活動報告

北から南から 各地の動き

さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。

2023年3月1日~3月31日分

SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出

SC研修・情報交換会等に協力

愛知県

3月1・2・7・8日

 愛知県の県レベルSCフォローアップ研修を実施され、当財団も協力した。同県では、充実した県のバックアップのもと、自治体間のネットワーク強化とともに、事業の機能化が本格化してきている。
 これまで同県では、生活支援体制整備事業の研修として基礎編に加えSC連絡会を実施しているが、今回は2023年度への継続を働きかける目的で、戦略検討をテーマにした内容とした。そのため、参加対象としてSCや行政担当者のほか、課長、係長などの管理職を含めている。また、オンラインではあるが各自治体ごとに1会場で集合するサテライト形式をとり、研修の中で自治体関係者同士の話し合いの時間を取れる工夫を行った。また、県内事例を、サミットにも登壇いただいた同県みよし市の行政担当者にも協力いただき、当事者としての考え方や現場での対応などについて情報提供と、参加した県内自治体からの質疑の機会を設けた。同じ立場からの意見は共感も得やすく、積極的な意見交換が実施できた。(長瀬)

空知振興局管内(北海道)

3月2日

 空知振興局管内で初めての情報交換会が開催され、管内10市町村からSC16名と行政担当者が参加。当財団と北海道のさわやかインストラクター丸藤競氏、山本純子氏が協力した。
 「今、頑張っていること」としてリレートークを行い、深川市からはニーズと担い手の調査を実施し、手伝えそうなことがあるという回答が多かったことから、困りごと解決の仕組みづくり検討のためフォーラムを開催、サポーター講座を実施して雪かきプロジェクトを行ったとの報告。
 滝川市からは、地元看護学校の地域を知る授業に協力したことをきっかけに学生が助け合い活動の担い手になったとの報告。ほかにも、各地でSCが奮闘している内容が報告された。
 グループワークでは、ベテランのSCと新人のSCが活動する上での悩みや工夫についてざっくばらんに情報交換した。
 その後、医療経済研究機構の服部真治氏を囲んで、生活支援体制整備事業に関する座談会も行われ、SCからさまざまな質問が出た。
 また、財団からは「ともあそび」冊子を配布し、子どもと地域の高齢者が交流を深めることで子どもの豊かな人間性が育まれることなど、地域共生社会づくりを呼びかけた。
 今後も継続して情報交換会を実施していく予定。(澤)

大阪府

3月6日

 2022年度第2回の「本音で語ろう?情報交換会」が開催され、SC・行政職員17名参加。府担当者、当財団、さわやかインストラクター、財団の助け合い推進パートナーが実行委員として参加した。
 今回の情報交換会のテーマは3つ。「文字で表現するアウトプット」「その場で発表するアウトプット」「広報紙ツールの有効な使い方」。事前にA2サイズの壁新聞を作成し、当日は新聞の内容について発表。その後、グループワークを2回行った。
 グループワーク①は、新聞作成にあたっての思いや苦労を共有。その後、先輩SCから、壁新聞活用術を座談会形式で行った。全戸へポスティングしたことや活動の周知が進んだこと、SNSを新聞で再現し住民の活動を掲載したこと、関係者向けに新聞を作ったことなど、いろいろな新聞活用術が紹介された。財団からは「まずは新聞を作ってみることから始めてみましょう」と座談会をまとめた。
 続くグループワーク②は、座談会での感想や1年間の振り返り、SCとしてやらなければならなかったことや分からなかったこと、住民と一緒にやりたいことなどを付箋に書いてまとめた。各グループの発表では、「気になっていたモヤモヤが解消できた」「上司に指示されて参加したが、10地区ある地域をまずはまわってみようと思う」「今回の新聞をきっかけに継続的に作ってみようと思った」等の意見があった。
 全体のまとめで助け合い推進パートナーの貝長誉之氏から、この日の狙いである「活動の見える化(見せ方)」と「情報共有化(事実・意味や目的・思い)」の確認と、情報共有を深める「3つのキク」を確認した。
①言葉が通じる(知っている)事実情報の共有化、メールや伝達会議【聞く】
②意味が通じる(分かっている)意味・目的の共有化、説明や確認【訊く】
③思いが通じる 思い・考え方の共有化、共感、実践、振り返り【聴く】
 アンケートには、「地域向けだけではなく、関係者向けの新聞を作ろうと思った」「新聞は情報を発信するだけでなく、活動の記録や振り返り等にも役立つ」「前向きな情報交換会だった。2層の新聞を発行したい」など前向きな意見があった。
 SC経験の短い参加者もいたが、ツールを作ることだけに捉われず地域の情報をしっかり掴むことの大切さも学ぶ機会となった。23年度も助け合い推進パートナーを中心に企画を考え、財団もバックアップしていく。(目﨑)

協議体の活動・編成等に協力

秩父市(埼玉県)

3月2日

 秩父市で2回目の住民勉強会が開催された。参加者26名。同市では計2回の勉強会を実施し、希望者で第2層協議体を立ち上げる予定。1回目の振り返りをSCから行い、助け合いの大切さについて当財団が講義を行った後、グループワークを実施した。

 グループワークでは、「地域の課題」「その課題を解決するために必要な活動」「必要な活動の内容」について話し合ってもらい、地域で安心して暮らしていくために助け合いが必要であること、自分たちでもできる助け合い活動があることに気づきを得てもらうことを狙いとした。
 発表では、課題とそれを解決するための活動が挙げられ、地域にはまだ課題があり、それを解決するために自分たちでもできることがあるという気づきを得た。
 今回で勉強会は終了し、協議体への参加希望者を中心に、第2層協議体を立ち上げる。第2層協議体の圏域は、予定していた圏域以外からも協議体への参加希望者がいることから、設置単位をあらためて検討し、4月中の第2層協議体立ち上げを目指す。(岡野)

田村市(福島県)

3月9日

 田村市大越町で、2月に引き続き3回目の住民勉強会が開催され20名が参加した。同町では計3回の勉強会を実施し、希望者で第2層協議体を立ち上げる予定。
 最初にSCから2回目勉強会の振り返りを行い、そこで話し合った「地域の課題」と「その課題を解決するために必要な活動」を再度共有した。その後、当財団より、なぜ助け合いが必要かについてもう一度簡単に講義を行った後、グループワークを行った。
 グループワークでは、地域をより良くするために必要な活動について、住民主体で具体的にどのように行いたいかについて話し合ってもらった。
 グループのすべてで、助け合いの基礎となる顔の見える関係をつくろうと、必要な活動として集いの場が挙げられ、その活動内容は「昔遊び、季節の行事・お料理を楽しむ」「日中独居の家に声をかけて季節のイベントや誕生会を行う」「公民館でお茶飲みと弁当の配布、運動サロンを行うが、今日からごみ拾いならできる」等だった。話し合いの中で、「区長にも広報や生活支援の協力隊の設置に協力を呼びかけたい」「勉強会だけでなく継続的な話し合いをしたい」といった声もあった。財団からは、協議体は活動創出に向けて継続的に話し合う場であることを伝え、勉強会だけで終わらせず協議体にも参加してほしいと話した。
 その後、実践報告として、地域で活動をしている「NPO法人サポートたむら」理事長の二瓶竹志氏より、滝根地区の第2層協議体の立ち上げ支援を行ってから現在までの様子や、NPO法人として総合事業の通所B、訪問B・Dも行っていることを紹介し、共に助け合いを創出しようと話があった。
 最後にSCが、今回で勉強会は終了し、今後協議体を立ち上げて活動の具体化のために話し合いを継続していきたいので、ぜひ参加してほしいと呼びかけた。参加したいと回答した住民も多数おり、勉強会の熱が冷めないうちに第1回協議体会議を行う予定。(岡野)

北中城村(沖縄県)

3月9日

 広域連合のモデル化事業を進めてきた北中城村で、協議体編成に向けた住民向けの説明会を実施した。1万6000人の自治体で、第2層には全2圏域を想定して進めており、今回の説明会を経て、1圏域で協議体が編成されることが決まった。
 説明会では、関係者からの説明の後、当財団から全国の事例を含めた情報を提供。その後、協議体のシミュレーションとしてワークを実施した。参加者からは、前向きな意見が多く出され、盛り上がった。地域に関心のある人たちが協議体の取り組みに参画することが決まった。今後の取り組みにも期待がかかる。(長瀬)

南部町(青森県)

3月15日

 南部町で3回目の勉強会が行われ、当財団も協力。第2層が立ち上がっている地区とこれからの地区があるため、「何から取り組むか考えよう」というテーマで、各地の事例を紹介しながらそれぞれに検討してもらうこととした。住民主体の地域づくりの必要性を伝えながら、「協議体メンバーが、聞き取りによるニーズの掘り起こしで生の住民の困りごとを聞いて心が動き、仕組みづくりが始まった事例」「フォーラムがきっかけで勉強会を重ね、助け合い創出など地域の動きが生まれ、さらに関係者の結束力も強まった事例」「世代を超えたつながりを意識して学校や保育園などに働きかけた事例」等を紹介し、グループワークを行った。
 グループワークは第2層協議体委員の選出に向けて意見を出し合うことをベースにしたが、「既存のサロンをどう活性化するか」について話し合ったグループもあり、全体で共有した。第2層協議体に入ってほしい人には、個人名も含めて多様な人や組織の名前が挙がっていた。
 財団と一緒に協力した青森県のさわやかインストラクター葛原美恵子氏の「近隣のおいらせ町で居場所をしているので遊びにきてほしい」との呼びかけに、希望者で居場所の見学会も行われそうである。(鶴山)

幸手市(埼玉県)

3月15日

 幸手市で「令和4年度 生活支援体制整備推進協議会」(第1層協議体会議)が開催され、当財団が講師を務めた。同市ではコロナ禍で協議体会議を開催できない状態が続いていたが、感染が落ち着いてきたことと、定期的な協議体開催に向けて2022年度中に勉強会を開催したいと財団に協力依頼があったもの。この日は、担当課長あいさつ、協議体委員の自己紹介に続き、行政担当者より「幸手市生活支援体制整備推進協議会について・今までの協議会の振り返り」として、これまでの協議体での歩みが説明された。

 続いて財団より、生活支援体制整備事業について説明を行った。担い手を増やすための取り組みについても触れてほしいとの要望があったため、第1層協議体が支援した第2層協議体の立ち上げ、地域住民を巻き込んで活動創出につなげた事例を中心に、協議体が関わり住民主体の活動が生まれ、新たな担い手創出となった事例を複数紹介した。
 同市には、協議体に参加している「元気スタンド・ぷりずむ」や、暮らしの保健室「菜のはな」のような全国のモデルとなる活動がすでにあり、住民主体の活動は比較的活発だが、既存の活動の充実や担い手不足という課題がある。その意味でも、第1層協議体だけでなく第2層協議体のような地域での話し合いの場が必要と感じる。
 質疑応答で、住民に向けたフォーラムの開催が必要ではないかとの意見があったが、まずはそうした助け合いの必要性を住民が理解する機会につながるよう、次の一歩が踏み出せればと思う。今回の勉強会を機に、コロナ禍で休止していた協議体が動き出し、次の取り組みにつながることを期待したい。(岡野)

越前町(福井県)

3月15・27日

 越前町では現在、住民中心の第2層協議体の編成に取り組んでおり、複数回継続した住民勉強会(協議体準備会)を開催しているところ。宮崎地区は町内で2か所目となる第2層圏域で、3月15・27日に住民勉強会の2回目、3回目の住民勉強会を開催した。勉強会では毎回、グループワークの時間を多めに取り、参加者が自身で考えながら意見を出し合い、話し合いの中で協議体の必要性にも気づいてもらう構成としている。
 終了後アンケートで「協議体参加」の意向を確認しており、早めに協議体を発足させる予定である。(髙橋)

川島町(埼玉県)

3月29日

 川島町で第1層・第2層協議体全体情報交換会が開催され、当財団も協力。感染対策のため人数を制限し、28名が参加した。
 今回の情報交換会は、同町の全7地区を混合したグループワークと、第2層協議体単位のグループワークを行い、地区を混合しての情報交換から活動のヒントを得るとともに、各第2層協議体単位で2023年度計画を考える場とした。
 7地区を混合したグループワークでの情報交換に続き、第2層ごとの23年度計画を共有を通して、参加者は、活動内容、取り組み方法、意気込み等、さまざまな面からヒントを得ていたようだ。
 続いて、第1層の体制変更について山田一志SCが報告。同町では、生活支援体制整備事業開始当初に編成した第1層協議体が、主に第2層協議体の立ち上げ支援と活動周知を行ってきた。現在は第2層協議体の活動が充実してきたことにより、各第2層協議体のリーダー・副リーダーが集まる「地域ささえあい協議体会議」でネットワーク形成が図られ、課題解決に向けた情報が共有されている。そこで、現在の第1層協議体を発展的に解散し、「地域ささえあい協議体会議」を新たに第1層協議体とすることになった。引き続き協議体で地域の活動に参加したいこれまでの第1層協議体委員は、第2層協議体委員となる。山田SCがこれまでの第1層協議体の取り組みを資料等で紹介すると、成果と労をねぎらい、感謝する参加者から拍手が送られた。
 財団も引き続きSCと情報共有・連携し、協議体の課題へのアドバイスや、課題解決のための勉強会等の企画に関わりながら支援を続けていく。(岡野)

丹波市(兵庫県)

3月29日

 2022年10月に開催した第1層協議体で「制度開始から8年経っているので、研修会を開催したほうがいいのでは」という意見が出て実現した「丹波ささえあい推進会議研修会」に講師として協力。「地域の支えあいについて〜協議体の役割と機能するために必要なこと」をテーマに、第1層協議体委員、第2層SC、社会福祉協議会関係職員、行政職員、市民活動センター、地域包括支援センター職員の計31名が参加した。
 「なぜ助け合いが必要なのか」「協議体とSC」「地域を知ろう・呼びかけよう」の大きく3つについて財団から講義。協議体構成員の任期(再任あり)や協議体開催頻度、構成員が自由なアイデア出しをすることの大切さ、地域に働きかけることの重要性について話した。また、要支援・要介護の人や子どもなどさまざまな人が参加できる取り組み、共生社会づくりの視点を持つことも伝えた。
 講義終了後、「協議体の立ち上げを行政や社協から言われているが、既存の会合を協議体として活用できないのか」との質問があり、「既存の会議を活用することは可能。ただし、多様な人たちで知恵を出し合い、地域で助け合いを広げることを検討し取り組んでいけるよう、必要に応じてメンバーを補うなどの工夫が必要。既存の集まりを活用するならば、協議体では地域で助け合いを広げるという視点を必ず持つことが大切」と答えた。
 その後、市内25地区の取り組み状況を6名の第2層SCが報告。すでに協議体が立ち上がっている地区では、さらに取り組みを推進するため、理解者や協力者を増やすための勉強会開催を企画しているところなどもあった。今後も必要に応じて協力したい。(澤)

市町村へのアドバイザー派遣事業に協力

田上町(新潟県)

3月1日

 田上町で、1月・2月に続き第1層協議体対象の勉強会の3回目が開催された。新潟県のアドバイザー派遣事業を活用し、当財団が協力。3回目の今回は「何から取り組むか」がテーマ。2回目の勉強会では「SCと協議体の役割」を学び、その後の意見交換で「第2層を早くつくって動かないといけない」「第1層には2人くらい若い世代を入れたほうがよい」等の意見が出されていた。
 最初に第1層SCが2回目の勉強会の振り返りを行った。続いて財団より、「何から取り組むか」と題して3市町村の事例を紹介。「地域性も人口規模も違うけれど、仕掛けのプロセスに注目してほしい。また、『ここは使える』というところを掴んで田上町の取り組みに生かしてほしい」と、“仕掛けとポイント”について事例を通じて考えてもらった。その後、2グループに分かれて話し合い、共有・議論した。
 2グループの発表で、「まずは住民に向けて必要性を伝え理解者を増やすところから」「町内の取り組みを紹介したい」ということは共通だったが、まち全体でフォーラムを開催するなどして仕掛けるか、小さなエリアで仕掛けるかは分かれた。地域ごとに仕組みが違う、また、馴染みがないという声もあったが、最終的には2023年度にまずはまち全体でフォーラムを行い、共感する人を見つけていく。その後、第2層エリアの3地区に分かれて地区ごとに協議体の体制をつくりながら、反応に応じて助け合いの勉強会を行ったり、第2層の体制ごとに必要な助け合いを創出していこうということになった。必要性を実感した第1層協議体・SCと行政は、進む方向を共有し、23年度から住民への働きかけに皆で取り組み始める予定。(鶴山)

波佐見町(長崎県)

3月2日

 波佐見町で「支え合いのまちづくり勉強会」が開催され、長崎県のアドバイザー派遣事業として当財団が協力した。2018年のフォーラムから取り組みがスタートし、その後も勉強会や研修会等を重ね、有償・無償ボランティア、居場所などが広がってきた同町だが、担い手や利用者が増えないなどの悩みも出ている。これまでも助け合いの情報交換会等を行ってきたが、もう少し協議体に力を入れたほうがよいのではと第1層SCから相談があり、企画段階からこの勉強会に協力してきたもの。
 第1層SCからの同町の取り組み経過報告に続き、財団から「支え合いのある地域づくりを広げよう!」として講話。地域は今では家族機能はほとんどない、ご近所の関係も薄い、「助けて」と言いにくい地域となっている。だから仕掛けが必要であり、SCが中心となってまちをあげて仕掛けをしてきたこと、さらに、住民主体の地域づくりを進めるために協議体が重要であることなどを事例とともに伝えた。
 次に「みんなで話し合ってみよう」として、(1)地域に広げるためにはどのような人とつながったらいい? (2)地域にもっと協力者を増やすにはどうしたらいい? というテーマでグループワークを実施。発表では、(1)について「PTAや壮年会など高齢者ではない世代の組織とのつながりが必要」等の意見、(2)について「サロン同士のつながりをつくる」「ケーブルテレビで周知呼びかけ」「助け合いの会の利用者が増えない。プライバシーの問題を勉強して、助けてと言いやすい環境づくりを進める」などの意見があった。
 同町では、勉強会の反応を見て、第1層SCが第3層である全22自治会でのつながりを生かしたより良い地域づくりを推進していく。(鶴山)

西海市(長崎県)

3月19日

 西海市第2層圏域の崎戸地区でミニフォーラムが開催され、当財団も長崎県のアドバイザー派遣事業として協力した。崎戸地区は離島を抱え、同市で最も高齢化率が高い。オンラインも合わせて100名超の住民らが参加した。
 同市は、2021年度に西海地区でミニフォーラムを開催。その後、熱が冷めないうちに勉強会を4回行い居場所が2か所できた。今回の崎戸地区ミニフォーラムは第1層協議体が中心となり、第1層・第2層SC、行政、市社協と話し合いを重ね、財団とも打ち合わせを行って企画した。
 崎戸地区では既存の有償ボランティア「お助けマン」を立ち上げているが、課題もある。そこで、有償ボランティアの仕組みを知ってもらい、利用者・担い手共に増やしていきたいとのこと。財団の基調講演では、有償ボランティアとともに、みんなで良い地域をつくることの意義を伝えた。「お助けマン」活動については、団体代表と副代表の住民と市社協崎戸支所地域福祉係が発表した。最後に市長が手を挙げて「市全体で広げていきたい」と熱い思いを語る場面もあり、一緒に取り組み始めようという機運が盛り上がった。
 4月からは同地区で住民勉強会が始まり、「目指す地域像」から話し合う。2回のミニフォーラムを通して住民のやる気や反応を実感した関係者からは、「23年度にはあと4地区一気にやろう!」という声も上がり、さらに勢いがつきそうだ。(鶴山)

東彼杵町(長崎県)

3月20日

 東彼杵町では、アドバイザー派遣を活用して第1層協議体の会議が行われ、協力した。この日は長崎県主催の現場視察として、県内の長崎市、大村市、五島市、川棚町、新上五島町から計12名と県担当者2名もオブザーバー参加した。
 ここ数年、コロナ禍で活動が停滞してきたこと、また2022年度からは行政やSCが代わって新体制になったこともあり、今年1月にアドバイザー派遣を活用し、あらためて第1層協議体で基本を学ぶ機会を持った。2月の協議体の会合では「住民に働きかけていこう」とフォーラム開催に向けて検討が始まり、今回は具体的な事項について議論を進めることとなった。
 会議では、思いのある協議体メンバーから「理解者を広げていきたい」「方言を使った呼びかけがいい」など、いろいろな意見が出た。フォーラムをすることが目的にならないために、財団から「フォーラムで理解者を広げた後、何に取り組んでいきたいか」と質問した。「第2層をつくっていきたい」という意見も出たが、全体でのイメージまでには至らなかった。
 フォーラムは9月開催、内容は基調講演とパネルというイメージのほか、グループワークを行うことや事例紹介を入れる等の意見が出た。財団からは、地元住民が発言する機会と、行政が制度説明を行って町を挙げて取り組む姿勢を住民に示してはどうか、等の提案をした。
 会議後、SC、行政担当者、県担当者と振り返りを行い、次回協議体会議までに内容やテーマのたたき台作り、会議参加者の意見をもらいやすくすること、スケジュールについても案を出して意見をもらいながら進めていくことを財団から提案した。熱意ある協議体の意見を生かしながら、東彼杵町らしく進めていくことをバックアップしていきたい。(鶴山)

庁内職員向けの研修会に協力

長井市(山形県)

3月24日

 2019年に市民フォーラムを支援した長井市の第1層SCから、フォーラム後、コロナ禍で活動が停滞してしまっていることもあり、今後あらためて住民に働きかける取り組みに協力してほしいと当財団に依頼があった。この日は庁内職員向けとして「長井市支え合いの地域づくり研修会」に協力した。生活支援体制整備事業を担当する福祉安心課・包括、福祉あんしん課長寿介護係、地域づくり推進課、健康スポーツ課健康推進室、子育て推進課、学校教育課指導係、社協、コミュニティ協議会から17名が参加。行政あいさつ、第1層SCによる地域づくりの経過と現状の報告に続き、「持続可能なわがまちの地域づくりをどう推進するか」をテーマに地域共生社会に向けて住民主体の活動をどう推進するのか、行政の役割は何か、活動の進め方等について財団が講義を行った。
 講義後は質疑応答。それぞれの担当課から以下のような質問があり、住民主体の地域づくりを進めるという点から、各地の事例を取り入れながら財団が回答した(一部を紹介する)。

質問(地域づくり推進課):子ども食堂を始めたいという地区があるが、独自で活動を始めているところもある中で、公平性を損なわない補助について。
回答:まずは「行政の支援=補助」のみではなく、住民が主体的に立ち上げていくためのやる気を起こす機会、ノウハウの提供。その中で自立して運営してくためのノウハウも提供し、その上で後方支援として補助をするという順番も大切。また、運営よりも立ち上げ資金としての補助にするとか、モデルを立ち上げに対して補助を出し、まち全体に広げるための情報発信をする方法等もある。

質問(福祉あんしん課):市は6つの地区で構成されているが、極端に人口が減っている地区もあり、担い手が確保できない。継続性をどう考えればいいか。
回答: 〇まず、そこに暮らす住民がどんな地域にしていきたいか、そのために何をしたいか話し合っていくことから始める。その際、今後の厳しい状況も伝えながら、新たなつながりをつくる事例等も提供して話す方法もある。住民の声を聞くことが大事。
〇助け合いの担い手は70〜80代が中心メンバーで、企業人などと違う。助け合いはお互い様なので、例えば、子どもや障がいのある人も助けたり助けられたりと、いろいろな参加ができる。
〇若い世代の担い手は仕事をしていて難しいが、助けるほうでなく助けられるほうとして、または、子どもを通じてなど「つながる」ことから始めてはどうか。つながることや助けられることで、いつか助けたくなる。

質問:25年前から町内30か所でミニデイサービスが行われているが、コロナ禍もあり参加者が減ったり高齢化が進んだりしている。
回答:例えば、新潟県では地域の茶の間が2500か所以上も広がっており、同様の課題もある中で、「地域の茶の間大交流会」を開催し、今後の方向(地域共生社会等)を共有し、その中での茶の間の取り組みの重要性を認識している。茶の間のネットワークづくりにもなっている。
(鶴山)

県の地域包括ケア報告会で報告

埼玉県

3月22日

 埼玉県の「令和4年度地域包括ケアシステム取組報告会 兼 令和5年度予算説明会」がオンラインで開催され、当財団も地域包括ケア総合支援チーム員として取り組み報告を行った。参加者約140名。
 県地域包括ケア課長のあいさつに続き、第1部では総合支援チームの取組報告が行われ、県アドバイザー、県リハビリテーション専門職協会、県社協、財団、埼玉県移送サービスネットワーク、認知症の人と家族の会がそれぞれ報告を行った。財団からは生活支援アドバイザーとして、生活支援体制整備事業の市町村支援の取り組みについて支援件数等を報告。市町村支援の気づきとして、コロナ禍等の理由があってもできることで体制整備事業を進める必要性を話した。アドバイザー派遣については、単発だけでなく継続的支援も可能であることや、行政も含めた関係者の意識統一の大切さをあらためて伝えた。
 第2部の市町村の取組報告では、アドバイザー派遣を活用した市町村から報告が行われ、朝霞市での地域ケア会議と、日高市での体制整備事業(特に移動を伴う生活支援)についての報告があった。
 第3部のグループワークでは、県地域包括ケア課の進行で「私たちが目指す地域包括ケアシステムとは」「私たちが目指す地域包括ケアシステムの実現に向けてどのように取り組んでいくか」をテーマに、事前課題を基にグループ内で共有した。前者では、高齢者に捉われない視点の必要性、お互い様の助け合い、つながりによる安心安全な地域づくり、心も体も健康でいられる町づくり等の意見が交わされた。後者では、「いろいろな課題を我が事としてどう捉えていくのかが重要で、世代間交流が一つのキーになるのでは」「それぞれが能力を生かし支え合うことが必要で、例えば学生からスマホ操作を聞けるような、誰でも気軽に参加できるサロンなどを行いたい」「活動は少しずつできてきているが、活動同士をつなげたり、地域に知ってもらうという点が足りていない」等の意見が出ていた。
 参加者にとって、地域包括ケアシステムが目指しているものを見つめ直す良い機会につながったと感じる。(岡野)

地域包括支援センター定例会に協力

伊東市(静岡県)

3月16日

 伊東市で月1回行われている地域包括支援センターの定例会で、生活支援体制整備事業やSC、協議体について説明してほしいとの依頼があり、協力した。参加者は包括職員30名、SC5名。
 財団の「みんなで創ろう助け合い社会 基本編」をベースに講義。包括との連携が大切ではあるが、SCは地域に入って、住民の意見をしっかり聞いて、助け合いの地域づくりに取り組むことが大切であること、ニーズは包括や地域ケア会議でも把握できるが、地域でワークショップを開催して把握したり、訪問調査等で住民から直接聞き、住民がその課題解決に向けて主体的に意見を言い、考えていくことが大切であること。協議体を活用して、住民と一緒に取り組んでほしいことなどを伝えた。
 終了後、参加者から「事業のことを知らなかったので、理解できてよかった」「ぜひ民生委員と一緒に訪問しようと思う。すぐにでもできそうな活動のヒントを得られてよかった」という感想が聞かれた。今後も継続的に支援したい。(澤)

地域支え合い懇談会に協力

湯河原町(神奈川県)

3月7日

 湯河原町で「地域支え合い懇談会 〜『ありがとう』『お互い様』のまちづくり〜 『今やろう、私たちがつくる地域のつながり』」が開催され、33名の住民が参加した。
 最初に同町のSC野田美恵子氏が「湯河原町の高齢化のことを知ろう」と題して、町の現状等を説明。現在は第1層協議体だけだが、小学校圏域で第2層、区会ごとに第3層をつくっていきたいことが示された。続いて当財団から「『今』、助け合いのまちづくりに取り組もう」と題した講演と、助け合い体験ゲーム、ディスカッションを含むグループワークを行った。グループワークやディスカッションは各グループとも盛り上がり、参加者からは「自分の性格や得意なことが分かった。身体は動かなくても頭と口は動かせる」「こんなことでも助け合いにつながることが分かった」などの声が聞かれた。
 終了後アンケートに「今後の住民勉強会や意見交換会に参加してみたい」と記名した参加者も多かった。2023年度はどこかモデル地区をつくるなど、住民主体の推進が生まれ、広がってほしい。(鶴山)

地域支え合い事業報告会に協力

射水市(富山県)

3月18日

 射水市は第2層SCを包括に配置、さらに27地区ある地域振興会圏域に第3層SCを配置して、住民主体の取り組みを推進している。今回は第3層の一つ、下地区の活動団体や百歳体操ボランティア等を対象に「地域支え合い事業報告会」が開催され、当財団が協力した。本報告会は、1年間の住民活動への取り組みの報告とともに、活動の大切さを参加者に理解してもらい、今後の話し合いの場づくりのきっかけとなることを目的としている。
 まずは下地区担当SCから、現在の取り組みと課題が報告され、財団からは住民主体の活動の意義と創出のプロセス、協議体の重要性を説明した。質疑応答では、居場所づくりや有償ボランティアについて多くの質問が出て、具体的な活動への関心の高さがうかがえた。報告会には市担当職員や第1層・第2層SC等も参加しており、次の活動につながっていくよう、しっかりフォローアップしていく。(髙橋)

生活支援ボランティア養成講座に協力

袋井市(静岡県)

3月9日

 袋井市社会福祉協議会主催の生活支援ボランティア養成講座に、講師として協力。まちづくり協議会関係者や地域の助け合いに関心のある住民など35名ほどが参加した。
 「支え合いの地域づくり」と題して当財団が講義。助け合いでは助けられる人の尊厳を大切にすること、有償ボランティアの仕組み等について説明し、同市の共生型常設型居場所「あえるもん」を居場所から助け合いが生まれる好事例として紹介した。
 次に、袋井南サポートセンターの中山亙氏から、「今は大丈夫でも10〜20年後に地域はどうなってしまうのか」との思いから地区で高齢者対象のアンケートを実施したところ、困りごととして買い物・通院等の移動、家事、話し相手等が上がり、「住民同士の助け合いが不可欠」と考え、同地区まちづくり協議会が袋井南サポートセンターを発足、21年3月から活動を開始して、ちょっとした困りごとを支援しているという報告が行われた。
 グループワークでは、今後も増え続ける認知症の人の支援を包括に任せるのではなく、地域で共に暮らすことの理解を深めようと、軽度認知症高齢者の事例から地域で何ができるか考えた。「助けて、と言える地域にしたい」「つながりをつくりたい」「普段からの声かけやコミュニケーションが大切」「事例の高齢者は畑をしているので、作物をもらってそれで調理した料理をお裾分けして交流する」など、当事者とのコミュニケーションや、当事者を理解し、その得意分野を生かそうとするアイデアがたくさん出た。
 県内でも高齢化率が低く若い層が多い同市だが、先のことを考えると助け合いが必要、という認識が共有される講座となった。(澤)

(本稿担当は、岡野貴代、澤美杉、髙橋望、鶴山芳子、長瀬純治、目﨑智恵子)