「地域助け合い基金」助成先報告

公益財団法人 鈴鹿国際交流協会

三重県鈴鹿市 ウェブサイト
生活支援その他

助成額

120,000円2022/05/11

助成⾦の活⽤内容

新型コロナウイルスによる経済的な影響により心に悩みを抱えている外国人が増加しています。本市では、ブラジル人が突出して多く、窓口にうつ病や子育ての悩み等の相談に来ています。本協会では、ブラジルの臨床心理士の方を招き、自分の言葉で安心して相談できる機会を作りたいと考えています。これは、心に悩みを抱えている方は社会で孤立しがちなため、相談後に地域の日本語教室へつなぐこと、他のイベント等への参加等を積極的に案内することで本協会が生活上の安心感の一助になると考えます。また、これまで窓口相談では子どもの相談が多かったため、三重県教育委員会の外国人児童生徒巡回相談員や外国籍児童・生徒への発達検査等を行っている公認心理士を講師に招き、外国につながる児童・生徒の学習支援活動のボランティアを対象に現状を知り支援の方法を考える研修会を行い支援活動に活かしてもらえるように努めます。

活動報告

外国につながる児童生徒の心に寄り添う研修では、公立の小中学校で日々外国につながる児童生徒の学習に取り組む外国人指導助手の方と外国につながる子どもも含めた発達検査をされている公認心理師の方を講師に招き、開催し地元の高校生や大学院生、高校教諭、一般の方が30名参加されました。
始めに、外国人指導助手の方から子どもたちの様子から見えてくることや状況に応じた対応についての話題提供がありました。外国語に訳されている教材の活用や、子どもと対話しながら話したいことを引き出す方法について学びました。その後、公認心理師の方から、子どもたちが勉強で苦労している部分が発達から来るのか、学習した言葉と生活の言葉をうまく結びつけられているのか、言葉をグループ分けして捉えていく事で、新しい言葉の獲得につながることを学びました。参加者からは、「対応に困るかもしれない状況を想定してい学べたことは良かった」や「子どもたちとのやりとりの中で意識したい」といった感想がありました。
研修に参加された方の多くは、夏休み・冬休みの外国につながる児童の宿題支援活動に参加され、支援の際のボランティアと子どもとの関係づくりに役立てられていました。
心の相談会は、ブラジルの臨床心理士の資格を持つ方を招き8月27日、10月23日、11月13日、2月19日の4回開催しました。2月は、半日グループディスカッションを入れたが他の日は、午前・午後を通して個別の相談会を行いました。
保護者からは、親子関係、ひとり親家庭、子どもの病気に対する不安の他、日本の生活へのストレス、コロナによる収入減によるイライラなど、日本社会の中で情報弱者であったり、弱い立場におかれてしまっていることによりさまざまな心の負担が生じていることが見えてきました。
子どもたちからは、親との関係、学校内での人間関係、進路の悩み、自分の気持ちが出せないつらさなど、日本で生きていく事、将来への不安が見えてきました。
相談後は、気持ちが和らぎ、表情が明るくなっている方が殆どでした。
2月に行ったグループディスカッションは、臨床心理士がファシリテーターを務め、保護者と一緒に携帯電話・インターネットの子どもの利用についてと、子どもとの関わりについて話しました。「保護者達が子どものころ親から言われていたことを思い出し、自分たちが親に言われたことが今どう活きているのか」を子どもたちに伝えていく事で一緒に考える事につながることに気づいたり、保護者同士の意見を出し合うことが少ない中で貴重な機会になったという意見がありました。
思いを受け止める場や同じような悩みを持つ人たちが自分たちの言語で話し合う場を設けていく事は、共生社会を作っていく上で、必要な事です。また、個別の悩みを聞く機会を設け、その共通する部分に気づくことで、今後地域で展開する新規事業につなげてまいります。

今後の展開

外国人のみなさんが日本で子育てをしていく事、日本の学校に通い将来を描く事には、私たちが想像している以上に不安感を抱いている事が、分かってきました。今後、労働力不足や、企業のグローバル化などで、外国人の増加がさらに見込まれますが、日本社会の受け入れ態勢は充分とは言えません。地域の中で共に暮らしていくためには、つながりを持つ場が必要だと思います。
本協会では、地域のボランティアさんと連携した学習支援の仕組みをさらに発展させていくと共に、外国人のみなさんが自分の言葉で相談したり、同じ悩みを持つ人同士で話し合う機会を定期的に作っていきたいと考えています。
ぜひこのことについてご理解いただき、皆様と一緒に共生社会に向けた取り組みができればと思います。

添付資料