「地域助け合い基金」助成先報告

一般社団法人 素足会

京都府宇治市 ウェブサイト
居場所生活支援その他

助成額

150,000円2023/02/09

助成⾦の活⽤内容

医療法人栄仁会宇治おうばく病院を中心に近隣の精神科病院やクリニック、福祉事業所との連携をしながら今後事業を行っていく予定で、利用者は今後増えていくことが予想されます。今後利用者が増えてくれば、地域の高齢者を対象として利用者の方が家事手伝いや買い物代行などの活動を行うことを考えています。
また、当事業所スタッフや外部講師が地域の方にメンタルヘルス講座などを行い、その中で障害当事者の方の体験談を語ってもらうことや、近隣の大学などの機関で障害当事者の方に講演をしてもらうことなども考えています。私が在籍していた京都文教大学とはそういった話が少し進んでおり、授業で当事者の方が話せる場を作ることを検討して下さっています。
当事業所の名称は“就労継続支援B型じじむげ”と言います。“じじむげ”とは華厳経にある“事事無碍法界(じじむげほっかい)”という概念に由来しており、「現象世界の全ての物事が相互に関連・融即しているが、互いに侵しあうことなく個々が存在し、そのままで真実の世界を完成している」といった意味であり、当法人が目指す目標でもあります。障害者も健常者も本来は分け隔てなく「人」として同じ存在であり、同じように悩んだり喜んだりする存在ですが、現実は「障害者」「健常者」と区別されているように感じます。上記の活動を通して、同じ悩み喜ぶ「人」としての共通部分を障害者・健常者が共有しつつ、お互いを認めないながら双方が主体性や自立性を持って生きられる共生共苦の社会づくりができればと考えています。

活動報告

年度途中に主要なスタッフが退職をしたため、当初の予定通りに活動を進めることができませんでしたが、来年度以降、スタッフを増やす予定にしており、活動は継続をしていく予定です。期間中の活動内容を以下に記載します。
 
申請時に申込書に地域の協力機関として記載していた仏徳山興聖寺は、相手方の事情により協力関係は終了となってしまいました。代わりに新たな協力機関として平等院の清掃作業をさせていただきました。また現在、京都大学宇治キャンパスの清掃作業をさせていただきたいと交渉しています。

地域の方に事業所の広報を行ない、手伝いをできることがないか確認したところ、引越しやごみの片付け、洗車などの手伝いを依頼されることがありましたが、いずれも単発で終わってしまい、なかなか継続することができませんでした。今後は、地域の方を対象として食器などの回収を行う予定であり、その活動の中で地域の方とつながりを作り、手伝いなどが継続して行えるようにできればと考えています。

関係機関の協力により、当事業所の利用者が京都文教大学の講義で自身の障害のことや当事業所での活動の報告などを行なうことがありました。今回は期間中に1度しか行なわれなかったため、大学等の教育機関との関係を深めて障害当事者の発表の場を増やしていきたいと考えています。

また、京都文教大学の教授に地域の方を対象としたメンタルヘルス講座を依頼して了承を得ているので、具体的に当事業所の利用者がその講座にどう関わるかや、講座のテーマをどうするかなどの詳細を詰めて、今後開催をしたいと考えています。

申込時に予定としてお伝えはしていませんでしたが、2023年11月11日土曜日にアート制作を行なっている障害当事者の方のアート展「ココロとイロ展」を主催し、地域の方に参加を呼びかけて実施しました。一般の方の多数の参加を望んでいたのですが、医療・福祉関係者や障害当事者の来場がメインとなり、希望していたほど一般の方の参加はなかったです。アート展に関しては来年度も実施予定ですが、一般の方の来場が見込めるようにより広報に力を入れる必要があると考えています。

今後の展開

昨今、メディア報道や制度改正などで障害者などのマイノリティーへの理解が進んできているように感じています。ただ、そういった動きはあくまで表面的・制度的なものであり、マイノリティーの方達の本質的な悩みや苦しみ、喜びなどを理解できているとは個人的には思えません。本当にマイノリティーの方達を理解するためには、マイノリティーの方達と共に過ごして共に悩み、喜び合うような場が必要だと考えています。「共生社会」といった言葉でマイノリティーの方達を社会に受け入れる動きがありますが、個人的には既に社会で共に生きている以上「共生」はなされていると感じています。本当に必要なのことは「共生共苦」のより本質的な部分での関りや理解だと考えています。あくまで「共苦」は、マイノリティーの方達の苦しみや悩みを健常者の方達が理解するだけでなく、マイノリティーの方達の側も健常者の方達が抱える苦しみや悩みを理解することが必要だと考えています。そういった相互理解を持つことで、本質的な「共生社会」が生まれると考えています。当事業所では、地域の施設での請負作業や地域住民の方への手伝いなどの業務、障害当事者の方達の語りの場やアート展の実施などを通して、障害や健常の区別なく同じ「人」として相互理解を促進し「共生共苦」の社会づくりを行なえればと考えています。

添付資料