「地域助け合い基金」助成先報告

【個人】 三浦かおる

岩手県一関市
居場所その他

助成額

150,000円2021/08/10

助成⾦の活⽤内容

現在、特別支援学校の高等部を卒業した 18 歳以上の重い障がいのある方の学ぶ機会・場がありません。
地域の社会教育施設である公民館や市民センター、民間のカルチャースクールには重い障がいのある方への学習支援や合理的配慮がまだ不十分で安心して参加できる状態ではありません。また重い障がいのある方が一緒に参加できるような講座・プログラムもありません。卒業後は福祉サービスを利用し在宅での生活を送っていますが、まだまだ伸びてゆく力を持つ彼ら彼女らへ、地域にいる講師により、学びを届ける活動をしたいです。
重い障がいのある方へ、月 1~4 回、主に自宅を訪問し、当事者の方の興味関心に合わせた個別の学びの支援を行う活動を行います。
この支援にあたる講師は、地域の教員や退職者、福祉・医療・教育の分野で勉強した方などを中心に、得意なことを活かし、重い障がいのある方へ学びの支援をします。この重い障がいのある方の学びの支援が、地域の方々の潜在的スキルを活かす場となり、やりがいを生み出します。
このように双方が「学ぶこと」を通して社会とかかわり、また学んだことを活かし、地域の文化祭や芸術祭などへ参加することで、障がいのある人もない人も混じり合う機会を作ります。
この活動を通じて、誰もが主体的、継続的に学び続けることができる地域社会を目指します。

活動報告

学校を卒業した18歳以上の重い障がいのある方の学ぶ機会・場がないことから、重い障がいのある方の生涯学習の機会・場を提供する活動をしたいと「おウチde授業」「みんなde授業」という事業を計画しました。
今回の助成金で、最大の問題であった講師料の確保ができ、重い障がいのある方へ学びを提供していただくことへのお力添えを、自信をもってお願いすることができました。ボランティアではなく講師料をお支払いするということで、講師の方にも「教える」という意識を強く持っていただくことになり、充実した学びの提供につながりました。
「おウチde授業」では、学生2名、講師5名で、学生一人につき月に1~2回、自宅を訪問とコロナ拡大期間はオンラインで個別の学びの場を展開しました。
重い障がいのある方の興味は何だろうと寄り添いながら、学校時代に好きだった音楽や調理、読み聞かせなど、学びの内容を決めていきました。
学生さんは久しぶりの先生との学びの時間にはじめは戸惑いながらも、回を重ねるうちに学生時代の学びを思い出し、先生との時間で自らを表現するようになってきました。笑顔や発声で心を動かしていることが伝わり、学ぶことで命を輝かせているようでした。ご家族からは、日頃母とではヤル気を見せないが、先生とだと全く違う顔になり、意欲的に取り組む様子がうれしく、本人の社会性が育っていることに気づかせてもらったと、喜びの声を頂きました。
講師の方も自身の持つスキルを発揮する場ができ、地域で役に立てることがうれしいと言っていただき、学生さんのいきいきと学ぶ様子に感動される場面も多くありました。
「みんなde授業」は、地域の方々と混じり合っての集団の学習機会と考えていましたが、コロナ禍で集まることができなかったため、オンラインにて開催することとしました。
障がいがあってもなくても「学び」を通してお互いが刺激し合うことを目指しました。SNSを活用し全国の方と繋がることができました。
参加された方からは、コロナ禍でも皆さんと学べてうれしい、お友達が増えてうれしい、皆さんから刺激を受けてやる気が出るなどの感想を頂きました。
コロナが落ち着いたら地域の方々と直接混じり合って「学ぶ」機会を作り、お互いを理解し合い、社会とつながりたいと思っています。
重い障がいのある18歳以上の方の数自体がそれほど多くありません。そして当事者とその家族にとっても学びに対する意識はそれぞれであることがわかりました。体調管理で精一杯・お金を払ってまでは必要ない・自宅で時間を取れない・通所して親子分離できていることで満足だというのも現実だとわかりました。
数は少なくても学びたいと思っている親子がいることも確かです。この活動を継続し、人は生涯にわたり学び続ける存在で、重い障がいがあっても同じで「学ぶ」ということへの理解を地道に続けていきたいと思います。

今後の展開

重い障がいがある方が、学校卒業後も学び続けることができる「生涯学習」の機会と場を作りたいと活動しています。
重い障がいのある方の学びはゆっくりで、学校を卒業してもまだまだ伸びる力を秘めています。それなのに学校を卒業と同時に学びの機会・場所がなくなるのは残念なことです。そのうえ学校に通うことで保ってきた社会とのかかわりさえも極端に少なくなり、限られた関係性の中での毎日が続くようになるのはとても残念なことです。
重い障がいがある方たちが生涯にわたり、好きなこと興味のあることを学び、自分自身の可能性を広げ伸ばすこと。そのことで人とかかわり、地域とかかわり、社会とのつながりを感じながら、いきいきと暮らすことを目指しています。
地域にはたくさんの先生がいらっしゃると思います。お料理が得意な方、ガーデニングが好きな方、お習字や絵画、ヨガやアロマテラピーなど、得意なことやスキルを活かし、重い障がいのある方へ教えるということで活躍できるのではないでしょうか。
重い障がいのある方に寄り添い、本気で「学ぶ」ことを支えてくださる方のお力を借り、重い障がいのある方の「学ぶ」環境を作りたいと思っています。
まだまだ個人の小さな活動ですが、学校を卒業しても学びを止めないために頑張っています。
先駆けて活動されている方や団体様、同じ想いを持つ方々と繋がりたいと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。
ぜひお気軽にご連絡ください。
chibifutari903@gmail.com
三浦かおる

添付資料