「地域助け合い基金」助成先報告

NPO法人 豊島子どもWAKUWAKUネットワーク

東京都豊島区 ウェブサイト
居場所見守り生活支援配食・会食その他

助成額

150,000円2021/01/22

助成⾦の活⽤内容

4年前から困窮している子育て世帯を対象に食品ロスの食材を提供する場を創り、経済支援と孤立予防支援を実施してきた。コロナ禍で活動は拡大し現在では毎月区内400世帯以上に米5キロのほかレトルト食品やお菓子等を提供している。そのため生活にお困りの多世代の住民からも毎月数件の問い合わせを受け対応している。今後もコロナ感染拡大により失職や収入が大幅に減り困窮する市民は増加すると思われる。そこで問題が深刻になる前の今から多世代型の食料支援「としまハローフード」を今年1月から実施する。主に豊島区福祉総務課「くらし・しごと相談支援センター」に来訪し、食料に困っている多世代にわたる市民(15~20人)を対象とする。毎月第3水曜の15時~16時30分に、当団体事務局に食料を取りに来てもらい、地域で孤立しない環境を創る。

活動報告

豊島区福祉総務課「くらし・しごと相談支援センター」窓口に相談に来た池袋周辺地域に暮らす多世代の方に、「としまハローフード」を紹介してもらい、毎月第三水曜日15時~16時30分に、当団体事務局前で開催しているとしまハローフードに食材を取りに来ていただき、つながりをつくり、対話することから以下のような支援を多団体と連携することで実施できた。

・路上生活を余儀なくされた70代男性は、仕事をしたくて相談窓口に行ったが、緊急事態宣言中のため仕事の紹介はしてもらえず、代わりにビジネスホテルを提供してもらった。その際に、としまハローフードを紹介されて当団体に食料を取りに来た。
ホテル住まいのため、調理はできず、お湯のみで食べられる食材を提供した。所持金がほとんどないとのことで生活保護を進めたが「昨年、オリンピックに関わる仕事がしたいと思い、北海道から上京したが、コロナで仕事もなく、路上生活になってしまった。まだ丈夫な身体があるんだから、生活保護を受給するのではなく、働きたい」と訴えていた。ご自身もお子さんが小さいときに離婚したとのことで、当団体のシングルマザー等への食料支援の作業を1週間ほど手伝い、いろいろな人と語り合い多くの気づきがあったようだ。その後、ホームレス支援団体につないだ。
ホームレス支援団体では、住所がないと仕事につながらないので、一旦は生活保護受給を説得し申請同行し、アパートを借り住所を得て、そして仕事につなぎ自立することができた。 
 
・生後2か月の赤ちゃん連れでやってきた30代女性は、毎月来るたびに、事務所に長居して、夫は早朝から深夜まで不在、ひとりで育児をして人と会話することがないと吐露した。
赤ちゃんの便が緩いことや、泣き止まないなど不安になるとスマホで検索して、自分や赤ちゃんは異常ではないのかと悩んでいたという。そこで、ボランティア住民が自宅に訪問して傾聴と協働をするホームスタートにつなぐ。
また地域の訪問員が毎月1度、菓子を手土産に自宅に訪問する地域がつながるプロジェクトにつなぐ。育児で、誰ともしゃべらない孤立環境を打破することができ、仕事探しの伴走支援も実施できた。

・コロナ感染拡大で1年以上仕事がない60代男性は、2回目に来訪した際に、住まいについて相談したいと申し出てきた。そこで「WAKUWAKUすまいサポート」につなぎ、家賃支払いについて相談を受ける。1年以上仕事がなく無収入にも関わらず、賃貸マンションの名義問題で住宅確保給付金を受給できず、住み替えを検討。豊島区居住支援協議会を介して当団体に申し出があったマンションオーナーとつなぎ、空部屋を2年間無償で借りる契約ができて、引っ越すことが叶った。
子どもの大学後期の学費工面もできなかったが、当団体とつながりのある篤志家につなぎ、私立大の後期学費全額の支援を得ることがでた。また、ノートパソコンが壊れたが購入できず、当団体にてパソコン貸与のサポートをした。それにより大学のレポートや部活動の資料を作成することが担保できた。一方、父親の仕事はまだ見つからず、現在も求職中であるため社会福祉協議会のCSWにつなぎ仕事探しの伴走をしてもらうように手配した。

・8月は、コロナ感染拡大によりコロナに罹患した人の家族全員が自宅待機・自宅療養となった。中には保健所からの連絡や、公的な食料支援が届かなかった。そこでハローフード用の食材を利活用して、お弁当や果物などを、コロナ罹患家庭の玄関前に届ける支援をすることができた。(外国ルーツの3世帯、日本人の孤立家庭4世帯)

他にも、食でつながることにより孤立や孤独、追い詰められての自殺などの予防に寄与する活動を、継続的に実施できた。

利用者はのべ62名

今後の展開

コロナ感染拡大により、未だ先が見えない不安、失業や収入減の不安、家庭内のストレスなどを抱えている人がいる。「としまフードサポート」は、食料を介してまずはつながり、関係構築、困りごとに寄り添うことができる支援であると実感している。
引き続き、豊島区福祉総務課「くらし・しごと相談支援センター」窓口に来訪した池袋周辺地域に暮らす多世代の方が、つながりやすい「としまハローフード」を継続して実施していきたいと考えている。
現在は豊島区福祉総務課、社会福祉協議会、民間団体などが連携して、困窮している方の支援を実施しているが、より多くの住民も連携して、だれ一人取り孤立することのないまちづくりを目指したい。

添付資料