「地域助け合い基金」助成先報告

 青空サロン 田縁デイサービス 大根プロジェクト

福岡県糸島市
居場所生活支援

助成額

150,000円2022/09/29

助成⾦の活⽤内容

今回のプロジェクトは、住みなれた地域(家)で安心して暮らし続けるための地域づくりへの挑戦です。自分の意に反して施設に入りたくない人がほとんどの中、地域で何ができるのか、中山間地域ならではの取り組みとして青空サロンをスタートするものです。高齢者の居場所として、長年培ってきた農業の知識、経験、技を活かせることは役割があり出番があることになります。特に男性にとっては良い居場所になると思っています。そして、地域の現実として高齢化の進行により段々水田の遊休化が進んでいます。遊休化が進んで行けば、イノシシの住処となり農作物への被害と繋がっていきます。現に収穫前の稲作はイノシシの好物で日々イノシシとの戦いであります。こうした青空サロンが充実していけば農地の遊休化防止となります。今回のプロジェクトは、大根を作りそして沢庵に加工して近くの農産物直売所に出荷して収益事業も展開することとしています。但し、こうした取り組みは初めてでありまして、収益の見通しは正直立っていません。もし収益となれば、みんなに分配せず、次年度の活動資金に使う考えです。利益を上げるのは二の次で、利益追求型となれば、体力も持たないと思います。みんなで力を合わせてこうしたプロジェクトを楽しく地域で活動できる場は、次につながっていくと信じています。
大根作りの他に、秋ジャガイモ栽培、菜の花栽培も予定しています。秋ジャガの収穫祭は青空サロンの元でカレー会、菜の花の咲く時期は花見会を計画しています。いずれも、農作業の後は田縁カフェとして田んぼで青空の元茶話会を毎回行います。
箇条書きにすると次のようになります。
①高齢者の居場所づくり 時間は現職の人よりあります。知識、経験、技を活かす場
②定年退職者の居場所づくり
③棚田の遊休地を蘇らせる場 地域のイノシシ対策に繋がっていきます
④農と福祉を一体化した地域福祉への挑戦 中山間地域ならではの仕方への挑戦
⑤施設に入らなくて地域(家)で暮らし続けるための仕組みづくりへの挑戦の場

活動報告

今回の活動の目標は、
①高齢者の居場所づくり、農業の経験を活かす場
②定年退職者の居場所づくり
③棚田の遊休地を蘇らせる場、地域のイノシシ対策に繋げる場
④農と福祉を一体化した地域福祉への挑戦、中山間地ならではの挑戦
⑤施設に入らなくて地域で暮らし続けるための仕組みづくりへの挑戦の場

①について
住みなれた地域で農業で生計を立ててきた高齢者が体が弱くなっても、昔取った杵柄を活かして農に関われる喜びの場を作りました。要介護状態になっても、長年培ったことを活かす事は生きる力になると思っています。自分の居場所が簡単にみつからない中でチームを組むことでそれができています。

②について
いわゆる定年退職者は、体力、知力はあるのに、それを活かせる場がない。何もすることがないということもつらいことです。何もしなければ、知力体力も衰えていくばかりです。農業の経験がなくても農業経験のある高齢者と協働することにより技術も身についていきます。教える側も元気になります。人に役立っている役立ち感が芽生えます。今回は、大根作り名人、沢庵漬け名人を講師に迎えて良い沢庵ができました。

③について
中山間地の農地は高齢化が進み、現実はこうした遊休地が増えています。棚田の借り手は中々いません。この遊休地化が進めば、イノシシにとって良い住処となり悪循環となってしまいます。この青空サロンのスタイルは、これの対策に有効ですがまだ地域的に見ればわずかな事で、今回の活動は小さな一歩になっていると思います。また、私たちに隣接する田の有機栽培グループとご縁ができて、連携して遊休地を守ることを話し合って、令和5年度から実践する事にしています。そして、中山間集落協定事業との連携は遊休田活用という共通キーワードで今後も連携を深めていきます。地域のふれあいいきいきサロンとは、福岡市内の大学生との交流を通して、令和5年度は青空サロンとして何か一つ一緒にできる事を模索していきます。

④について
農業の課題と地域福祉の課題は、棚田の遊休地対策を通して一体的に進めれば、農業の根本原因からは程遠いですが、遊休地を縁に活動を組み立てると農的な課題と地域福祉的な課題が重層的に結びついて生産的な活動事例になると思います。中山間地の美味しい空気で仕事をすれば、体も心もリフレッシュできると思います。

⑤について
活動のスタイルは、住み慣れた地域で暮らし続けるための一助になると思いますが、やはり難しい現実もあります。参加者の80代のTさんは、持病持ちでその持病が悪化して入退院の繰り返しとなっています。退院してくれば青空サロンに出席されますが、現在は入院中で体力の衰えを奥さんが心配しています。もっと早く始めておけば体力的にも良かったのではと思っています。また、もう一人の高齢者の一人暮らしの方は、体調の変化があり青空サロンへは時々来ています。青空サロンは原則毎週水曜日を定例の集まりとしています。一人暮らしの男性の家にはサロンの日は声掛けに行っていますので、見守り活動にも繋がっています。老いの現実を感じながら活動しています。

定年退職者達にとっては、良い通いの場になっており、いきいきと活動に参加しています。「サロンに集まって体を使い青空の下でいい汗をかいてみんなで作業するのが楽しい」という声が良く聞かれます。そして、少し稼ぐということは、今後継続していく上で大切なキーワードになっていると思います。地域の皆さんは、私たちの活動は楽しそうと好感を持って見られていると思います。今後も継続することでこの輪は、じわっと拡大していくと信じています。

今後の展開

今後の展開としては、今回さわやか福祉財団の助成金を頂くことができ、初期投資に必要な資金が助かりました。この土台を大切に育てていくためにも、「継続は力なり」でまずは続けることが大切だと思っています。
私達の中山間地域は、現実には少子高齢化が進んでいます。子どもの数は移住者が増えたことから微増になっていまが・・・。農業の問題もジリ貧傾向の状況です。イノシシも増えてきています。本来イノシシは夜出てくるものですが、昼間から出没しておりこの対策は大きな課題です。
当初予定のカレー会、花見会などはコロナ禍につき中止しました。
一方、当初予定していませんでした、青空サロンのレベルアップと特に加工品の出荷方法を学ぶ為に県内の飯塚市の加工所に視察研修に行きました。ここで、93歳の現役のばあちゃんと出会い、加工所の運営を学び、93歳で今も現役で働いている人生の大先輩の生き方は多いに学ぶことができました。また、直売所に出荷できない規格外のじゃがいもは、子ども食堂や、子育て支援のNPO法人へフードバンクを通して寄付しました。このフードバンクは今後も継続していく考えです。
最後に、中山間地域を何とかしたいという思いで立ち上げたこの青空サロンの考え方は、中山間地域ならではのやり方の一つだと思っています。こうした居場所が地域で定着していく事により、人も元気になっていくと思います。
令和5年度は、子どもたちと一緒に活動を企画していきたいと思っています。高齢者の技、知識を活かして、子ども達が自然に触れ、農に触れる楽しさを実感することにより、子どもと高齢者の新たな居場所になると思います。
住み慣れた地域・家で暮らし続けることは正直実感としては難しいと思っています。でも諦めることなく挑戦する価値はあると思います。
何よりも、住み慣れた地域で住み続けるためには、こうしたシステムが軌道に乗ることを願っています。
今後も、地域における助け合い活動を現場で実践し、積み重ねていく努力をしていきたいと思っています。
「努力の上に花が咲く」ことを願って・・・。

添付資料