「地域助け合い基金」助成先報告

 トリクマカフェ西宮店 いちにっ!

兵庫県西宮市 ウェブサイト
居場所

助成額

57,000円2023/03/06

助成⾦の活⽤内容

ダウン症(21トリソミー)で生まれてくる赤ちゃんの8~9割は出生後にダウン症があることが判明します。出産直後のショックや驚きは計り知れず、育てていくことへの不安はもちろん、時には生きていく事にすら絶望してしまうご両親がたくさんいます。出生前に判明している場合でも、出産後の生活に大きな不安を抱えて出産に臨んでいるご両親が多いと感じています。

そんな赤ちゃんとご家族が絶望や孤独を感じる期間を少しでも短くしたい、そんな思いでこのつどい場を作ろうと思いました。SNSではたくさんのダウン症児とそのご家族に出会うことができます。それだけでも救われる部分はありますが、実際に会って話す場があることはさらにお互いの支えになります。実際に私も出産後の不安が大きかったころ、実際会える距離に同じ境遇の方がいて会って話ができたことで絶望ばかりだった心に少しずつ希望が湧きました。今では定期的に会えることで気が晴れて育児を楽しむ余裕ができています。

開催は西宮市の公民館を主に使用しますが、他市の方の参加者も多く、こちらから出張という形で他市に出向いてつどい場を開く活動もしています。みんなが安心して気軽に集まれる場として定期開催できるようにしていきたいです。
また、身近にダウン症やその他の障害児(者)がいない方にも、障害のある子を育てることは不幸でもかわいそうなことでもない、人一倍がんばり屋の子たちに幸せや勇気をもらい、楽しく子育てしているという事を伝えていきたいと思っています。そのために地域にダウン症の子たちがたくさんいること、つどい場を定期的にしていることをまずはチラシを使って広く周知していきたいです。

この基金はつどい場を継続運営していくにあたり、施設利用費やイベントの講師依頼費、参加賞(おやつ等)、お誕生日祝、・製作費、広報のためのチラシ印刷費等の必要経費として活用したいです。

活動報告

2022年11月より、西宮市内の公民館を中心に、月に1回程度ダウン症親子のおしゃべり広場を開催してきました。開催にあたり公民館の利用費が必要で、季節のイベントを計画する際も準備費用が参加者の人数により増減し、開催する回ごとに負担が不透明な状態でした。「さわやか福祉財団地域助け合い基金」の助成金を活用することで企画する側は気軽に開催でき、参加者も負担なく参加することができるようになりました。チラシの作成もできて、医療機関や児童館、保健センターの保健師さんへ広報することができました。出生後が一番不安が大きく、早期に仲間とつながることが大切だと思うので、医療機関や保健師さんへつなげられたことはとても大きなことだと感じています。

この1年で延べ、54組138人が参加してくれました。西宮市内で開催していますが、実際には神戸、伊丹、宝塚、大阪からの参加者が多く、時には2時間かけて離れた市からの参加もありました。市内だけでなく県外からも参加があるのは、助成金で安定した開催ができたおかげだと感じています。神戸市への出張も1度でしたが開催することができました。
ダウン症児を育てる上で通院や療育、障害者手帳や福祉に関する情報はなかなか入ってこないのが現状です。そのため、定期的に顔を合わせて近況を報告したり、相談事を共有することで悩んでいるのは自分だけではないと思えるし、新たに役に立つ情報を得られて今後の子育ての糧になる機会にもなっています。また、季節のイベントを開催することで親子で楽しい時間を持ち、普段通院や療育で頑張っている親御さんの息抜きにもなったと感じています。例えば、お花見では知り合いのカメラマンを招いて、普段なかなか撮れない家族写真を撮る機会をもったり、クリスマスには子どもたちだけでなく、お母さんへもプレゼントを用意しました。

感染症が流行ると思うように開催できないことも何度かありました。参加者の中には「この集まりのおかげで自分は救われたから、ダウン症の親子に出会ったらトリクマカフェいちにっ!を紹介することにしている」とおっしゃってくれる方もいます。また、開催の際には生活支援コーディネーターの方や地域の子育てコンシェルジュの方が参加してくれ、子どもたちと遊んでくれたり、保育園・幼稚園の情報を教えてくれたり、新たなつながりができました。

今後の展開

ダウン症児を育てることはそんなに特別な事ではないと今は思えますが、出生後にダウン症であると判明することが多く、最初は少なからず驚きや不安があります。とにかく知らないことが多く、情報がないことが一番の不安の原因だと思います。最近はSNSで比較的簡単に情報を得ることができるようになっていますが、直接顔を合わせて話ができることはとても大切だと感じて、同じ思いの仲間と「トリクマカフェいちにっ!」を立ち上げました。不安が少しずつ減れば、楽しく幸せな日々が待っているということを伝えていけたらいいなと思います。障害があっても無くても、子育てをしていると悩むことはたくさんあります。その都度、支え合ってお互いの子どもたちの成長を見守り合えることはとても心強いことだなとこの1年で強く感じています。

ダウン症のことをあまり知らない方々にもかわいさを伝えていきたいなと思うし、育てるママやパパが笑顔でいられる場をこれからも作り続けていきたいと思います。

添付資料