「地域助け合い基金」助成先報告

【個人】 鈴木啓吾

北海道札幌市中央区
生活支援

助成額

150,000円2021/10/07

助成⾦の活⽤内容

医療技術の進歩等を背景として、人工呼吸器や胃ろう等を使用し、たんの吸引や経管栄養等の医療的ケアが日常的に必要な医療的ケア児が年々増加しています。現在、全国に約2万人、ここ北海道には約600人、札幌市には250-300人いると推定されています。医療的ケア児の多くはNICU、GCU、小児科において親付き添いの長期入院をへて在宅生活に移行します。子どもの入院中、ご家族は在宅で使用する見慣れない医療機器・医療材料、福祉サービスについて勉強し、病院内では痰の吸引など手技も学びます。家族の心配事は多岐に渡り、医師・看護師・ソーシャルワーカー・保健師・相談員など様々な地域の支援者のサポートを常に必要としています。新型コロナ拡大によって家族の不安がいつも以上に増幅する中、このような状況を少しでも改善し、ご家族が安心して在宅生活を送れるように、ご家族が必要としている情報をわかりやすくまとめたガイドブックを作成し届けたいと考えています。ガイドブックには長期入院から在宅生活までの流れ、地域の各支援者の役割、医療機器や医療材料の紹介、利用可能な制度・サービス・事業所の紹介、困難を乗り越えた家族のメッセージなどを載せる予定です。助成金はデザイン・レイアウト作成費用、印刷費用、郵送料の一部に充当します。なお、ガイドブック配布にあたっては札幌市内全域の病院、福祉事業所、区役所、保健センターなど地域の支援者と密に連携し情報を必要とする家族に確実に届けられるよう取り組んでいきます。また。地域の支援者にもこれを届け支援体制の強化を狙います。

活動報告

日常的に医療的なケアを必要とする子ども(医療的ケア児)が全国に2万人超、北海道には約600人、札幌には250~300人いると推定されており、毎年その数が増えています。その多くは、NICU・GCU・小児科における長期入院をへて在宅生活に移行することになります。ご家族は面会や付き添い入院をしながら、高度な医療的ケアを学び、医療や福祉に関する制度やサービスの申請と家の環境整備など沢山の事を並行して進めていかねばなりません。しかしながら、医療的ケア児という概念が新しく症例も少ないことなどから家族が必要な時に必要な支援や情報を得やすい環境は十分に整っておらず、結果的に家族が重い負担をおってしまいがちな現実があります。
家族にかかる負担を少しでも軽減すべく、地域(札幌市)の医療法人(稲生会様)や医療的ケア児家族会(にじのかけ橋)や行政機関(札幌市保健福祉局障がい保健福祉部様)などと連携し、これから在宅移行するご家族を主な対象としたガイドブックをつくりました(2021年7月から11月まで隔週で合計10回全体会議を行いました)。ガイドブックは3000部発行し、札幌市近郊のNICUのある病院、福祉事業所、区役所や保健センターなどの行政機関、学校、保育園など約100箇所に配置しています。
発行してまだ日が浅いですが、早速いくつかの病院で入院中のご家族にガイドブックが行き渡りいずれのご家族も大変喜んでおられたと耳にしました。このガイドブックを手に取って下さったご家族が少しでも不安をなくしてお子さんと笑顔で過ごすことできることを祈っています。
ガイドブックの発行はさわやか福祉財団様含め、主旨に賛同下さった協賛パートナーの皆様のおかげです。この度のご支援に改めて深く御礼申し上げます。

今後の展開

発行後、行政機関・病院などにおける勉強会・研修会などの場を活用し、ガイドブック作成の背景や活用の仕方に関する情報発信や環境改善に向けた意見交換に取り組んでいます。ガイドブックの存在を幅広く周知することで地域全体の支援体制強化に繋げていきたいと考えています。
<説明会等の実績と予定>
2021年12月 札幌市医療的ケア児等支援者養成研修(オンライン)
2021年12月 北海道大学病院新生児内科勉強会、札幌医大新生児内科説明会、北海道立子ども総合医療・療育センター新生児内科説明会、KKR札幌医療センター新生児内科説明会
2021年12月 札幌市保健所健やか推進会議係長連絡会
2022年1月  札幌市生活支援コーディネータ連絡会(予定)
2022年2月  札幌市子ども在宅ケアネットワーク研修会(予定)、札幌市相談支援部会(予定)
2022年5月  札幌市保健所地域保健担当研修会(予定)
また、ガイドブック発行にあわせ、難病や医療的ケアが必要なお子さんとご家族の支援を目的として「一般社団法人スぺサポ(www.spesapo.or.jp)」という非営利法人を設立しました。2022年は地域による情報格差で困っていらっしゃる医療的ケアが必要なお子さんのご家族を主な対象として、全国どこにいてもオンラインで一定の情報が得られる総合情報ポータルサイトの開発を計画しています。活動への参加や支援にご興味のある法人様、個人様いらっしゃいましたらホームページよりご一報頂けますと幸いに存じます。

添付資料