「地域助け合い基金」助成先報告
NPO法人 地域の医療を明るくする会
千葉県千葉市若葉区助成額
142,000円(2024/07/19)助成⾦の活⽤内容
四街道市立図書館で夏休み期間の小学生を対象に夏休みの宿題サポートプログラムを実施します。
併せて対象期間中近隣施設で朝食提供の機会を作り、夏休みの欠食対策を実施します。
近年、子どもたちの朝食欠食や孤食が社会問題化しています。朝食欠食は、運動能力や学力にも悪影響を及ぼすことが知られています。私たちが活動の拠点とする四街道市でも、朝食欠食の子どもの割合は小学 5 年生で 6.3%、中学 2 年生で 6.7%と報告されており、朝食欠食の割合の目標 0%を目指しています(「四街道市食育推進計画」)。また、夏休みなどの長期休暇期間には、給食がないために昼食の欠食や、子どもたちの居場所がなくなるという問題も顕在化します。そこで私たちは、こういった課題に対し、本助成金を活用して以下の活動を行いたいと考えています。
1.夏休みの宿題サポートプログラムの提供
夏休み期間に合わせて、子どもたちの夏休みの宿題を支援するプログラムを図書館で提供します。四街道市立図書館は利用者が図書館を楽しめるよう、普段からユニークな活動を行っています。その図書館と連携して、読書感想文の執筆や自由研究などをサポートするコンテンツを検討しています。図書館員や地域のボランティアの協力を得て、子どもたちの学習を支援します。
2.朝食提供プログラムの実施
夏休みの宿題サポートプログラムの開催日に合わせて、近隣施設で朝食を提供する場を設け希望者に朝食を提供します。これにより、欠食の改善を図ります。また、朝食の重要性や栄養バランスについての啓発活動も行います。関係企業の協力を得て開催する予定です。
朝食後に図書館の宿題サポートプログラムへの参加を計ります。
3.本に親しむきっかけづくり
上記 1は四街道市立図書館のスペースを活用して行います。また、2については図書館から 170m ほどの距離となります。図書館でのプログラム開催日に合わせて 2を実施し、1を周知することで図書館に訪問する切っ掛けを作り、普段図書館を利用しない子どもたちも、夏休み期間中に図書館で時間を過ごす中で図書館や本に親しむ機会が生まれます。それをひとつのきっかけとして読書の推進につなげます。
4.取組の評価
本活動の開始時と終了時に参加者に対してアンケート調査や体重測定などを実施して取組の評価を行います。効果の有無を評価すると同時に、次回以降の開催に向けて改善点を見出します。協力機関の千葉大学予防医学センターの協力を得て、評価の設計を行います。
これらの活動を通じて、子どもたちの健全な成長を支援し、地域全体で子育てを支える環境づくりに貢献したいと考えています。食事の提供だけでなく、学習支援や読書推進活動を組み合わせることで、子どもたちの心身の成長を多角的にサポートします。本助成金を活用することで、より多くの子どもたちに手を差し伸べることが可能となり、四街道市における朝食欠食率の目標達成と子どもたちの健全育成に向けた大きな一歩となることを期待しています。
活動報告
本取組は、四街道市のこどもの欠食・孤食問題の解決、および、高齢者の社会参加の促進を目的に実施し、その目的に賛同頂いている多くの方々にご協力頂く事が出来ました。なかでも岩渕薬品と千葉大学予防医学センターが共同で取組んでいる健康まちづくり共同研究部門と連携しました。同研究部門では高齢者の社会参加が進むと介護予防につながる事の研究および実践を行っており、昨年には四街道市と3者協定を結んでいるため連携を進め易い状況にありました。また、同研究部門で実施する健康まちづくり講座に参加する企業や大学院生なども参加頂き、実施する際の人員確保につながり大変助かりました。
実施場所については、当NPOとしても初めての取組となるため参加者が集まるのか、また、本取組と共通する活動である子ども食堂の課題として、子どもたちが子ども食堂に参加することの障壁の高さが挙げられ、その2つの課題を解決可能な方法を検討しました。そこで、昨年度から四街道市立図書館で開催している「朝活図書館」というイベントに合わせて実施する事を検討し、四街道市子育て支援課および四街道市立図書館と協議の上開催を決定しました。同イベントは、夏休みの始めと終わりの4日間に集中して宿題等を行う事、また、夏休みで崩れた生活リズムを取り戻すことなどを目的に実施しています。この「朝活図書館」に参加した”ついで”に朝ごはんを提供するという流れを作る事で、参加者数と朝ごはんを食べに来るという障壁を低くできると考え、後半の4日間に「朝飯図書館」として当取組を実施しました。食事関連の場所の課題としては食事の調理場所、提供場所が挙げられましたが、調理場所としては地域で子ども食堂や子どもの居場所づくりなどを実施している団体「日替わりcafeりんごの樹」(以下りんごの樹)さんにご提供頂きました。「りんごの樹」さんは本番だけでは無く、プレ開催(練習開催)の場所の提供や本番4日間もお手伝いとしてご協力頂きました。食事の提供場所についても、図書館は通常食事が可能な場所ではございませんが、この取組に賛同頂き提供場所としてご協力頂きました。高齢者の参加についての課題として、一般公募した場合に応募者があるのか、また、見知らぬ参加者同士で連携が取れるかという点が挙げられました。初回実施であるため、顔見知り同士が参加し易いと考え、四街道市立図書館長からの声掛けで4名の高齢者の方に参加頂きました。その他人員についての課題は冒頭の通り健康まちづくり共同研究部門と健康まちづくり講座参加者に協力頂く事で人数を満たすことが出来ました。
取組の周知については、四街道市の広報誌での発信、四街道市立図書館のメディア発信、岩渕薬品と千葉大学共同研究部門が実施する健康まちづくり講座からの折り込み広告発信、NPOのメディア発信などあらゆる手段を利用して発信を実施し、子どもからそのご家族まで合わせて通算209名の方々にご参加頂きました。※実績については下記に記載いたします。実施日は、朝食の調理から提供、子どもたちとの交流など役割を決めた上で実施し、大きな問題は無く開催出来たと思います。
参加者の声として、大人からは「新学期にむけてリズムをつかむことができました」「シンプルなご飯と雰囲気のおかげか、笑顔で食べていました。1日の参加でしたが、朝のシャキッと感が出てきて新学期に備えられたようです。」など、子どもからは「夏休みおきるのおそかったけど早起きできました」「友達と楽しく朝ごはんを食べれました」など良好な感想が多数ありました。その感想から、当活動の実施目的に沿う活動で有った事が伺えます。
一番の課題は朝ごはんを提供するに当たり、早朝からの準備が5:00前から必要だったため、取組の継続には地域の方々の協力が非常に重要であると感じました。また、食費や有償ボランティアの謝礼、調理場所への謝礼も検討する必要があります。
この活動が実現に至ったことも四街道市(子育て支援課、四街道市立図書館)を中心に、岩渕薬品株式会社、千葉大学予防医学センター、日替わりcafeりんごの樹、地域住民など多数のステークホルダーの連携によるものであり、地域での人と人とのつながりが非常に重要であることを痛感致しました。準備段階から本番までご協力頂きました全てのみなさまに感謝申し上げます。
参加者:209名(8月27日~30日計4日間)
子ども:162名(未就学児:12名 小学生:130名 中学生:17名 高校生:3名
おとな:47名
実施者:通算62名(高齢者:各日1~3名)
今後の展開
当取組について、参加者の感想が非常に良好であったため、次年度の夏休みの取組だけでは無く、実施資金と参加協力者数を加味した上でポイントでの開催を実施したいと考えています。早朝の取組を頻回に行う事は困難では有りますが、こどもの体重減少が夏休みや冬休みなどの長期休暇に顕著に表れるという報告も有るということから、長期休暇中の日中開催も検討してみたいと考えております。この取組を広げる事で、子どもの健康課題の解決、高齢者の健康寿命の延伸につながると考えています。
現在多くの団体が子ども食堂をはじめとした同様の取組を実施しており、多くの団体が抱える課題として、運用資金の獲得では無いかと考えております。1つでも多くの団体が行っている様々な活動を公開・共有していく事で、金銭的、人的に1人でも多くの協力者を増やすことが必要であると考えております。また、団体だけでは無く地域のひとりひとりの方々に少しずつ協力して頂く事で大きな負担を分散することが出来ると考えています。以上を牽引できる様当団体も微力ながら出来る限りの活動を続けていきたいと考えております。