「地域助け合い基金」助成先報告

一般社団法人 Life is

東京都多摩市 ウェブサイト
居場所

助成額

150,000円2023/02/14

助成⾦の活⽤内容

現在、当事業所をご利用頂いている方の中で、18歳以上の重症心身障害者の方々と共に駄菓子屋を運営しており、レジ打ちや在庫管理等を職員と共に取り組んで頂いております。
その中でも地域の方々と駄菓子を通して緩やかで自然な交流が生み出されておりますが、その繋がりを一層有機的なものにしていきたいと考えております。
具体的にはICT機器を活用し、寝たきりのご利用者様であっても、より地域住民の顔を見ながら接客を行えるように環境調整を行うと共に、駄菓子を購入しに来て下さった地域の方々も、一層ご利用者様の事を感じられるような取り組みを進めていきたいと考えております。
方法としては、駄菓子屋の中にアクティブカメラを設置し、そのリアルタイムの映像がタブレット端末に映し出されるように繋ぎます。さらには瞬きの動きで認識するスイッチと音声出力可能なスイッチを活用する事で、ご利用者様が直接的に地域の方々とコミュニケーションを取り合えるような環境を作っていきたいと考えております。
障害の重い方々であっても、接客対応できる環境を整える事はご本人様のみならず、その場面に触れた地域住民にとっても、障害の有無に関わらず、自分自身に出来る能力を活用し、環境さえ整えば、地域の中で対等な市民としての関わりが生まれるという気づきも得られるのではないかと考えております。
この様な取り組みがきっかけとなり、同じ場と時間を共有し合う事で、真の意味での”インクルーシブ”な地域づくりが行えるものと確信しております。

活動報告

我々は医療的ケア児者や重症心身障害児者の通い場に駄菓子屋やフリーススペース等を併設し、地域の全ての方に対して場を開いていく事で、「日常生活の景色を多様にする」取り組みを進めております。多くの方が行っているような言語的なコミュニケーションが難しい方であっても、ICT機器を使用する事で関わりを深める事は可能です。今回購入させて頂いた備品を活用する事で、重症児者が駄菓子屋を触媒として、地域の方々と能動的な関わりを持つことが出来ております。わざわざ重症児者と関わりを持とうとせずとも、駄菓子屋に駄菓子を買いに来た中で、自然な交流が生み出せている事により、地域の中で知り合いが増えていくと共に、「障害のある誰か」から「いつもそこに居るあなた」に関係性が変容していったように思います。やはり、障害の重い方々と出会う機会は少なく、少し壁があるような方もおりますので、そういった方々が自主的に近づいてくれるような関わりしろを作っていく事に難しさを感じる場面もありますが、排除せずに共に考えていく過程自体が意義深いと考えております。
実際にこの場に興味を持ち、面白がってくれる人が増えてきており、各地から見学にお越し頂く事も多くなっております。地域の中でも近隣小学校の総合学習や中学校の職場インタビューなど、小中学生が関わりを持ってくれる機会も非常に多く、地域との繋がりの中に重症児者が仲間入りしつつある状況を生み出せていると実感しております。

今後の展開

「日常生活の景色を多様にする」というビジョンを掲げて、地域の中で事業を運営しております。
福祉という言葉はどちらかというと障害者に向けた言葉として取り扱われ易いものですが、本来的には全ての人たちの幸せな人生に寄与していくような言葉だと捉えており、福祉事業所を運営するという事は「特定の誰かに対するサービス提供」だけでは不十分であり、その地域で暮らす全ての人の豊かな人生に寄与していく事こそが必要だと考えております。
また、障害というものは個人に帰属しているかのように語られ、振舞われる現実もまだまだ散見しておりますが、障害はあくまで社会側に存在している障壁であり、地域全体の力で取り除いていく必要があります。それに必要なのは多くの人の当事者意識であり、社会にある障害が身近になる事でその様な意識が育まれるものと考えております。何よりも障害により生活のしにくさを抱えている人と知り合いになり友達になる事で、「(自分には関係のない)誰かの障害」ではなく「友達の障害」となり、その障害を取り除いていきたいという気持ちが芽生えていくのではないかと感じております。
今後も福祉事業所として、社会側の障害を少しずつ解消していくと共に、「障害者」と「健常者」や「支援者」と「被支援者」の様な画一的な関係性を少しずつ溶かしていき、一人一人が対等な市民としてそこに存在する事が当たり前になる景色を生み出していきたいと考えております。

添付資料