「地域助け合い基金」助成先報告

 ナチュラりんく

愛知県名古屋市港区 ウェブサイト
居場所生活支援その他

助成額

150,000円2023/02/05

助成⾦の活⽤内容

化学物質過敏症は認知度が低く、理解されにくい現状です。香害とも言われる、日用品等による空気環境が大きな原因のため、発症すると園・学校・仕事・病院・介護・公共機関等の利用もできなくなり、あらゆる日常生活が困難となり、社会生活を奪われ困窮、孤立します。
化学物質過敏症は電磁波過敏症を併発することが多く、そうなると外出することに加え、パソコンやスマホも扱うのが困難となり、人とのコミュニケーションや情報が遮断されるという辛く孤独な疾患です。
当事者は社会へ出られなくなる為、知ってもらう機会がなく、世間への認知が進みません。
現代は、有毒な化学物質が日常に蔓延しており、誰もがいつ突発的に発症してもおかしくない現状です。香害や化学物質過敏症を広く周知啓発することで、多くの方に認知・理解していただき、安全で健やかな空気環境への意識を高めていきたいと考えています。その結果、子供たちの健やかな発育発達、発症予防や健康増進、当事者の社会生活を守ることへ繋がっていきます。

まずは支援機関もなく孤独に取り残されている当事者同士を繋ぐこと、また当事者と支援者を繋いで、当事者が社会から孤立しないための居場所作りをします。
多くの方に知って頂くために、広報物作成やイベント(当事者やその子供たちとの交流会等)の開催・発信等、周知啓発活動を積極的に行います。県内での周知率をアンケート実施で見える化し、周知率が1%でも上がるように活動します。
愛知県は他県と比べ取り組みが遅れており、香害や化学物質過敏症に対する対策の動きが極めて弱いため、この地域での活動の必要性を強く感じています。化学物質過敏症患者が共生できる社会の実現のため、この社会問題が県内で大きく議論されるようになることを目指して継続的に活動していきます。

活動報告

私たちは、化学物質過敏症という認知が低く理解されにくい症状を広く知っていただきたい、また化学物質過敏症で日常生活に困難を抱え孤立している人や相談できる場所がない人が支え合える居場所作りをしたいと会を立ち上げました。

香害とも言われる、日用品等による空気環境が大きな原因のため、発症すると園・学校・仕事・病院・介護・公共機関等の利用が難しくなり、あらゆる日常生活に困難が生じます。
活動を始め、さわやか福祉財団様の助成金を活用できたことで、ホームページの整備やチラシを作成することができ、たくさんの方に当会のこと、化学物質過敏症や香害のことを知ってもらうことができ、たくさんの方と出会うことができました。

化学物質過敏症の当事者はなかなか外出することが難しいため、症状が重い方とはオンラインでの交流会を毎月実施し、日頃の困難な思いや対策法を共有したりできました。身近にはなかなか出会えなかったり、外出が困難で、社会から孤立しがちなので、オンライン上で繋がれてお話しできることはとても心強く、参加者様からも感謝の声を頂いています。
発症はしていないけれど化学物質過敏症のことを知っている、香害を問題視してくださる方との出会いの中で、周知活動へのご協力をいただくこともできました。
お話し会は、そんなご協力者様からの提案で化学物質過敏症や香害への理解や知識を深め、認知されていない層へ届くことや、今香害を感じながらも我慢している方たちとお会いしてこの問題に前向きに向き合って発信していこうという思いを共有したりしました。偏見や誤解の多い化学物質過敏症は発症している当事者が発信するだけでなく、正しく理解した支援者様が発信してくださることで、その先にいる認知の
薄い層へ届きやすいと感じました。

化学物質過敏症の古くからある他の団体と協力し、化学物質過敏症や香害の現状、困っている人がいること等を名古屋市長へお伝えし、周知啓発への協力や対策の申し入れをすることができました。そこから、市職員の環境局、健康福祉課の方にもお話しする機会をいただき現状をお伝えすることができ、現在は市営地下鉄や園や学校、公共施設等に5省庁から出ている国の啓発ポスターを掲示することを調整してくださっているとのご報告もいただきました。
新聞社、テレビ局などへの働きかけも行い、取材、報道にも繋がりました。

また、地域で保育園を運営する法人様との繋がりができ、化学物質過敏症や香害についての職員研修をさ
せていただくことも実現しました。

活動の中での課題としては、集まる場所を探す困難や、重症の当事者と支援者が会うという困難、お話しを聞いてもらうまでのハードルが高いということです。化学物質過敏症が少数派な問題なため、地域でも取り合っていただけないことが多く、繋がりの中から少しずつ一歩ずつというのが現状でした。また、表面化していない声を集めることが難しく、もっと当会のことを広く知ってもらうことや、化学物資過敏症
や香害に関する相談窓口があると声が集まりやすくなるかなと感じました。

この活動を始めて、「香害=公害」だという認識を持っている方々とたくさん出会い繋がることができ、より関心を持って頂けたこと、またあまり関心のなかった方へもそういった認識を届けることができたことはこの社会問題を解決していくための第一歩としてとて良かったと思っています。
今後も、会員さんとアイデアを出しながらこの繋がりや意識を広めていけるように活動を続けていきたいと思っています。

今後の展開

運営さんからのお声です。
・私たちも、今まで、エチケットのために…除菌や衛生面のために…と使っていた良い香りだったものがある日突然、刺激的な香りになり、頭痛や吐き気など体調不良をひき起こすものになってしまいました。
花粉症や更年期障害、うつ気味?精神的なものかな?と思って過ごしてきたりもしました。
今、まさにそう思われている方もいるかもしれないです。何故そうなったのだろう、何がその症状を起こすのだろう…それを、なんらかの症状がある方も、まだ症状のない方も一緒に見直し考える機会をこれからも作り発信していきたいと思っています。そんな症状を体感されている場合は、洗剤を無香料に変えて
みたり、大自然の空気を吸いに出掛けてみたりしたら、体調が変わってくるかもしれません。

・教育現場や園に、香水をつけてくるのが不向きな事は一般的に周知されていると思います。
しかし、昨今の日用品における香りブームは香水以上に香りが強く長持ちし、化学物質をたくさん含んでいます。その香りや化学物質により健康を損ない、理解や協力が得られず、集団生活や学びの機会を失っ
ている子どもたち、社会生活を失う大人たちがいます。
アメリカやカナダでは公共の場では香りを控えるというマナーが一般的ですが、日本でも 13 人に 1 人が化学物質に過敏症状を有すると言われている現状であり、そういったマナーが定着し、誰にとっても健や
かな空気環境を守っていく必要があります。

最後に
化学物質過敏症の原因となる香害は、健康問題だけではなく、環境問題でもあります。現代の環境病であるこの社会問題は誰一人関係のない人はいないのです。
大切な人の健康を守るため、子どもたちの未来により良い環境、より良い社会を残していくために、みんなが自分ごととして考えていく必要があります。
この情報をキャッチして、詳しく知りたいと思っていただけたら、私たちの会では詳しく知る機会を設けています。企業様、法人様へ向けての職員研修等も実施しています。ぜひ一度、正しく知ってみてください。そして、誰でも簡単に、今できることを一緒に考えていきましょう。
一緒に伝えてくださる方が増え、化学物質過敏症が他の疾患と同じように広く知ってもらえてご理解いただき、助け合えるような社会になること願っています。皆様のお力を貸してください。よろしくお願いい
たします。

添付資料