し、それぞれ毎月開催している協議体の活動報告が行われ、普段の活動の様子を共有することができた。また、その後実施されたグループワークでは前向きな意見交換が行われた。今後の展開に大きく期待できる内容となった。(長瀬 純治)

安曇野市(長野県)

2月24日

 市民向け「安曇野市地域支え合い推進フォーラム」が「安心して暮らせる共生のまちをつくるには」をテーマに市主催で開催され、約120名の地域住民が参加した。
 開会あいさつの後、第一部として「みんなでつくる共生のまち 安曇野」と題して当財団が講演。人とのつながりを増やすことで自分自身が元気になること、住民主体で地域の助け合いに取り組んでいる様子などを、取り組み事例の動画も交えて伝えた。
 第二部ではまず地域担当のSCから自己紹介があった。続いて市内の事例報告として、豊科地域「区内各組織連携の取り組み」と題して、区公民館役員OBが企画・運営する「細萱塾」を紹介。遊び場づくりとして始めたが、塾生の増加とともに「助け合いの必要性」に目が行き始めている現状が発表された。2つめの事例は穂高地域からで、「立足 地域支え合いの会の取り組み」の発表。「災害時住民支え合いマップ」の作成を機に住民アンケートを実施、有償ボランティア「立足地域支え合いの会」を発足した経緯が説明された。身近な地区での住民の報告に、強くうなずく参加者が多く見られた。(高橋 望)

立科町(長野県)

2月25日

 「支え合いが広がる地域になるために何ができるか」について地域住民と一緒に皆で考えていくきっかけとして、立科町社協主催「支え合える地域をつくろうセミナー」が開催された。当日はあいにくの雪だったが、町民の約60名が会場参加した。
 当財団からは「みんなでつくろう 支え合いの立科」と題して、助け合いの意義や効果について事例を交えて説明した。さらに、住民主体の活動ができるまでの進め方を示し、話し合いの場を持つことの重要性を伝えた。
 町社協では、本セミナーをきっかけにやる気のある住民の声を拾い、支え合い実現に向けて継続して取り組んでいきたい考え。財団も支援していく。(髙橋 望)

県の生活支援体制整備事業推進連絡会に協力

福島県

2月5日

 「令和5年度福島県生活支援体制整備事業推進連絡会」が開催された。この連絡会は、県内の同事業のアドバイザーと、保健福祉事務所が参加する情報連携の場。事業のアドバイザーとして、CLC(NPO法人全国コミュニティライフサポートセンター)、「推進チームふくしま」メンバーでさわやかインストラクターの大山重敏氏、当財団が協力した。
 県健康づくり推進課、当連絡会のアドバイザーである奈良県生駒市役所特命監・田中明美氏のあいさつに続き、事業アドバイザーから、特に市町村支援のあり方についての意見、および気づいている点を中心にそれぞれ報告を行った。課題として、事業間連携ができていない、行政や管理職層の理解が薄い、マンパワー不足・兼務の負担感、事業報告会となっている協議体がある、コロナ禍から協議体が再開されていない、市町村へのアプローチが難しい、自己評価が低く何もしていないと評価してしまう、地域ケア会議へのSCの参加割合が低い、組織全体で事業の概念が共有されていない、事業の停滞感を感じる、等が挙げられた。
 続いて、当連絡会のアドバイザーである東北福祉大学総合マネジメント学部准教授・森明人氏よりアドバイス。福島県は、市町村支援に保健福祉事務所が関わっているところが大きな強みであることなどのコメントがあった。その後、県主催SC研修の事務局である県社協より、SC研修実践編「協議体運営に必要なファシリテーターを学ぶ」(講師:鈴木まり子ファシリテーター事務所代表鈴木まり子氏)の実施報告があった。
 次に健康づくり推進課より令和6年度事業計画案の説明。現状通り、年2回の連絡会実施、SC研修会は基礎編1回・実践編1回とする。回数制限なく実施していたアドバイザー派遣は、広く活用してもらうために各市町村1回の派遣としたいとのこと。アドバイザー、保健福祉事務所にも令和6年度の計画に対して意見を求められたが、行政向け(担当課だけでなく全体向け)研修会の実施を求める声や、SC基礎研修をもう少し早い時期に実施すべき、基礎編は基本的な事項とし、実践編は事業間連携やアセスメントを含めた地域へのアプローチ方法なども検討してほしい、有償ボランティア立ち上げのための住民向け研修会があるとよい、等の意見があった。財団からも、アドバイザー派遣は各市町村1回でなく、協議体立ち上げ時や課題の多い市町村など、申請を受けて県が必要と判断した場合は複数回の派遣も認めてはどうかと述べた。
 その後、田中氏が講義。生活支援体制整備事業ができてから、地域づくりはSCがするものという誤解がある。生駒市は地域の資源を生かしながらさまざまな形態で進めている、等の話があった。(岡野 貴代)

県の介護予防従事者研修会に協力

愛媛県

2月14日

 愛媛県主催の介護予防従事者研修会が開催され、当財団は情報提供等で協力した。当日は県内自治体から地域包括支援センター等の関係機関、県の保健所関係者などが参加した。本研修の構成と内容については、企画の段階から愛媛県と財団で協議を行い、最終的に地域包括ケアに係る現場の課題を整理するとともに、地域づくりのあり方などについて意見交換の機会を設けることになった。
 グループワークでは、住民主体の活動の重要性について前向きな意見が多く出されたが、加えて日頃の多忙さなど現場の実情についての報告もあり、現状を共有できる貴重な機会となった。(長瀬 純治)

助け合い創出勉強会に協力

田上町(新潟県)

2月7日

 昨年10月の住民フォーラム後、助け合いの創出を目的に勉強会を重ねてきた田上町の3回目の勉強会が開催され、31名が参加した。フォーラム、勉強会共に、第1層SCと協議体、行政が一緒に取り組んだ企画である。フォーラム参加者でアンケートに記名した人たちを対象に、1回目は昨年11月に当財団が関わり「様々な助け合いの形を知る」と題し、助け合いの目的・課題を共有した。2回目は12月に、助け合いの実践者である支え合いのしくみづくりアドバイザー河田珪子氏を講師に「実際の活動を知る」と題し、自分のやりたいことのイメージを膨らませることを狙って開催。そして、3回目となる今回は当財団が関わり「思いを語り合おう」をテーマに自分のやりたいこと・思いを共有し、仲間をつくることを目的に開催した。
 行政・SC・県との事前打ち合わせで、2回目の勉強会の内容や反応を共有し、3回目の内容について詰めた。2回目で河田氏が質疑応答の時間を多く取り、始める上で大事なのは「何をしたいのか」「何のためにするのか」という目的を明確にすること。人が集まる要因は「何でも完璧にせず、手助けしようと思ってもらえる環境づくりが大事」など、具体的な質疑応答が行われ、参加者の心が動き意欲が前進している。3回目は講義よりも参加者同士で話し合う時間をつくることが大事ではないかと提案し、上記のような内容で質疑応答は活発なやり取りとなった。
 終了後のアンケートには25名が回答し、「支え合い助け合いを実現したい」13名などの回答のほか、「グループワークの発表会は非常に役に立ち、今後参考にしていきたい!」「みんなとの思いの共有はまだ足りない?」「この会に同じ地区の方がもう少しいてくれたらと感じた」等の意見が見られた。また、「居住地域でできること、できそうなことから始めたほうがいいと思う」「具体的にどこでできるのかを決めて進めていく」「やれることをまずやってみることが大切」、そして「スタートアップできるまで継続してほしい」など、フォーラム後の意欲ある人たちが3回の勉強会で具体的なノウハウや実践者の話を聞き、話し合いを重ねることで、「やってみたい」「関心がある」ことに向けて動き出しそうな様子が見られた。
 3月25日には、希望者を募って新潟市の「実家の茶の間・紫竹」を視察する予定。2024年度も協力していきたい。(鶴山 芳子)

個人情報に関する勉強会に協力

駒ケ根市(長野県)

2月19日

 駒ケ根市と市社協共催の「個人情報に関する合同勉強会」が開催され、SC、民生児童委員、区・地区社協役員等、約100名が参加した。
 住民を中心に構成された支え合い推進会議(第2層協議体、市内16か所)では、参加するメンバーが個人情報保護を考慮して会議内で情報提供ができず、協議体としての取り組み自体が停滞する場面が見られるようになってきた。そこで、お互いが持つ個人情報をどこまで共有してよいのか等、個人情報の適切な取り扱いについて共通理解を図り、各地区で仕組みを構築し、支え合いを推進していくことを目的として、合同勉強会が開催されることになった。
 当財団からは、同市では支え合い推進会議自体に守秘義務を課しているため、そこで話されることは外部に漏れないこと、人の生命・身体の保護に関することは個人情報保護より優先されること、基本は信頼関係なので本人の同意を得るのが好ましいこと等を、具体例も交えながら伝えた。(髙橋 望)

アドバイザー派遣事業に協力

渋川市(群馬県)

2月8日

 群馬県のアドバイザー派遣事業で、渋川市の第1層協議体構成員に向けた勉強会が開催され、情報提供で協力した。これまで同市では、生活支援体制整備事業を積極的に進めてきた。協議体としての活動も継続し、活動創出に取り組んでいる。今回は、これまでの取り組みをさらに前進させることを目的に「互助を基本」にした考え方に重点を置き、意見交換では今後の第2層の進め方など前向きな意見が多く出された。(長瀬 純治)

東彼杵町(長崎県)

2月15日

 東彼杵町で第2層協議体メンバー選出を目的とした2回目の勉強会が行われ、長崎県のアドバイザー派遣事業として当財団が協力した。飛び入り参加もあり60名ほどの住民が参加。同町は第2層を2圏域に立ち上げることとし、1回目の勉強会で目指す地域像を話し合った。今回はその地域像を実現するための協議体メンバーについて意見を出し合った。
 行政あいさつの後、第1層SCの末竹将司氏が振り返りと勉強会の趣旨を説明。続いて財団より「SCと協議体は何をするのか―役割について」と題して講演。ステップ①~③の役割について事例を交えながらイメージを共有した。途中で「助け合い体験ゲーム」を入れて、意見が出しやすい雰囲気づくりと「助けて」と言うことの大切さを伝えた。
 その後のグループワークでは、協議体メンバーについて自薦も含めて意見を出し合った。ゲームの効果もあって活発に意見を出し合う姿が見られた。最後に発表で共有し、財団がまとめを行った。
 今後、行政・SC・県央保健所で、協議体への参加の有無を聞くアンケートやグループワークで出された意見を整理し、意見を生かした選出を行う。その結果を参加者全員に伝え、広報等で町民にも知らせる予定とのこと。
 終了後の関係者の振り返りで、選出後の各地域での座談会等のスケジュールも大まかに立てながら、第2層協議体の活動を進めていこうと話し合った。長崎県は、県央保健所が市町村の地域ケア会議や生活支援体制整備事業に積極的に関わり、継続的にフォローする体制がある。「勉強会に参加してよかった」との声も多かったとのことだった。(鶴山 芳子)

韮崎市(山梨県)

2月21日

 韮崎市で第3回地域づくり勉強会が行われ、山梨県のアドバイザー派遣事業として当財団が協力した。同市で昨年開催された住民向けの地域支えあいフォーラムから、住民勉強会や市民活動の現場視察を経て、今回3回目の集まりとして住民勉強会が開催された。
 冒頭、市長寿介護課より、今後の活動日程と事業の主旨説明があった。2024年度も地域づくりフォーラムを開催し仲間を募りたい考え。また、協議体にもつながり得るような地域づくりチームを立ち上げたいので、関心のある人は今回のアンケートに記名してくれるよう伝えた。
 市と市社協が現場視察で参加者に実施したアンケートの回答から、具体的なノウハウを知りたいという意見や居場所への関心がうかがえたため、財団の講演は「行きたい居場所を立ち上げよう! ―立ち上げ・運営のコツ―」というタイトルで行った。
 AとBのグループに分けて行ったグループワークでは、「みんなの思いを語ろう」をテーマに、勉強会に参加したことでの気づきややってみたいこと、悩んでいることや聞きたいことなどを自由に話す時間が設けられた。まとめで、Aグループの発表者はすでにラジオ体操、河川敷での花植えなどいろいろな活動に取り組んでいるが、年々高齢化していること、資金の問題があることを挙げていた。また、具体的にやってみたいことが思いつかない中、みんなが「それいいね! やってみたい」となるために、どうすれば地域に関心を持ってもらえるか考えているとのこと。Bグループの発表者は月2回の体操クラブをやっており、歩いて行ける場所に誰もが行きやすい居場所が必要だと感じたとのこと。
 財団からは、すでにさまざまな取り組みをしている人が多いので、そういった活動をみんなで共有する機会ができるとよいのでは、と伝えた。また、地域課題を共有する協議体、助け合いの仕組み、話し合いの場を地域ごとにつくってみることも提案した。(鶴山 芳子)

沖縄県介護保険広域連合

2月26日

 沖縄県介護保険広域連合のアドバイザー派遣事業に係る報告会が開催された。当財団としては、これまで広域連合における生活支援体制整備事業推進に関して研究に取り組んできた経緯から、対象自治体の支援に協力してきた。
 当日は、財団から制度と全国の動きについて情報提供を行い、その後パネルディスカッションの形式で、広域連合と対象自治体である北中城村、宜野座村、伊是名村と共に2023年度の実施報告と意見交換を行った。この企画では、会場とオンラインのハイブリッド形式で参加できる環境を用意し、構成自治体から50名ほどの関係者が参加。離島部を含めた協議体編成までのプロセスを具体的なイメージで共有することができた。
 今後は、さらなる構成自治体の事業推進に向けた取り組みを、引き続き広域連合がバックアップをしながら展開していく予定。(長瀬 純治)

山梨県

2月28日

 山梨県でアドバイザー派遣報告会があり、NPO法人全国移動サービスネットワーク事務局長の伊藤みどり氏と当財団の鶴山がアドバイザーとして協力。また、さわやかインストラクターの石井満代氏と長谷川すみ江氏もオブザーバーとして参加した。2023年度にアドバイザー派遣事業を活用した8市町村が取り組みについて発表し、その後、担当アドバイザーからコメントする形で行われた。

【都留市】内容:協議体・SC活動支援 支援回数:3回
 行政の異動やSCの交替がある中、生活支援体制整備事業をどのように進めればよいか悩み、アドバイザー派遣を活用。外部からアドバイザーに来てもらったことで、市内で広く展開されている介護予防事業との関連性のあり方について整理できた。1地区に狙いを絞りアプローチしたことで、住民主体の進め方について気づきがあった。今後はコロナ禍で停滞した第1層の再編成を、社協との連携強化も図りながら検討していく。
(鶴山コメント)
 この事業は目指す姿に向けて長い時間をかけて取り組むもの。やってきたことに無駄はなかったということを、関係者が共有できたのはよかった。これまでの取り組みを生かしながら連携を進めてほしい。

【韮崎市】内容:居場所創出、移動サービス創出 支援回数:4回
 移動と居場所創出に取り組んだ。移動については、本格開始の前から噂を聞きつけた人からすでに利用したいとの問い合わせも来ている。
(鶴山コメント)
 居場所創出は、フォーラム開催後の動きに悩んでいるように見受けられ、勉強会の参加者も少なかったが、思いのある住民は多かったのでこれからに期待したい。また、現場視察を実施した点はとてもよかった。

【南アルプス市】内容:移動サービス創出 支援回数:4回
 8年前の協議体発足から移動のニーズはあったが、市内全域に広げられないジレンマがあった。不安から足踏みする地域と、スタートできる地域の違いは何か考えていたが、人・お金・車・保険・気持ちのどれが問題なのかがだんだん整理できてきたように思う。24年度に向けて一歩進むことができた。マニュアル作りの動きができたことは希望の光。ニーズがあっても支援やサービスにつなげられなかったが、2層・3層の声を1層で吸い上げてもらう取り組みをした。住民にまず移動サービスに関心を持ってもらう必要がある時期に来ていると感じる。
(伊藤氏コメント)
 過去は好事例の提供を求められたが、今回は住民に自分事として感じてもらえるような展開が必要であると感じていた。マニュアルも市が作るのではなく、協議体の声を盛り込んで一緒に作っている。市ができること、住民ができることをそれぞれ宿題として取り組んでいた。住民が意見を出したり伝えたりすることに慣れていた同市のアドバンテージもあったと思う。

【北杜市】内容:協議体・SC活動支援 支援回数:3回
 打ち合わせを2回行い、昨年末にまちづくりフォーラムを開催。これまで自分たちだけで取り組んで悩んでいたところもあったが、外部の視点を取り入れてどこに目標を設定するのか皆で共有できた点がよかった。
(鶴山コメント)
 狙いを定めてフォーラムを開催できた点は素晴らしかった。参加者のニーズをくみ取りながら企画をしている点も良い。市と市社協の連携もより良くなっていると見受けられた。移住者が多い特徴もある中での共生地域づくりの推進事例として今後も注目したい。

【甲斐市】内容:移動サービス創出 支援回数:1回
 ささえ合い活動養成講座を実施。
(伊藤氏コメント)
 養成講座は、実際に困っている人の声や事例を共有できるとよかっただろう。

【笛吹市】内容:協議体・SC活動支援、移動サービス創出 支援回数:2回
 助け合いと移動についてのフォーラムをそれぞれ1回開催した。
(伊藤氏コメント)
 今後の動きは、移動と協議体の両輪でやっていくのがよいと思う。
(鶴山コメント)
 「原点に戻る」というフォーラムだった。助け合い活動をしている住民の発表もあり、住民から住民に働きかけることができた点はよかった。2層の数が減っているが、やる気のある人が今後参加してくれると良い。

【市川三郷町】内容:協議体・SC活動支援 支援回数:2回
 これまでの取り組みで住民から「住民主体でやりたいことは分かったが、町や社協はどういうスタンスなのか」と問われることが多かった。そこで、行政と社協が何度も話し合って共通理解を持つようにし、それをしっかりと伝えるようにした。協議体を始めたいとの声も上がるなど今後につながる下準備ができてきたので、24年度は支え合いを実感できるような成果が具体的に出てくるとよい。
(鶴山コメント)
 覚悟を持って町の姿勢を伝えたことや、一緒に話し合ったことが住民の意識醸成につながった。主体的な協議体の創出に期待したい。

【富士川町】内容:移動 支援回数:3回
 移動サービス創出に向けた打合せを行った。
(伊藤氏コメント)
 役場の話を聞くことに注力した。途中、農村RMOの話が降ってきた町である。

 発表後、グループに分かれて発表に対する情報交換を実施した。
最後の講評で伊藤氏は、「住民主体」という言葉は“住民発意”だと考えている。みんながつながっていければだんだんと楽になっていけるものと思う。怖がらずに引き続き取り組みを進めていってほしい、と話した。
 鶴山からは、今回が自分の市町に何かしら学びを持って帰る機会にできたこと、また発表することでいろいろ気づきも得られたと思う。「ハードルが高い」という言葉は、これまでやらされ感でいっぱいだったところが、自分たちでやろうとした意識から出てきた言葉かもしれない。その壁をどうやって乗り越えるのか、主体性のある住民を中心に話し合い乗り越えていきたいと伝えた。(鶴山 芳子)

(本稿担当は、岡野貴代、髙橋望、鶴山芳子、長瀬純治、目﨑智恵子)