「地域助け合い基金」助成先報告
点訳グループ のぞみ
埼玉県上尾市
助成額
150,000円(2024/05/16)助成⾦の活⽤内容
上尾市の点訳ボランティア活動は他市に比べて、極めて低調な状態しにあると言えます。
大きな要因は点訳者が極めて少ないことに起因していますが、それは長年にわたり新規点訳者の募集を行わなかったことにあります。
当点訳グループのぞみは、1992年4月に誕生しました。当時の社協が主催した点字ボランティアボア講習に参加したメンバー(約20名)により成立しました。しかし、その後、年を経るにつれ会員の脱退が進み、メンバーは3 人まで減少してしまいました。
そのため、社協の音頭により2020年に新たな点訳者募集・講習(十数名が参加)を行い、最終的に7名の体制になりました。
その後、本年3月末をもって、旧メンバーが正式に脱退したこともあり、現在活動を継続しているメンバーは3名となっています。
そこで本年以降は、定期的に新規点訳者の募集・養成を行うこととし、可能な限り組織としての永続性を担保できるようにしていきたいと思っています。
補助金の活用により点訳ソフトや書籍の購入、外部講師への謝礼、会議室の確保等を行いたいと考えています。
新規点訳者10名の講習を実施することを目標に点訳ソフト10件、初級者用点訳本10冊を購入し、外部講師による講習を秋したいと考えています。
点訳ボランティアの増員により、次のようなことを実現する予定です。
・目の不自由な方の本を読みたいという要望により迅速に積極的に対応していく。(現在1冊の点訳に数か月かかっており、既に受け付けている本の点訳完了まで半年以上先になっており、新規依頼の受付を中断せざるをえない状況。)
・現状ボランティアへの負荷も高くなっており、適正な量にすることによりミスの削減が実現できる。
・市内の福祉教育へ積極的に関与し、点字・点訳への理解を深めるられるように努めていく。
活動報告
<活動内容>
募集の結果、4名の応募があり、全20回(1回2時間)の講習も全員が休むこともなく熱心に参加した。
<苦労>
募集にあたり、当初の想定では公的機関と協力することにより市民に対し宣伝効果の高い媒体の活用を考えていたが、それができなかったため、ボランティア単独での募集とならざるを得なかった。
そのため、急遽ホームページの作成やポスター(HPへもリンク)を作成するとともに、市内の店舗・公的施設や大学に個別訪問しポスターの掲示を依頼し協力をいただいた(依頼した先では純粋なボランティア募集であることを理解していただき、断られた先は基本的になかった(除く大規模ショッピングセンター)。
当初の想定では10名超の応募を想定していたが、多くの人の目にとまる宣伝の難しさを痛感した。
一方で、公的支援がない単独でも4名の応募があったことは今後の自信につながった。
<課題>
少ないながらもボランティアの応募があり、今後も新規募集を継続する予定であることから、点訳ボランティアの人員は今後徐々に増やしていけるものと想定している。
一方、今後の大きな課題は(1)点訳を依頼する人を増やすこと(ボランティアには目が不自由で点訳を利用したいという人を探すのは基本的に困難)、(2)点字プリンターの更新(すでに四半世紀使用しており早急な更新が必要)である。
1,2とも行政に依存せざるを得ない面があるが、本来、ボランティア団体⇔点訳利用者(視覚障がい者)⇔行政の3つがうまく回っていくことが重要であり、そうできるように目指したい。
<地域とのつながり>
市社協に連絡したところ、来年度(R7年度)は市社協が点字ボランティア募集を実施するとのことであり、連携していきたい旨申し入れた。
生活支援コーディネーターとの接点も増やし、点字利用者の拡大に努めたい。
独自に市内の重複障害者の障害福祉サービス事業所を訪問し、点字利用のニーズを探り、今後ニーズがあれば利用したいとのことだった。
今後の展開
基本的にボランティア活動は、ボランティア団体⇔利用者⇔行政の3つがうまく回っていくことが重要であり、そのどれか1つでも欠ければ十分な機能は果たせないと思っています。
今回、市会議員に面談を申し入れ、視覚障がい者に対する行政の役割をもっと主体的に動いてくれるように申し入れました。
聴覚障害者に比べ視覚障がい者は外に積極的に出られないし、声もあげられない状況にあるのではないか。現在、視覚障がい者の8割は高齢になって緑内障から失明する人であり、幼少から目が不自由な人(=点字利用者)の割合は少ない。我々の活動はその少ない人に対する活動ではあるが、8割の人も含め行政がニーズを継続的に探っていくことが重要であり、行政にしかできないのではないか。
聴覚障害者の組織として、全国⇔県⇔市町村とピラミッド型に組織が存在している一方、一番不自由な思いをしている視覚障がい者が置き去りにされているのではないか。