活動報告
北から南から 各地の動き
さわやか福祉財団では全国各地の助け合いの創出、
住民主体の地域づくりの推進を支援しています。
その取り組みの一部をご紹介します。
2024年11月1日~11月30日分
SC=生活支援コーディネーター
3ステップ=ステップ①体制づくり、ステップ②ニーズと担い手の掘り起こし、ステップ③助け合い創出
住民に参加を呼びかける支援
(住民対象のフォーラムや勉強会の支援)
紀北町(三重県)
11月6日
支え合い・助け合い活動を知り一歩踏み出すきっかけとして「ささえ合い講座」が紀北町で開催された。同町社会福祉協議会主催の本講座は第1層SCによる企画で、住民全体を対象としている。全3回のうち、1回目の今回は「全国の事例から地域のささえ合い活動を知ろう」をテーマに、第1層SCからの「紀北町の現状」と当財団からの「全国の取り組みに見るささえ合い活動の効果」の説明で構成。参加者は終始熱心に耳を傾けている様子で、アンケートでは「支え合いは楽しいものだと思った」「自分にまだできることがたくさんあると気づいた」などの意見が挙がった。
2回目では「実践されている地域の活動を知ろう」、3回目では「取り組めそうなささえ合い活動を考えよう」をテーマに、実践者やボランティア、利用者の声やグループワークを行っていく構成としている。
この講座によって活動への参加者を広げていくと同時に、今後の第2層協議体の編成にもつなげていく予定。(髙橋 望)
高森町(長野県)
11月16日
高森町では第1層協議体(高森町ささえあいネットワーク)が取り組みを推進している。これまで市民フォーラム等により多くの住民へ発信をしてきている。今年度は次のステップとして、実際の助け合い活動の立ち上げ促進に向けて地区単位に働きかけをしていくための「地域支え合い講演会」が開催された。同町では第2層協議体は設置されていないため、ささえあいネットワークと第1層SCが中心となり企画、運営をしている。
まずは9月に1回目の講座として「いま見直そう、遠くの身内より近くの他人」と題して講演と地区の目指す地域像を考えるグループワークを行った。2回目の今回は「みんなで考えよう!上市田地区の支え合い」をテーマに、具体的な支え合い活動を考えるグループワークを中心に、導入として当財団から全国の事例と立ち上げのポイント等を説明した。
今後は、居場所を中心にフォローアップをしながら、周辺地区にも広く活動を拡大していく予定。(髙橋 望)
山梨市(山梨県)
11月30日
山梨市社協主催の第20回地域福祉大会で基調講演を行った。テーマは「つながって笑顔で暮らす地域づくり」。住民主体の地域づくりの必要性をさまざまな助け合い活動(見守り、居場所、有償ボランティア等)を紹介し、やってみたい活動だからこそのさまざまな効果、年齢に関係ない役割や世代を超えたつながりなどから広がる地域づくりについて伝えた。
反応の良かった参加者らから山梨県のさわやかインストラクターの塚田好子氏、長谷川すみ江氏に声掛けがあったとのことで、勉強会を続けていきたいとのこと。
福祉大会終了後、第16回ボランティア大会があり、参加した。活動発表の中に、当財団「地域助け合い基金」で助成した「NPO法人WakuWakuの家」(地域食堂)もあり、子どもたちも発表に参加していた。塚田氏の団体(おひさま)も地域食堂に協力しているという良い関係でもある。さまざまなボランティア団体が連携して頑張っている様子を感じた。(鶴山 芳子)
SC研修・情報交換会等に協力
埼玉県
11月7日
埼玉県主催の北部ブロックSC情報交換会が開催され、県内北部自治体から計38名が参加した。県地域包括ケア課と、アドバイザーとして深谷市第1層SC荻原祐輔氏、埼玉県社会福祉協議会の林晴菜氏、当財団・岡野も参加し協力した。
この情報交換会は、市町村担当職員とSCが効果的な生活支援体制整備事業を実施していくため情報交換を行うとともに、ネットワーク形成を図ることを目的とし、県内を東西南北の4ブロックに分けて集合形式で実施している。また、講義等は行わずグループワークを中心に、「上半期の振り返りと情報交換」をテーマとし、前半は職種混合のごちゃまぜグループ、後半は職種別のグループで情報交換が行われた。アドバイザーも各グループに入った。
前半のグループワークでは、これまでの各地域の取り組みと課題について情報交換。当財団が入ったグループでは課題として、交通手段の不足が共通の課題として挙げられた。ほかに、集いの場の不足、住民の高齢化、若年層の活動への不参加、地域ごとに異なる課題への支援の難しさ、協議体の周知不足、常設のサロンの必要性などが挙げられていた。
発表後のコメントでは、林氏から「移動の課題では、協議体がデマンドバス等の既存制度に対する課題をまとめた事例もある」と話し、岡野からは「既存の担い手や、ボランティア養成講座修了者等の興味関心がある人にもあらためて目を向け、参加のハードルを下げ丁寧に働きかけることで、活動への参加につながった事例もある」などとコメントした。
後半のグループワークでも前半と同様に、これまでの各地域の取り組みと課題について情報交換が行われた。課題としてはやはり、交通手段の確保が重要課題として議論された。ほかに、移動スーパーの運営面、地域ごとの活動への温度差などが挙げられていた。
発表後に最後のまとめとして、荻原氏から「移動の課題には、既存の公共交通機関の改善点を伝えることも大切。また、SCとして資源創出だけにとらわれず、既存の活動の多様な効果にも目を向けてはどうか」、林氏からは「移動支援は、住民の事故等への不安解消のため保険の情報を丁寧に説明することも大切」、岡野からは「住民アンケートはニーズの洗い出しだけでなく活動周知にもつながる。さまざまな人や組織とつながることを意識し、ネットワークで課題を解決することが大切」とコメントした。
今回の情報交換会は、グループワークの時間を十分に取り、前半と後半でメンバーを入れ替えることによって、幅広い情報収集と課題の深掘りの両方ができ、参加者の満足度も高いように感じられた。県主催の情報交換会は、市町村を超えたSC同士のネットワークが形成され、SCの孤立化を防いで互いに相談できる関係づくりにもつながっており、県による後方支援の好事例だと感じている。
11月28日
埼玉県主催の西部ブロックSC情報交換会が開催され、県内西部自治体から計45名が参加した。7日の北部ブロックと同じ趣旨で行われ、アドバイザーは、同県三芳町社協所属の第1層SC関口和宏氏、川島町第1層SC山田一志氏、飯能市社協の梅木裕也氏、県社協の林氏、当財団・岡野。
グループワーク1では、「地域紹介」として各地域の特徴や協議体の設置状況、地域活動の現状について情報共有した。関口氏は「今回得た情報やヒントを、自分たちの地域で同じ悩みを持つ人々と共有しながら進めていくとことが大切」、梅木氏は「多様な活動が創出されていると感じる。SC同士が継続的に連絡を取りながら情報共有を進めていけるとよい」とコメントした。
グループワーク2では、「上半期の振り返りと情報交換」として、これまでの地域活動の具体的な取り組みとその課題について共有した。知らない地域に入ったことにより新たな目線で活動創出につなげることができた、第2層から第1層に移動したことで地域同士の橋渡しや企業へのアプローチなど圏域に縛られない活動ができるようになった、等が挙げられていた。山田氏は「SC同士の顔の見える関係性や、情報交換は業務に生かされる」とコメントし、自身が継続的に参加しているSC交流会を紹介した。岡野からは「住民の声を関係各課や各種会議等で広く共有していくことも課題解決には必要。新たな担い手の確保だけでなく現状の担い手が活動を維持できるよう話し合う場を持つことも大切」と話し、若い人の目に届きやすい周知方法の検討等についても伝えた。
グループワーク3では、「下半期、来年度に向けて」として、地域活動の活性化策や新しい取り組みの可能性について意見交換した。
グループワーク3および全体のコメントとして、林氏は「住民の声を届けることが大切」、関口氏は「課題解決に負担を感じない範囲で一歩ずつ進めること」、梅木氏は「SC同士の良好な関係づくりが大切」、山田氏は「ケアマネジャーとの情報交換や、協議体情報交換会を工夫しながら進めていく予定」と述べた。岡野からは「これまで地域活動と接点のない人や組織へのアプローチも並行して進め、より広いつながりをつくり、ネットワークで課題解決していく支援をしよう」と話した。
* * *
SC同士が時間を取って日常的に情報交換を行うのは難しい。対面での情報交換会は、活動のヒントを得られるだけでなく、SC同士のつながりづくりの大きなきっかけとなっている。アンケートでも、情報交換会への満足度はおおむね高い。市町村を超えた圏域での情報交換会は市町村主催での開催は難しく、県が主催することで可能となる。SC同士が継続的に情報共有や相互に学び合う関係づくりがSCのスキルを高め、ひいては今後の地域活動の発展につながると感じる。生活支援体制整備事業の推進において、今後も継続的な情報交換会開催による県の後方支援を期待したい。(岡野 貴代)
協議体の活動・編成等に協力
枚方市(大阪府)
11月12日
枚方市で、第2層協議体同士の交流を図ることを目的に「元気づくり地域づくりプロジェクト交流会」が開催され、第2層協議体メンバーや地域住民約30名ほどが参加した。
行政による取り組み報告の後、当財団より「今、求められている生活支援体制整備事業とは~全国での取組みの紹介」のタイトルで講演し、さまざまなデータを示しながら、なぜ今、支え合い活動が必要なのか等を説明。大阪府内の事例を示して伝えた。
行政による説明の後、参加者によるグループワークで異なる校区の人同士が情報交換を行った。「気づいたこと」「やってみたいこと」「(町に)あったらいいもの」等を発表し合い、新たな発見や気づきがあった。忌憚のない意見を出し合う場があることは重要で、今後にどう生かされるか楽しみである。(目﨑 智恵子、窪田 健二)
大野市(福井県)
11月30日
大野市は公民館単位の8圏域で住民中心の第2層協議体が立ち上がっており、おおむね月1回のペースで集まりながら取り組みを進めている。今回は、第2層協議体のメンバーとSCが一堂に会し、情報交換と交流を行う「第2層協議体合同研修会」が市主催で開催された。
会場には各協議体のブースも設けられ、チラシやのぼり、ポスターなど、実際の活動を紹介する品々が並べられた。研修会は、①異なる協議体メンバーとのグループワーク(情報交換)、②フリータイム(各協議体のブースを見学、交流)、③各協議体からの発表による全体共有、で構成されており、最後に当財団から今後の推進に向けたポイントを中心にコメントした。
第2層協議体は設置年にバラツキがあり取り組み状況もさまざまだが、先行して取り組んでいる協議体にも、これから実践に踏み出していく協議体にもそれぞれ課題意識があり、「今回の合同研修会が参考になった、刺激になった」との声が寄せられた。(髙橋 望)
ボランティア養成講座に協力
瀬戸内市(岡山県)
11月20日
瀬戸内市生活支援ボランティア養成講座が行われ、講師を務めた。
当講座は、高齢者が地域で安心して暮らし続けられるよう、生活支援に関する知識を高め、既存団体への参加や、地域での生活支援の仕組みづくりを促進することを目指し開催された。参加者12名。4回シリーズで、今回はその1回目。
今回は、「今こそ参加しよう、地域に役立つボランティア」と題し、当財団が講演と「助け合い体験ゲーム」を行った。講演では、助け合いが地域にとって大切であるとともに、自分自身にとっても心身の健康づくりにもつながることを話した。また、助ける側も助けられる側もお互い気持ちよく活動ができる有償ボランティアの仕組みを紹介し、活動事例の動画で理解を深めてもらった。
助け合い体験ゲームは、自分たちの将来の困り事を考えることで、助け合いを自分事として考えてもらうとともに、そうした困りご事の解決のために自分たちでもできる支援があることを体感してもらった。緊張気味だった参加者もゲームを通して会話を交わすうちに、自然と交流が深まったようだ。
本講座を通じて得た学びを生かし、地域の助け合いのさらなる活性化を期待したい。(岡野 貴代)
支え合い活動交流会に協力
美浜町(福井県)
11月19日
美浜町主催で「令和6年度 支え合い活動交流会」が開催された。参加は地域活動者や民生委員、福祉委員、区長等だけでなく、支え合い・助け合いに興味のある人も対象に広く呼びかけており、担い手の拡大を目的としている。
最初に同町所属の第1層SCから町の現状と取り組み、目指す姿についての説明があり、次に当財団から助け合い・支え合いの楽しさややりがい、具体的な取り組み方法を事例を交えながら伝えた。これらを踏まえて「あってよかったと思う活動、今はないが必要だと思う活動」を考えるグループワークを行い、各グループで熱心な話し合いが行われた。
本会は、同町が運用している「地域あいあいポイント事業」(活動実践時にポイントを付与、ポイントに応じて活動奨励品を贈呈するもの)の対象にもなっており、開催後の取り組み拡大を期待しているところ。今後は各地区で勉強会を開催していく等、あまり間を置かずに次につなげる発信をしていく予定。(髙橋 望)
アドバイザー派遣事業に協力
鯖江市(福井県)
11月9日
鯖江市では公民館ごとに第2層SCを配置し取り組みを進めている。河田地区では年数回、住民が集まって地域のことを話し合う機会はあったが、さらに動きを促進するために協議体を立ち上げることを目指し、住民勉強会(やさしい・たのしい河和田づくり)を開催した。福井県のアドバイザー派遣(地域支え合い生活支援体制整備事業・第2層協議体立ち上げ支援)を活用した本勉強会は全3回で構成されており、今回は3回目。第2層SCがこれまでの振り返り、当財団が協議体の具体的な活動を説明、「今後、地域で取り組んでいきたいこと」について話し合ってもらった。
今回は別の地区行事と重なり10名程度と少ない参加者となったが、皆が前向きの姿勢を示していた。今後は、今回参加できなかった住民の意向も確認しながら、住民中心の協議体を立ち上げていく予定。(髙橋 望)
昭和町(山梨県)
11月16日
2020年から生活支援体制整備事業に取り組み、22年から市民の啓発などに向けてフォーラムを開催している昭和町。当財団は20年に講師として支援し、その後の勉強会で第2層協議体づくりに関わった。この日は、今年度のフォーラムが開催され、財団も山梨県のアドバイザー派遣事業として協力した。
今年度は第2層協議体メンバーから有志がフォーラム実行委員会となり開催。目的は、助け合い地域づくりへの理解と参加を広げたい、第2層協議体のメンバーを増やしたい、第2層協議体へのエール。実行委員会とSC、行政担当者など関係者はおそろいのTシャツを着て設営・準備、受付、司会、ワークショップのファシリテーターなど運営を担った。
塩澤浩市長のあいさつの後、第1層SCの金丸由希氏と行政担当の増田優子氏が、制度説明とこれまでの協議体の取り組み・課題について説明した。財団の講演は参加型で行おうと実行委員会が企画。グループワークも交えながら助け合いの必要性を実感してもらい、助け合いの理解を広げること、協議体への参加を呼びかけることにした。講演タイトルは「身近に支え合いの輪を広げよう」とし、まず「身近に相談できる人はいますか」とたずねながら、「誰でも困ることがあり、誰でもできることがある」という活動の必要性と、自分を生かして参加できる助け合いについて伝えた。「助けてと言えますか」と問いながら「助け合い体験ゲーム」を行うと、いつも通り次第に本音も出て参加者同士の距離が近くなり、和気あいあいとした雰囲気となった。その後、身近に感じそうなさまざまな助け合いの事例を紹介した。
次に金丸氏が進行してワークショップを実施。講演を通じての気づきや感想などを出し合い、いくつかのグループの発表を全体で共有した。「行政サービスだけでなく、身近な支え合いがたくさんあるということが分かった」という意見も出た。発表を受けて財団からは、「誰もが持っている『役に立ちたい』という気持ちを生かせるように、助け合いを広げていこう」とコメントした。さらに町長から「本当の意味で住みやすいのは、支え合いのあるまち。支え合いに失敗はない。取り組んでいきましょう」と熱いエールが送られ、会場が一層盛り上がった。
終了後アンケートには「協議体に参加したい」と記名した人が10名。「今回のような参加型のフォーラムはとても良かった」「ワークショップが少人数で話しやすく、雰囲気がとても良く楽しかった」との声が寄せられた。「12月以降も引き続き参加していただけるよう、各協議体リーダーとよく作戦を練って挑みたい」と金丸氏。新メンバーを加えて、さらに支え合いを広げる取り組みが進んでいくだろう。(鶴山 芳子)
雲仙市(長崎県)
11月23日
長崎県のアドバイザー派遣で、雲仙市の市民フォーラムに協力した。テーマは「防災×助け合い」。昨年から防災に力を入れており、鹿児島大学准教授の井村隆介氏の講演の後、当財団が講演。
平時のつながりがいざというとき(防災)に助け合う関係につながる、ということで、助け合う関係の必要性を伝えるとともに、さまざまな助け合いの事例、さらに、新潟県新発田市「川東いきいき大作戦の具体的な話し合い内容(防災も含めた)を挙げ、地域で話し合っていくことをすすめた。
アンケートでは「地域で話し合いを始めてみたい」「とても良い講演だった」などの感想をいただいた。(鶴山 芳子)
鯖江市(福井県)
10月19日
公民館区に第2層SCを配置している鯖江市では、順次、第2層協議体を編成しているところ。今回は、協議体の立ち上げに向けた河和田地区での住民勉強会(協議体準備会)の2回目。
公民館長からのあいさつ・趣旨説明に続いて、地域担当SCから前回の勉強会の振り返りが行われた。当財団からは、住民主体の活動が立ち上がっていくプロセスを説明した。グループワークでは、「今ある取り組みと、これから必要なこと」について、時間を延長しながら話し合った。
勉強会の開催回数は参加者の反応を見ながら調整する計画だったが、今回の様子から次回3回目を最終回とし、参加者に協議体への参加意向を確認して第2層協議体を編成していくこととなった。(髙橋 望)
岩手県
11月25日
岩手県主催のSC現地研修2回目が同県滝沢市で開催された。9月の1回目同様、SCらが実施した担い手養成研修会から立ち上がった居場所「ほっこりの会」が視察対象で、県内15市町村から35名が参加。当財団は2021年の担い手養成研修会やその後の支援に関わったことから、県のアドバイザーとして参加協力した。
研修の趣旨と流れ、「ほっこりの会」の説明、参加者の意見交換の後、場所を移動して居場所を視察。その後、再度意見交換を行った。
参加者からは「交流に消極的な男性をどう巻き込むか」「参加者の固定化への対策は」「若い世代の参加につなげるには」等たくさんの質問や感想が出され、居場所代表者、滝沢市のSCや行政から回答して理解を深めた。特に多かったのが担い手養成研修会について。「研修開催が目的にならないこと」と財団からアドバイスし、全国の事例も紹介。住民に分かりやすいチラシを作成すること、周知方法、ワークショップ中心の内容とすること、助け合い実践者に話してもらうことなどを伝えた。
終了後アンケートには、「住民主体になるような後方支援が行われている様子が分かった。手作りのチラシや、連続で同じことをしないなどが参考になった」「講義形式より、現場を見ることで得るものが大きかった」「住民やスタッフの皆さんが若々しく元気で、内容も固定せずやりたいことをやっている姿を見て、縛られずゆるい場のほうが気軽に来られるのだと思った」「担い手養成研修会に参加してほしい人を具体的に記載されているのは分かりやすく素晴らしいアイデア」等の感想が寄せられた。(鶴山 芳子)
滝沢市(岩手県)
11月25日
◆居場所「ほっこりの会」勉強会
県主催の現地研修の視察先にもなった滝沢市の居場所「ほっこりの会」が活動を始めて1年半。軌道に乗ってきた中で課題も見えてきており、居場所の中核メンバーとその支援をするSCや地域包括支援センターで、「原点を確認しこれからどうしていくのか」を確認する機会にできればと情報提供を行った。キーワードは「居心地がよい居場所とは」。立ち上げるまでの話し合いで掲げた「目指す地域像」や、それを実現するための居場所の機能は「誰もが」「気軽に」「支え合う」という場であり「する側、される側が分かれない自由な場」に向けて、事例(新潟市「実家の茶の間・紫竹」、静岡県袋井市「高南の居場所あえるもん」、軽米町「トコかる」等)を通じて、①フラットな関係になっているか、②子どもたちや他組織等の受け入れや連携と効果、③プログラムを決めない理由と効果、④すべての人を平等に ⑤ルールは少なく居心地のいい場や関係を築く、⑥情報の共有、⑦食事の効果、役割、⑧出番と役割は年齢と関係ない、⑨変化を楽しむ(風通しの良い運営)、⑩地域への呼びかけ(学校や寄付等)、を紹介した。
その後、気づいたことや感想を出し合い、「時間をつくって話し合う必要性があるのではないか」という意見も何名から出た。時には理念を確認し方向性を共有する機会が必要だと感じた。課題解決に向けた話し合いを実現し、活動が広がっていくことに期待したい。
◆SC、包括等と議論
「個別支援?地域支援?」をテーマに、同市の第2層SCの疑問について第1層SCや包括担当者らと議論を行った。地域づくりを制度から見るか、地域から見るかによる視点の違いではないか。どちらも大切であるので、どちらだけということではなく、必要に応じて情報をうまく活用することが重要ではないかと提案した。人口減少社会がさらに進展する中、地域共生に向けて世代を超えたつながりを仕掛けていくことも重要ではないか。地域をよく知っているSCだからこそできること、他事業との連携も推進してくことなど、行政の役割も変化していき、「何のためにしているのか」という点を共有するよい機会になった。(鶴山 芳子)
新発田市(新潟県)
11月27日
新発田市は新潟県のアドバイザー派遣事業を活用し、来年度より充実した第2層協議体および第2層SCの制度設計をしたいと、今年度3回の支援を受けて関係者の理解を推進してきた。今回は協議体とSCの役割について先進事例を基にしたイメージの共有・体制構築と、第1層協議体の役割を関係者間で協議することを目的に行われた。参加者は第1層協議体メンバーや行政等17名、当財団もアドバイザーとして協力した。
行政の開会あいさつ、部会長・副部会長の選出に続き、行政から部会の概要説明。地域ケア会議でのニーズを踏まえ、「つながりがある・身近に頼れる人がいる」「住民同士の助け合いがある」ということから、目指す姿は「一人も取り残さない地域をつくること」と示した。実現に向けては、地域への入り方、どんな人にアプローチするのか、すでにある取り組みとの役割分担を問題提起した。また、これまでの取り組みとして、高齢者大学と連携した「おたがいさま講座」の開催、第2層協議体(赤谷地区、川東地区)の取り組みなどを紹介。来年度17地区での取り組みを進めるために第2層SCを配置する予定であることなどを共有した。
次に財団より「これからの支え合いの地域づくりについて ―SCと協議体の役割―」と題して講義。第1層協議体は半数ほどが入れ替わるため常に基本を押さえること、また、来年度から第2層協議体の体制づくりを活発化していくにあたり、第1層と第2層それぞれの役割と両者が連携した取り組みの事例、さらに地域団体(自治会、老人クラブ等)との関係性=ニーズの多様化・複雑化から、地域団体と協議体は共存し連携するものであることを、山梨県南アルプス市の事例を交えて伝えた。
グループワークのテーマは「第1層協議体の役割と取り組みについて」。2グループに分かれ、①第2層に協力できそうなこと、②第1層協議体として新たに必要と思われる取り組み、についてたくさんの意見が出され、発表が行われた。財団と県はまとめでコメントした。
終了後の振り返りでは、共通理解が進んだこと、積極的で具体的な意見が出たことを共有。来年度に向けて何から取り組んでいくか整理していこう、と話し合った。(鶴山 芳子)
田上町(新潟県)
11月29日
昨年度、市民フォーラムから勉強会を重ねてきた田上町は、SCや行政担当者、第1層協議体がバックアップしながら、居場所チームと有償ボランティア(生活支援)チームに分かれて話し合いを重ねてきた。11月には空き家を活用した居場所の発会式が行われ、有償ボランティアチームも「まずはゴミ出しから」と着々と前進している。この日は両チームが第1層協議体と共に集まり、報告会を開くことにした。それぞれから、これまでのプロセスや現状と課題について報告があり、続いて質疑応答(やっていて不安なこと、分からないこと、聞いてみたいこと)。それぞれのチームに質問したり、当財団への質問もあった。財団からはさまざまな質問に事例を基に回答した。
最後に、全体まとめとして「理念をしっかり話し合い、“何のためにするのか”をもう一度話し合ってはどうか。生活支援は特に、理念に賛同する仲間づくりをしていくこと。また、迷ったら原点に戻って話し合ってみること」をアドバイスし、居場所、生活支援共に事例とノウハウを紹介した。助け合いは、立ち上がり動き出すことで成果も課題も見えてくる。皆で話し合いながら前進してほしい。(鶴山 芳子)
(本稿担当は、岡野貴代、窪田健二、髙橋望、鶴山芳子、目﨑智恵子)