活動報告

北から南から 各地の動き

さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。

2023年10月1日〜10月31日分

SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出

住民に参加を呼びかける支援
(住民対象のフォーラムや勉強会の支援等)

日高振興局管内(北海道)

10月5日

 昨年9月の宗谷振興局管内に続き、日高振興局管内で北海道庁・道社会福祉協議会・当財団の共催による「支え合いの地域づくり研修会」を実施した。
 財団からの生活支援体制整備事業の基本的な説明の後、グループワークを実施。「今、課題に感じていること」「これから取り組みたいこと」について、参加者に自由に意見交換してもらった。「地域も体制も人が足りない」「行政との意識合わせができていない」「多職種連携ができていない」「実態把握ができていない」「多世代に対応した地域共生社会づくりが必要」「今後は空白地域で場づくりをしたい」「見守り活動を強化したい」「多職種で集まって勉強会をしたい」「引きこもりの方の持っている能力を発揮できる機会をつくりたい」などさまざまな意見が出た。
 個別相談会では、自治体内の地域特性を生かしたいが、温度差があるためどのように取り組んでいけばいいのか悩んでいる、という相談があった。道庁職員と財団からは、大づかみ勉強会の実施や、地域づくりは自治体内一律に進める必要はなくモデル地区をつくって少しずつ進めていけばいいことなどを伝えた。
 あいにくの悪天候で参加者は少なかったものの、他地域の取り組みの情報交換や悩みごとをざっくばらんに話せる機会にもなっていた。この地域でもSC情報交換会を開催できるようになればいいなと思った。(澤)

枝幸町(北海道)

10月21日

 北海道生活支援・介護予防充実強化事業として、枝幸町で「支え合いが地域をつなげる講演会」が開催され、強化事業運営委員長としてさわやかインストラクター丸藤競氏が講師を務め、道庁担当者と当財団が運営委員として同席した。参加者は町民など約60名。
 町長あいさつと行政説明に続き、丸藤氏が「枝幸町の未来のつくり方 〜支え合いのまちづくりとは〜」と題して講演。まちづくりの視点から、さまざまなデータを活用して説明があった。また、函館市本通地区では、子どもたちが七夕のときに高齢者宅を訪問して、歌を歌ってお菓子をもらうことを通して、高齢者と子どもたち、子どもの保護者たちによる地域づくりが動き出したという函館市本通地区の事例紹介があった。
 実践報告は「本別町での互助の見守り等から新たな生活課題解決への取り組みについて」として本別町社協から。向こう三軒両隣を復活させる「在宅福祉ネットワーク」に取り組み、現在75自治体中36自治体でネットワークの構築が進んでいる。見守り活動、生活支援活動、除雪活動、地域サロン活動、災害時支援活動に取り組んでいる。社協が権利擁護支援センターを引き受けているとのことで、あらゆる住民のニーズに応えていた。
 続いて、SCと地域包括支援センターの進行による「助け合い体験ゲーム」を実施。実際に包括が把握した困りごとでオリジナルカードを作った。助け合いの疑似体験とグループごとの住民の交流が生まれ、とても良いものになっていた。
 枝幸町の取り組みも含めて、宗谷管内でSCや行政担当者が盛んに学び合える機会が増えていくことを願う。(澤)

SC研修・情報交換会等に協力

静岡県

10月26日

 静岡県西部各自治体のSC、行政担当者、社協職員などが参加して生活支援体制整備スキルアップ研修が開催され、当財団も協力した。
 最初に、体制整備事業の基本的な内容について、3ステップや助け合い活動の重要性などを説明。「高齢者はきっとこんなことで困っているだろう」という推測ではなく、具体的に聞き取ったり、調査したり、ワークショップをしたりしながら、より現実的な状況を把握して取り組む地域づくりが大切であることを伝えた。
 目指す地域像の実現に向けて、地域でどんなことができるのかを考えた。参加者の中には「居場所」を挙げる人が多く、同県袋井市の稲葉ゆり子氏の影響を強く受けたという話もあった。顔の見える関係を構築したい、という声もあった。SCがやるべきこと、行政がやるべきこと、社協がやるべきこと、企業がやるべきことなどさまざまだったが、住民も巻き込んで考えるように助言した。(澤)

群馬県

10月30日

 群馬県でSCフォローアップ研修が実施され、情報提供で協力した。同県ではブロック制のSC連絡会を実施しているが、今回はその全体会として実践的な内容の研修を開催することになり、企画から当財団も協力している。参加の申し込み時に対象者に依頼したアンケートで、現場における課題を確認し回答資料を作成し、事前資料として配布した。当日はこの資料と共に、参加者との意見交換でポイント整理を行った。さらに自治体間のSCほか関係者間のネットワーク構築を狙いとして、プログラムではワークを含め交流の場を設けている。
 情報の少ない中で事業を推進する事情が否めない現場の状況に対して、このような県レベルの継続的なフォローは、他事業連動の視点からも今後、大きな意味を持つと言える。(長瀬)

京都府

10月31日

 「みんながつながる情報交換会」を京都府医師会館で開催した。主催は情報交換会実行委員会。メンバーは、同県久御山町・松下一恵氏、大山崎町・富田未記氏、南丹市・上薗和子氏のSC有志3名と、京都府健康福祉部高齢者支援課の田中弘和主幹兼係長、岡田美也子主査、さわやかインストラクターの古海りえ子氏、当財団(目、三浦)。SCがそれぞれの地域で日頃取り組んでいる活動について「知り」、悩みや疑問を「共有」し、気軽に話せ、そしてSC同士が「前向きにつながれる」出会いの場として企画した。
 実行委員会の始まりは、松下氏が近隣市町村やつながりのあるSCに声かけし、今年5月に6町村と府社協、古海氏と財団が集まり、意見交換を行ったことである。そこで情報交換会の実行委員を募ったところ、富田氏、上薗氏が快く手を上げ、財団と一緒に実行委員会を結成することとなった。情報交換会を実施したいという関係者の思いを京都府に伝えたところ、府も必要性を感じ、実行委員に加わってもらえることになった。
 計画を進めるにあたっては、まず大阪府で行っている「本音で語ろう!情報交換会」を実行委員で視察。進め方や内容を参考にしながら、京都府らしい情報交換会を企画しようということになった。当日までは皆でzoomやメールで企画を練り、楽しい企画が出来上がった。
 当日の参加者は、府内のSC19名、行政1名、オブザーバーとして保健所1名。SCの経験年数は1か月から6年と幅があったが、皆さん会話が止まることはなかった。司会進行は上薗氏。情報交換会の発足の経緯を(急きょ不参加となった松下氏に代わり)富田氏が説明。そして古海氏から「SC同士、助け合って京都府全体で助け合いが広まり、地域力アップにつながるよう頑張っていきましょう」とエールが送られた。府からは、情報提供として生活支援体制整備事業の現状、府内の視察研修の説明が行われた。
 その後、グループワークを2回行った。1回目はSC経験年数が近いメンバーとのグループ、2回目は進行役を残し、くじ引きで決まったメンバーでのグループ。情報交換をスムーズに進めるために、参加者には申込時に自己紹介シートを記入してもらった。その「自己紹介シートから聞きたいことややりたいことを聞き合おう」とし、日常業務での悩みや市町村の状況を情報交換。現在やっている活動やこれからやりたいことを、「イイネ!」カードでほめ合ったり、質問し合ったりした。アンケート結果を見ると、満足度は高く、「他地域の情報を知ることができてよかった。悩みは地域ごとに違う、でも地域のことで一緒に考える仲間がいることは心強いと思った。業務のヒントをもらえてよかった」「SCが業務でささいな悩み事や困っていることをざっくばらんに話し合える場となったのでよかった」などの意見があった。
 初めての取り組みだったが、全体として参加者の表情も明るく、話し合いも活発に行われていた。京都らしい柔らかく楽しい企画になった。次回は3月上旬に行う予定である。今後も継続して取り組んでいけるように財団として協力していく。(目﨑、三浦)

協議体の活動・編成等に協力

寄居町(埼玉県)

10月5日

 寄居町で、桜沢・用土・西部地区を対象とした「生活支援体制整備事業・介護予防推進協議会研修会」(住民勉強会)の第2回が開催された。参加者は12名。同町では、協議体編成から年月が経過したことなどから、学び直しと新しいメンバーの呼び込みを目的にこの研修会を行っている。9月20日に行った第1回での話し合いの熱が冷めないうちにと、約2週間後のこの日、第2回が行われた。
 第2層SCが第1回の振り返りを行った後、オブサーバー参加している折原地区から、地域のコミュニティハウス「わくわくハウス」で行った昔遊びを介した集いの場が紹介された。新興住宅地で地域の交流がなく、孤独死が発生した例もあったことから、多世代交流を通して住み続けたいと思える地域づくりを考え活動していることが話された。
 続いて当財団より、第1回研修会での講義内容「なぜ助け合いが必要なのか」についてあらためて触れ、グループワークで具体的に地域で行いたいと考えている活動について話し合ってもらった。
 桜沢地区では、公民館と協力し、来年1月18日を目途に百歳体操を介した集いの場を立ち上げたいとすでに具体的な内容を話し合っている。財団からは、健康だけでなく体操を介して地域のつながりをつくり、顔の見える関係から助け合いにつなげていくよう進めてほしいと話した。
 用土地区では、コロナ禍でサロンが止まってしまっているが、農家が多く時間もないため、サロンはもともと年に2回程度。しかし、地域のつながりの必要性から区長や民生委員と話し合い、身近な地区で、子どもなども交えた多世代交流の場としてサロンを開催したいと考えているという。財団からは、SCの協力も得ながら地縁関係者も交えてサロンをはじめとした地域のつながりの場づくりを進めてほしいと話した。
 西部地区では、コロナ禍で止まってしまったサロンの再開も目指し、気軽に集える場を立ち上げたいと話した。しかし第2層では範囲が広いため、第3層単位での活動をそれぞれが進めながら、連携の場を第2層としたいとのこと。財団からは、情報を共有し連携しながらできることから始めてほしい、とコメントした。
 今回研修会の対象とした3地区は、コロナ禍で協議体の活動が滞りがちになってしまったが、今回の2回の研修会を通して、あらためて協議体の活動にやりがいを見いだしたようだ。新たなメンバーが参加する地区もある。今後の動きに期待したい。(岡野)

阿賀野市(新潟県)

10月20日

 阿賀野市の協議体会議での勉強会に協力した。参加者は協議体メンバーを中心に30名程度。2年に1回、協議体の委嘱式を行いながら、協議体の体制づくりに取り組んできた同市。2016年に新潟県と一緒に大づかみ方式で体制を整備し、目指す地域像として2層4圏域に1か所ずつ「拠点の居場所」をつくり、そこから助け合いを広げようと進めてきたが、7年間における行政の異動や、SC・協議体メンバーの変更、そしてコロナ禍もあり、さまざまな課題も出てきた。ここで協議体の役割についてあらためて基本を共有し、また、協議体から助け合い活動などが広がり始めている地域の事例や課題である担い手不足への対応に向けたヒントなどを伝えてほしいとの依頼があり、オンラインで講演した。後半は気づきを出し合いながら、「それぞれの活動の振り返り」「今後の活動の展開について」をグループで情報交換し全体で共有した。
 アンケートには「暮らしやすい助け合いのできる地域づくりの実現に向けた体制づくり、広げる役割として、やってみる行動、呼びかけ、広げていくことが必要、大切と感じました」「推進委員としての役割について再認識させられました」「家族がいても、困っていることはある。ちょっとしたおせっかいができたらと思う」「助け合い活動では、プライバシーの問題を解決すれば、もっと進展するのではないかと思う。ボランティアのネットワークづくりが大事ではないかと思います」など気づきも書かれていた。今回の取り組みがきっかけとなり、各地域での活動を広げる取り組みが始まっていくことに期待したい。(鶴山)

犬山市(愛知県)

10月21日

 犬山市で第2層協議体の交流会が行われ、情報提供で協力した。この企画では市内全5圏域で活動する第2層協議体の構成員が参加し、それぞれの活動の状況を報告し、今後の進め方などを確認する。同市では2017年に協議体を編成してから、これまで協議体の活動を継続している。しかし、その経緯においては、構成員だけでなく関係者側の入れ替わりもあった。事業推進の視点からも、この仕組みの目的や自身の役割をはじめ、特に「互助を基本」とする考え方については誤解も生まれやすく、意識的に確認していく機会が必要になり、本企画はその意味でも大きな力になっている。今回も実施したワークでは、参加者から前向きな意見が出されていた。引き続き同市の取り組みに注目したい。(長瀬)

三浦市(神奈川県)

10月26日

 三浦市の第2層協議体編成に向けた説明会が開催され、情報共有で協力した。これまで、すでに協議体が編成されている圏域の活動も継続しており、その中で関係者が連携を取りながら今回の準備を進めてきた。協議体の編成は、立ち上げることが目的ではなく、その後にこの仕組みが機能することに重点を置かなければならない。そのための準備は、地域へのさまざまな配慮を含めて丁寧な対応が必要になる。こうした経緯を踏まえ、今回新たな圏域で協議体が編成された。
 同市では、「互助を基本」の考え方を徹底し、関係者が足並みをそろえながら事業推進に向け取り組みを進めている。(長瀬)

居場所づくり勉強会に協力

五霞町(茨城県)

10月30日

 五霞町で、居場所づくりに関心のある住民を対象とした勉強会が開催され、講師として協力した。同町は3年前から「居場所」をテーマに勉強会を行っており、継続して相談を受けている。「いつでも誰でも型」「自分が自分でいられる場所」としての情報提供やグループワークを行ってきたが、勉強会をきっかけに包括や社協、SCらが住民をバックアップし、自宅開放も含めて多様な居場所が町内に7か所立ち上がっていた。今回はその様子を簡単な動画で紹介する場面もあり、ネットワークづくりに向けて住民から発言があるなど、自発的な取り組みと広がりが垣間見られた。
 財団の講義は「居場所づくりのススメ」と題し、居場所の必要性や効果などを紹介した。また、よくある質問(<ひと>男性が参加しない、来る人が固定化している、子どもたちや若い世代の参加 <もの・場所>自治会館などの場所を活用したメリット・デメリット、空き家の活用はどうしたらよいか <おかね>立ち上げ資金と運営資金をどう捻出するか)などを挙げ、各地の取り組みからヒントとなる方法や考え方を伝えた。
 後半はグループに分かれ、講義や動画の感想、気づきを出し合い、居場所づくりを行う上での悩みや解決方法を話し合ってもらい、全グループが発表し共有した。アンケートで「楽しかった」「参加してよかった」との声を聞いたという主催者は、「課題もいろいろとありますが、居場所づくりを通して助け合える地域づくりを進めていけたらと思います」とのことだった。(鶴山)

アドバイザー派遣事業に協力

西海市(長崎県)

10月19日

 長崎県のアドバイザー派遣事業として11月に開催する、西海市の市民フォーラムに向けて打ち合わせがあり、当財団はオンラインで参加した。同市は、2021年から市民に向けたミニフォーラムを開催し、その後、アンケートに記名した人を対象に勉強会を重ねて、理解者が少しずつ増えてきている。助け合いもいくつか生まれ始めている。これまでの2年間はコロナ禍のため、2層(6圏域)ごとに取り組んできたが、今回は全圏域を対象にする計画。
 打ち合わせメンバーは、行政担当課長、行政担当者、第1層SC、第1層協議体会長、会場となる大瀬戸地域の地区所長兼第2層SC、県担当者、財団。最初に、フォーラムの内容案やこれまでの準備の経過などを行政担当者が説明。その後、質疑応答となった。財団からは、これまで着実に住民への働きかけを行いながら助け合いを創出してきたことや、行政、社協、SC、協議体などが仕掛けながら連携も深めてきていることを評価した上で、「開催場所の大瀬戸地区の特長や、圏域だけではなく全市対象として訴えたいことは何か」「フォーラム後、どのように次につなげていきたいのか」などの質問をし、皆で内容を詰めた。
 今回も、市民フォーラム後に勉強会を行い、主体的な住民を対象に助け合い創出につなげていく。その後も2年間はフォーラムや勉強会を重ね、さらにその後も啓発を続けることなども共有して、フォーラムへの準備を進めていくこととなった。

10月29日

 西海市大瀬戸地区で、市内全圏域の住民を対象とするフォーラムが開催され、会場いっぱいの参加者となった。
 杉澤泰彦市長はあいさつで、「高齢化率40%。担い手不足が進む中、住み慣れたところで安心して暮らせる地域をつくるには行政がやれるサービスには限界がある。地域の皆さんの力があってこそ機能していく」と話し、みんなで取り組む地域づくりへの参加を呼びかけた。行政担当者は、市の現状や生活支援体制整備事業、地域の助け合いに向けたこれまでの取り組みなどを紹介し、「一緒に助け合いの輪を広げましょう」と呼びかけた。
 当財団の基調講演は「広げよう つなげよう 地域助け合い 〜自分たちの地域をよくしていこう〜」と題し、多様な地域の助け合いの事例と、地域の気になることを本音で話し合う協議体の重要性について伝え、参加を呼びかけた。地域包括ケアについても触れ、自分らしく暮らすには人と人とのつながり、困ったときに気兼ねなく「助けて」と言い合えるようなつながりが重要ではないか、地域のつながりの再構築、家族のようなあたたかい関係を地域につくっていこうと呼びかけた。
 続いて、第2層SCから2層5圏域での取り組みや助け合い活動の紹介があった。参加者は大変熱心に話を聞き、多くの人がアンケートにも回答してくれたとのこと。県内でも高齢化率の高い同市だが、地道な住民への啓発を重ね、気持ちが動いた人たちへの勉強会から助け合いも生まれ始めている。
 11月には大瀬戸地区での1回目の勉強会が行われる。3年前からのプロセスが、仕掛ける側の行政(包括)、社協、第1層協議体の連携を強くしていると感じる。住民主体の地域づくりの大切なプロセスを見せてくれていると実感している。(鶴山)

韮崎市(山梨県)

10月20日

 韮崎市で10月に開催された住民向け地域支えあいフォーラムからの展開で、助け合いに関心を持った住民を対象に、11月に第1回の勉強会が開催される。それに向けた打ち合わせに当財団が山梨県のアドバイザー派遣事業として協力した。フォーラムでのアンケートで、26名が今後一緒に支えあいをやっていきたいと手を挙げているとのこと。行政担当の丸山泰平氏から、初回の勉強会では今後の見通しを伝えつつ、楽しい流れをつくれるようなものにしたいとの話があった。市社協は、まず参加者の思いを聞いて、それに基づいて2回目以降の勉強会の内容を検討したいとのこと。そのため、今後の方針として協議体を新たに設置するよりは、勉強会の内容も助け合い創出の方向で考えていくことになった。1回目の勉強会で助け合い体験ゲームを行い、その後の勉強会でそれぞれの関心に応じて分かれていくことを検討する。
 財団より、フォーラムで制度面の説明はなかったので、勉強会ではSCの役割を説明することを提案。また、勉強会を数回重ねると住民に意見も出てくるので、こちらから伝えるばかりでなく、住民それぞれの思いを話し合ってもらうことを提案した。
 丸山氏より、「年度末までに勉強会を3回程度開催し、来年度につなげたい。そのため、3月までを目標に自分たちのやりたい支えあいを見いだしたい」と話があった。引き続き内容について検討していく。(鶴山、大方)

佐渡市(新潟県)

10月23日

 新潟県のアドバイザー派遣事業として佐渡市の住民勉強会に協力した。同市は今年度、第3層づくり(助け合いの創出)を目指しており、7月にアドバイザー派遣事業を活用して、新潟市「実家の茶の間・紫竹」代表の河田珪子氏を講師にフォーラムを開催。参加者アンケートで「住民勉強会に参加したい」と記名した人が19名おり、その人たちを中心に、この日は35名ほどが集まった。「SCや協議体について知りたい」等の要望を取り入れ、第1層と第2層のSCが協力して企画し、関係者で打ち合わせを行い実施した。
 第1層SCによるオリエンテーションの後、財団の講演では、「なぜ助け合いか」「SCと協議体の役割」について簡単に伝え、今後ますます住民主体の助け合いによる地域づくりを広げていく必要があることを伝えた。また、「助け合い体験ゲーム」を行い、感想などを聞きながら助け合いについて共有した。ご近所の関係も希薄となり、家族機能も弱くなってきた今、助け合いの仕組みがあることで新たなつながりが生まれた事例や、助ける人や助けられる人の気持ちなどを多様な助け合いの事例を通じて伝えた。さらに、地域で住民ワークショップを行い、気になることや困りごとを話すことができ、一緒に活動を始めようという動きにつながった事例などを通じて、話し合う機会を地域でつくっていく必要性を伝えた。
 グループワークは4グループに分かれ、SCらが進行しながら行った。それぞれのグループで、市内で取り組まれている居場所や子ども食堂、見守りなどの実践者が事例紹介を行い、その話をきっかけに議論した。グループ内で情報交換する中で、それぞれの取り組みや方法に関心を持ち、「自分の活動に取り入れてみよう」という意見や「視察に行ってみたい」という意見も出ていた。
 財団から、「親戚でも頼みにくい」「家の中に人を入れるのは大変」という声がよくあることや、助けられる側の気持ちを考えて仕組みをつくること、何のためにするのかを仲間でしっかり話し合って始めよう、とポイントを伝えた。「もっと話し合いたい」という機運が高まった。佐渡市でも助け合いが広がっていくだろう。(鶴山)

大村市(長崎県)

10月26日

 7月にフォーラムを開催し、その後、8月から毎月1回の勉強会を重ねてきた大村市でこの日、最終回となる3回目の勉強会が行われ、当財団も長崎県のアドバイザー派遣事業として協力した。勉強会の目的は、助け合い創出。第1層SCと包括が中心となり企画、第2層SCが協力した。
 2回目は居場所をテーマに「行きたい居場所」のワークショップを行い、主体性の意識を持ってもらうことを目標とし、おおむね好評だった。ただ、やりたいことはいろいろであり、聞きたいことや悩みも多様であると感じた。そこで今回は、講義ではなくグループワークを中心に「皆の思いを語ろう」とし、そこで出た悩みや質問に何でも答えるというプログラムとした。
 グループワークの前に、第1層SCの井上明子氏が「大村市の取り組み紹介」として、①地域ふれあい館、②家開きの居場所、③公民館等を利用しての居場所、④趣味+雑談の居場所、⑤にじよこさん(居場所)、をパワーポイントで紹介。それぞれの会の代表者からも活動への思いが語られた。
 約50分のグループワーク後の質疑応答では、地域への周知や資金についての質問、やってみたい思いがあふれ出た。財団から、まず「どんな場にしたいのか」「何のためにしたいのか」を中核の仲間で話し合い、それを発信することが大事。方法はいろいろ。一番は口コミ。チラシを作り商店街に伝えたら寄付が集まった例、のぼりを立てたら人が集まってきた例もある。やってみることで成果も課題も見えてくる。みんなで話し合って取り組もうと呼びかけた。
「もっと勉強会を続けたい」という参加者の声がたくさん上がり、連絡先をやり取りするなど参加者同士の交流も多く見られた。熱い気持ちが抑えられないのか、なかなか帰らない人たちもいた。「活動の視察に行こう」というやり取りも見られた。
 終了後、関係者で振り返り等を行い、今後は市内の居場所や助け合い活動を視察したり、話し合いたい地域をSCらがバックアップしていこうということになった。市として初めてのフォーラムと勉強会で、熱心に取り組んだSCらは達成感がありモチベーションも上がった様子。今後に大いに期待したい。(鶴山)

(本稿担当は、大方彩友美、岡野貴代、澤美杉、鶴山芳子、長瀬純治、三浦里沙、目﨑智恵子)