「地域助け合い基金」助成先報告

 HOHHH@目黒

東京都目黒区 ウェブサイト
居場所見守り

助成額

150,000円2021/04/15

助成⾦の活⽤内容

①交流の場の継続:コロナ対策を十分に行いながら、中途失聴難聴者が自分にとって最良のコミュニケーション方法を獲得する場を提供する。同じ悩みを持つ仲間同士で手話・読話・筆談・補聴支援機器、また最新のアプリの紹介など情報交換を行うことは、障害の受容の面でも重要なことです。
ピアカウンセラーまたは心理士による人間関係構築についてミニ講演、補聴支援機器の専門家による便利な使い方の伝達、手話通訳士による手話の学習会を開催、貸会議室を使用し動画(オンライン配信)を行う。高齢者やパソコンやスマートフォンを使えない方にも対面で柔軟に対応し、利用方法の学習会を開催する。
②啓発活動:地域の商店へ難聴者の啓発を行う。10人に1人が聞こえに困難を感じている現状、その対応について地域の商店を中心に啓発を行う。共生社会の実現と地域の活性化に貢献。コミュニケーションボードを作成する。

活動報告

コロナ禍で地域の活動が制限されました。そのような中、「地域助け合い基金」を活用することで聞こえない聞こえにくい(難聴)人の意思疎通ツールを2点考案し配布することができました。また、難聴がある人や、その家族、地域の方を対象とした講演会を2回開催することができました。

①意思疎通支援ツールの作成
一つ目は、「WEMO」シートPadタイプの作成です。これは、油性のボールペンで書いても消すことが出来るウェアラブルメモです。人とのコミュニケーションで聞こえない時の筆談具として使用します。スマートフォン等の身近なものに貼りつけられることがポイントです。難聴があることや難聴を支援することを表す「耳マーク」と、我々の団体「HOH(hard of hearing)」のロゴをプリントし、「目黒」のシールを貼りつけました。きこえにくい場面で大いに役立っています。
2つ目は、シールの作成です。WEMOと併用し効果を上げています。「聞こえないので書いてくれると助かります」や筆談後「ありがとう」の言葉は、きこえにくい私たちの、日常生活で言わなければいけない言葉ですが、なかなか言えない言葉の一つです。これらの言葉を、丸めの字体で可愛く柔らかく伝えることが特徴で、身近なものになんでも貼り付ることができます。これも好評でした。
②対面とオンラインのハイブリッドによる講演会「きこえない私の人生のつくり方]」を開催
地域の難聴がある方を中心にお誘いした講演会ですが、広報誌や難聴者団体のPRもあり地域以外の方の参加もありました。コロナの感染対策を徹底し、聞こえの情報保障として要約筆記と手話通訳も準備しました。初めて参加された方や久しぶりに再会する仲間同士で会場は賑わいましたが、コロナの急増で会場が人数制限となり、オンラインを併用することで多くの難聴者が視聴することができました。
③オンラインによる講演会を開催「コミュニケーションのユニバーサルデザイン」
対面も併せたハイブリッド講演を予定していましたが、コロナの影響でオンラインのみに変更しました。難聴や他の障害、外国人など含めた誰もがコミュニケーションしやすい社会とはについての講演でした。コミュニケーションの壁は、聴力レベルだけではなく、国(言葉や文化)の違いでも生じること、それを補う手段や発想を考えました。

3つの活動を通して、難聴がある私たちのコミュニケーションのついて、グループの中で語り合うことが出来ました。ささやかな喜びを共有したり、講演から得た知識や情報を広めたりして、同じように難聴がある方に伝えることが出来ました。

今後の展開

難聴がある人は人口の6%と言われています。高齢になると誰もが多少聞こえにくくなりますが、それほど大きな問題と認識されていません。それは、難聴が目にみえないこと、隠せること、本人が気づいていないこと、周囲が遠慮して指摘しにくいことなどもあります。差別やハラスメントにもなることがありますが、本人は誰にも相談出来ず、コミュニケーションをあきらめ孤立してしまいます。難聴は高齢だけの問題ではありません。
わたしたちは、そうした問題に対して地域がなにができるのか、どのような支援が必要か、同じ困りごとを抱える仲間として草の根の支援を考えました。
私たちのグループは、難聴がある当事者が主体となっていることが大きな特徴です。難聴による経験を話すこと、同じ悩みに耳を傾けることが、わたしたちのエンパワメントにもなっています。
今回の活動をバネにして、任意団体から登録団体に格上げし、難聴者支援の活動の輪を広げていくことを考えています。

難聴がある人への支援策など、東京都中途失聴難聴者協会、福祉対策部からアドバイスをいただきと活動の協力をいただきました。
さわやか財団「地域助け合い基金」に感謝を申し上げます。本当にありがとうございました。

添付資料