「地域助け合い基金」助成先報告

 傾聴ボランティア「心の倉庫」

大阪府池田市 ウェブサイト
その他

助成額

146,000円2024/08/30

助成⾦の活⽤内容

1.7年間にわたり池田市内の高齢者施設を訪問して傾聴活動を実施してきた。これまでに262回の傾聴活動を行い、延べ約650人のご利用者に寄り添ってきた。コロナ禍3年間は訪問が禁じられたが、ZOOM等を利用してリモートにて画面越し傾聴で活動を継続した。全国的にも先進的であったと自負している。

2.その間、顧問及び外部講師による傾聴・心理学公開講座を開催して市民への傾聴の普及啓発活動と会員の傾聴レベルアップを推進した。講座回数38回、延べ参加者数1238名に達し、訪問傾聴は勿論、受講生の家庭やご近所、職場での人間関係向上に何らか資することができたと思っている。

3.さて これまでの学習により 傾聴の原則、カール・ロジャースの3条件「受容・共感・自己一致」を極めるべく ひたすらお話を伺って寄り添う姿勢を身につけて来たが、高齢者施設のご利用者は認知症だけでなく、難聴・視力障がい、車椅子、パーキンソン病など不自由を負った方が大半であり、また周囲にもパーソナリティ障がいなど寄り添いに工夫を必要とする現状を見て、もう少し能動的なアプローチがないかと考えるに至った。

4.傾聴手法も「共感から助言へ」との模索が進んでいるが、「病気や障がいを抱えたままでもよりよい人生を送る為のQOL改善」を目指す「認知行動療法」の傾聴活動への導入が可能ではないかと考え、実践的に進めておられる専門の講師の方の公開講座を開く計画とした。勿論、ボランティア活動としての傾聴であるが、これまでの傾聴活動で把握できなかったご利用者のニーズ、或いはお気持ちに寄り添えたら、地域の支え合いに役立つと望んでいる。この基金を活用させて頂いて講座を開催したい。
傾聴公開講座 講師:シニアライフセラピー研究所(藤沢市)鈴木しげ氏予定 日程:2日間(6時間) 参加者30名 会場:2~3ヶ月前の抽選予約受付になるので未定

活動報告

【1】私たちが日常活動している福祉現場で活かせる傾聴をボランティアや一般市民の方に学んで頂き、地域で活動を共有する(共生)為に傾聴講座を企画しました。今回の助成金は講師を招聘するための資金として活用し、2日間の傾聴講座を開催することができました。4月15-16日に、池田市民文化会館にて合計9時間の講座と懇談会を実施し、定員30名のところ申込者が多く、枠を拡げ40名を受け入れました。
講師は全国的な通信講座の傾聴部門監修および藤沢市で地域共生の福祉事業所などを展開されている鈴木しげ氏で1泊2日の日程で来阪頂きました。講座の具体的な内容は「傾聴の基本・傾聴者としての心得」「藤沢市鵠沼における福祉事業活動」「傾聴の可能性として認知行動療法」で基本から現場に少し踏み込んだ内容を用意して頂き、「ワーキングランチ」や講師を囲んでの「気楽な懇談会」で質疑や意見交換で深掘りを図りました。

【2】講師の選定は、事前に当団体の役員が神奈川県藤沢市の現地に赴き、事業活動や傾聴と福祉とのつながり等を調査して決定しました。また2日間連続での会場確保が難しく、無料で利用できる会場は抽選で落選し、助成金のお陰で有料の会場を確保することができました。受講者は一般市民17名、ボランティア活動者21名(当団体会員10名、他市の傾聴団体11名)、施設職員等3名で、一般市民に対しては傾聴の啓発、ボランティアに対しては傾聴活動のレベルアップと福祉共生への展開、施設職員には先進的な地域共生福祉現場の紹介を目的にしました。

【3】取り組む上で、傾聴を地域に広く啓発することと傾聴者のレベルアップおよび福祉共生への展開の双方を目的とすることは、「広く」と「深く」を同時に求めることになる課題でした。講師の鈴木先生に講座の意図を伝え、ご理解を得て「福祉現場で活用できる傾聴講座と懇談会」という講座テーマとなり、前述の「基本」「福祉事業」「認知行動療法」という構成になりました。
講師の鈴木先生も「傾聴」と「福祉」を同時に講座に載せるのは初めてだと言われていて依頼した我々も計画時は両者のつながりを具体的にイメージ出来ていませんでした。「認知行動療法」については更に不分明でした。講座が始まって、藤沢市の福祉現場が利用者主体で運営されており、「利用者を障害者や認知症ではなく人として接する」傾聴の姿勢から来ていることを知って「傾聴」と「福祉」の繋がりに受講者一同、合点を得た訳です。障害者就労支援B型事業所パン工房で障害者が自分のこだわりのパンを焼いて販売し、高齢者ディサービスで認知症の利用者が食堂の料理を自分の得意に応じて分業し、地域住民が参加する姿に傾聴の目的を再認識し、「広く、深く」「傾聴と福祉」の課題の解決、つまり講座の意図が実現できたと思います。傾聴や福祉事業所運営に「認知行動療法」が深く関わっていることも学びました。

今後の展開

【1】私達は傾聴を通じて地域社会に貢献する活動を行っています。現在、池田市内4箇所の高齢者施設を会員が手分けして訪問しています。不自由な身体にめげず生きてきた人生をお話になる方、子ども達の訪問を嬉しそうに話される方、或いは施設に慣れず他の方とはお話になれない方、様々です。傾聴は相手の話を受け止めて聴く活動ですが、私達も聴く技術や意識を磨くだけでなく、いろいろな人生を知る勉強になり自分自身が豊かになってゆくのを感じて活動しています。もっと沢山のご利用者に対応させて頂きたいのですが、その為に活動者を増やしたいと望んでいます。毎月1回訪問、1~2時間の活動で、「できる時に、出来る範囲で、無理なくボランティア」がモットーです。
 また、高齢者や障害者を家族に抱えておられる方、現役で勤務や仕事で活動参加が考えられない方々にも「傾聴」を知って頂き、人間同士のコミュニケーション傾聴の技術や意識を磨くだけでなく、自分の人生を深くすることができると思います。当団体では今後も、公開講座を継続して傾聴を知って頂く場を企画したいと思っています。

【2】傾聴の啓発(傾聴公開講座の継続開催)、傾聴活動のレベルアップ、社会貢献のボランティア各団体交流との交流などを活動目標にしています。

【3】現在、社会の高齢化が進んでいる。高齢者施設や介護担い手の拡充にも限界があり、福祉施設や行政、支援組織が地域住民と協同して互いに助け合って生活を守る地域共生の必要性が高まってゆく。傾聴の考え方と実践は今後の共生社会を支えるものとなって行くと思われるので活動者だけでなく、地域に理解者を増やしたい。
 また、共生社会においてはボランティア活動の盛り上げが大切である。傾聴活動だけではなく、民生委員や地区福祉委員、ボランティア各団体、高齢者や障害者施設との連携を深めて住民参加を促進してゆきたい。

添付資料