「地域助け合い基金」助成先報告

 失語症友の会「こだまの会」

愛知県犬山市
居場所見守り生活支援移動支援

助成額

150,000円2022/07/15

助成⾦の活⽤内容

私たちは、別紙のように「こだまの会」会報を通して、失語症者同士のつながり、家族同士の連携、見守り、社会復帰をめざしている団体です。失語症は脳卒中や交通事故の後遺症として生じるため、ほとんどの方が高血圧や糖尿病、心疾患などの基礎疾患を持っており、また身体の麻痺を伴う方も多いため、コロナ禍で例会として集まって実施する行事には制限があったり、例会を開催できなかったりしています。
現在は、一般の方でも家に閉じこもりがちになったり、精神的に不安定になる方が多いのが現状です。失語症の方は思っていることを言葉で表現できないため、一般の方以上に日常生活に支障がある上にコロナ禍でストレスが倍増している状態です。また、DVDも活用して例会に参加できない会員にも状況を伝えたいと思います。
これらの備品は私たちの会だけではなく、ボランティアルームに置かせて頂いて、他のボランティア団体にも利用してもらい、ボランティア活動をさらに広めていきたいと思います。

活動報告

助成金を活用し、パソコンとDVDプレイヤーなどの備品、通信のための物品を購入した。
【パソコン】
パソコンはこれまで役員会でのみ数人の個人所有のものを相談しながら使ってきていた。
今年から、会のパソコンを所有できたことで、例会の食事場面にパソコンを使い、以前企画した音楽会のDVDを流しながら黙食を実現することができた。感染対策をしながらパソコンを通して懐かしい場面を見ながら食事会を楽しむとができた。
さらに、ボランティア連絡協議会で失語症の発表をする機会をいただき、パソコンのパワーポイントで資料を作成した。多様なボランティアの方々へこだまの会の紹介、失語症体験談、失語症クイズを通して失語症の啓発ができた。近く開催される「あつまれ425あいち2023」の企画には、当日の資料を展示して活動報告をする予定。
役員会では、会のパソコンを所有することにより、個人負担が軽減し事務処理作業が軽減された。また、失語症のためインターネット操作が難しい役員もいるので、メモリー類を活用して情報を共有している。
【DVD】
例会や企画に参加できなかったメンバーへ、後日会の活動の様子を伝えるために活用した。DVDを見ることで、なかなか会えない会員の様子を見て安心したり、どんなことをやったのか知ることで情報を共有できて同じ話題で会話をすることができた。
【通信費】
コロナのため疎遠になりがちな状態を緩和するために、会報や郵送物の回数を増やして対応中。また、コロナ感染の不安から、会への足が遠のいているメンバーへ当日の資料を郵送するために、郵送用切手や資料印刷用インク、宛名シールなどの事務用品を購入した。例会が2ヵ月に1回なので、会えない期間の郵送でのお知らせは今後も必用。助成金で通信費を補充できたおかげで会員数も大幅に減ることなく会の活動を継続できている。

今後の展開

脳卒中や交通事故などにより失語症となり、コミュニケーションが取りにくくなっている方は全国に50万人以上もいると言われている。失語症は外見では症状がわかりにくく、本人は「失語症です」とは言えないので、周囲の人には気づかれず生活していることが多い。
多くの失語症の方が発症前は普通に生活していて、突然話せなくなったり文字が書けなくなったり、右手足の麻痺も合併して杖や車椅子が必要となる方も少なくない。一方、麻痺もなく口で喋っているのに会話がチグハグでかみ合わないタイプの失語症の方もいる。一口に「失語症」と言ってもいろんな症状があるので一人ひとり対応が異なる。多くの失語症の人に共通していることは、突然失語症になって生活が一変し全てのことに自信がなく情けない気持ちになり、外に出ることが嫌になる方が多いという点だ。
発症から何ヵ月か何年か過ぎて、そろそろ社会に出て行こうかなと思った時に、近くに自分と同じ失語症の人達の集まる場所があればホッとできるし、また元気に生活できる。次に会う時までに○○をがんばろう!」と目的を持って生きていける。「私も前はぜんぜん話せなかったよ」と言われて元気になれる。こだまの会は、言葉が出なかったり、間違ってしゃべっても「お互いさま」「一緒だよ」と待ってくれる仲間がいる安心できる場である。当事者や家族の会なので、案内作りや写真撮影、進行係、挨拶、発送作業を、ボランティアの応援を受けながらやっている。
「失語症」は一般の方には分かりにくい症状であり、認知症と間違われたり子ども扱いされることも多かったため、コロナ禍となる以前は担当の言語聴覚士が症状の説明や関わり方のポイントをご家族へお伝えしていた。しかしコロナ禍でご家族の面会も制限され、ご家族も失語症のことをよく分からず退院し、不安を抱えたまま生活をせざるをえない状況となっている。
「こだまの会」は日本失語症協議会や愛知県失語症友の会連合会に所属しており、失語症会話パートナーの会NPO法人あなたの声の支援を受けて活動しているので、新しい情報が集まりやすく参加者へ情報を提供している。失語症に関する制度(意思疎通支援者派遣制度など)や「あつまれ425」などの県内企画や全国の失語症の日企画、失語症全国大会などの企画、新しい書籍なども紹介している。犬山市ボランティア連絡協議会からのご指導やご協力により、他のボランティア団体との交流を深めながら地域の団体として活動している。
コロナが収束に向かっている現在、助成金で購入した機材を積極的に活用して役員会や例会を開催し、会員が安心して楽しく参加できるように工夫できるようになり、新しい情報も提供しやすくなった。また、購入したパソコンを活用して、当事者や家族などの関係者や一般の方々へ失語症についての啓発を行い、失語症になっても安心して暮らせる地域作りを行う。そして、これから社会へ出ようと思っている失語症の方へ、同じ失語症の方の集まりの場が身近にあるということを伝えるための活動も継続する。
同じような団体の方がありましたらご連絡ください。
この度は、助成金のご支援をありがとうございました。

添付資料