「地域助け合い基金」助成先報告

一般社団法人 4Hearts

神奈川県茅ヶ崎市 ウェブサイト
その他

助成額

150,000円2022/08/04

助成⾦の活⽤内容

スローコミュニケーションプロジェクト
こころで聴く図書館
失われた魔法書を探せ!

<目的>
図書館内のサービスを情報コミュニケーションバリアの視点で、よりよくするポイントがないかを共に考える。障害者や子どもも含めた、より市?に使いやすい開かれた図書館をともにつくる。 一歩想像する力、思考する力、言語化し形にしていく力を養う。

<概要>
まちのなかで日々生活していく上で、聴覚障害者の困りごとや、発達障害者がそもそも図書館など静かな場所を選択肢に入れることができない現状がある。そういったことを、地域の情報コミュニケーション障害当事者団体などからお話を聞くことで、一人一人多様な困りごとが存在することを知る。
実際にヘッドフォンやアイマスクなどを使い、コミュニケーションバリアの体験をすることで、知識だけでなくアンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)の存在に気づく。他のことへの想像力を巡らせる『気づきスイッチ』を入れる。体験後は、こうしたらいいのではというアイデアを子ども同士で話し合い、図書館に提案する。

<共催>
茅ヶ崎市
<後援>
茅ヶ崎市聴覚障害者協会、茅ヶ崎寒川地区自閉症児・者親の会、公益社団法人茅ヶ崎青年会議所

活動報告

当助成をいただき、「こころで聴く図書館 失われた魔法書を探せ!」を盛大に開催することができました。
その模様は、茅ヶ崎ライフスタイルWebマガジン「ちがすき」や、タウンニュース(紙面・WEB)にもイベントレポートが掲載されました。
https://rarea.events/event/167317
さらに、イベントででたアイデアをまとめた「冒険の書」も、参加者・見学者などに広く配布されました。
https://slowcommunication.jp/library/

茅ヶ崎市立図書館を舞台に、地域の子どもたちが「見えない・聞こえない・話せない」役割を体験します。3人が共通理解の上で協力し合いながら、指定された図書を探しに行きました。その後、「障害者にも子どもにも使いやすい図書館」を体験を通した気づきの上で、アイデア出しをしました。

<地域の繋がりを活かして>
ポスターキャラクターや、11月上旬に完成し配布した「冒険の書」などは、イラストレーター、編集者の方にご協力いただきました。イベントレポートライターや動画撮影カメラマンなど、きちんと記録と資産にするための体制も整えました。
子どもたちのグループには、一人ずつファシリテーターとして「助っ人」が付きます。また、受付だけでなく、普段とは違う状況に置かれるため、安全確認する人を配置するなど、とても多くのスタッフが必要でした。
4Heartsだけではもちろん難しいので、パートナー会員、数多くの協力企業や団体にご協力いただきました。

また、イベントは体験をするだけでなく障害当事者や身近にいる人の生の声をみんなに聞いてもらいました。茅ヶ崎市聴覚障害者協会からは、手話話者としての困りごと。茅ヶ崎寒川地区?閉症児・者親の会からは、発達障害者や知的障害者がそもそも行きたくても図書館を利用しづらいこと。中途失聴者が身近にいる市内小学生にもお話ししていただきました。

当イベントの集客は、タウンニュース、市広報だけでなく、地元の?年会議所や商工会議所などのご協力によって広く告知されました。イベントは不慣れな状況で館内を移動するため、社会福祉協議会でイベント保険に加入して実施しました。それは、日頃からの関係性構築や所属して活動するなど、繋がりを活かして多くの方々に助けられながら開催できたと言えます。

<課題とネクストアクション>
子どもたちの気持ちを引き出す助っ人は、イベントの趣旨そのものだけでなく、体験を通して助っ人本人も何らかの理解に至っている必要がありました。しかし、その理解にばらつきが出てしまったことは課題でした。
事前に日程を設け、同じ体験をしてもらうなど事前に意識のすり合わせをする必要があると思います。
さらに、次回以降も同じ方ではなくいろんな方に助っ人になって頂くには、助っ人育成の仕組みを作る必要があると感じています。
今後は「小規模で開催してほしい」という声も多いことから、助っ人育成の仕組みを作りながらフィードバックを得ていきます。
そして、今回は図書館でしたが別の場所でも開催することで、子どもにも障害者にも使いやすいまちづくりに繋げていきたいと考えています。

<参加者の声と反響>
小学校低学年の参加が多かったため、長丁場のイベントには少し疲れを感じるところもあったようですが、最後まで楽しそうに参加してくれました。イベント後には「参加した子どもが、積極的に周りの人を助けるようになった」「もっと周りを意識するようになった」など変化が見られたという声もありました。
また、イベントレポートをみて「とてもいいイベントだね!」「次に開催するときはスタッフで入りたい」「うちでも開催してほしい」など、地元だけでなく県外からも多くの反響をいただきました。

<助け合いを広めるために>
小学校低学年の子どもたち。見えない・聞こえない・話せない状況に慣れないにも関わらず、次の役割にバトンタッチすると、すぐにされて嬉しかったことを次の子に転換できる姿を見て、とても頼もしく思いました。
助け合いってそういうことなんだと思います。後方で見学している大人の方が学んでいたようです。子どもの頃には恥ずかしげもなく、あれこれ考えるよりも行動できていたこと。それを忘れないで、誰ひとり取り残さず、みんなでまちを作っていけたらいいですね!

今後の展開

スローコミュニケーションプロジェクトを地元茅ヶ崎から全国へ!!

日本の難聴者数は1430万人。そのうち、聴覚障害者とされ障害者手帳交付を受けているのは34万人とも言われます。残りの約1400万人は、聞こえも困りごともコミュニケーション方法も曖昧な人々であるといえます。
加齢性難聴は75歳以上の7割以上が発症するといわれています。団塊の世代が全て75歳以上の後期高齢者となる2025年を見据え、情報コミュニケーションバリアの問題は喫緊の課題です。
そして、情報コミュニケーションバリアを感じている人は、高齢者を含む聴覚だけでなく視覚障害、言語障害、発達障害など多岐に渡ります。

このような人々の多くは、「人様に迷惑をかけてはいけない」「筆談してもらうのは申し訳ない」など社会に負い目を感じ、困っていることを自ら声を上げない方もたくさんいます。見た目でわかりにくい障害のため、社会も実態を把握しておらず、なかなかジブンゴトにすることが難しいです。
そこで、私たち4Heartsは当事者支援ではなく、当事者と社会の双方の意識を変えるため【スローコミュニケーションプロジェクト】を提唱しました。

それぞれの事情を、一歩想像する。それによって生まれる、あたたかな心の交流こそが「スローコミュニケーション」なのだと。スローライフ、スローフードにスローコミュニケーションを加えたまちづくりをすることによって、情報コミュニケーションバリアに対し一緒に考えていくまちを作ります。
コミュニケーションは、ひととひとが繋がるものだから。

そこで、これまでは茅ヶ崎市を中心に啓発活動やイベントを実施してきました。これからは引き続き継続しながら、いよいよ全国波及に向けて活動していこう!としているところです。
今回の図書館でのイベントを元に、開催したいと考えている人たちの助けになるようなパッケージ制作をしていきたいです。
パッケージができたら、それをどんどん活用して開催いただき、その結果をどんどんシェアしてもらうことでスローコミュニケーションプロジェクトの文化を普及させていきたいと考えています。
ぜひ一緒に活動してみませんか?

研修・セミナー依頼や講演なども受け付けております。
また、情報コミュニケーションバリアに対する、対応の選択肢を見せるためのショールームを将来的には作りたいと考えています。一緒にワクワクする世界を見ませんか?

スローコミュニケーションプロジェクト(https://slowcommunication.jp/)
『みみとこころのポータルサイト』(https://4hearts.net//)

添付資料