「地域助け合い基金」助成先報告
NPO法人 ICTサロン
大阪府吹田市 ウェブサイト
助成額
150,000円(2024/11/15)助成⾦の活⽤内容
昨今、コロナ禍などの社会情勢の変化もあり、スマートフォンやパソコンを利用する必要のある場面が急速に増加しています。令和6年度版情報通信白書によると、モバイル端末の所持率は97.4%。パソコンの所持率は65.3%と向上しています。その普及率の高さに対し、基本的な使い方はもちろん、リテラシーやセキュリティを学ぶことができる場や、困ったことがあった際に気軽に尋ねることができる場が、大きく不足していると感じています。
私たちICTサロンは,スマホやパソコンの操作/活用支援事業を行い、広く市民がICT技術の恩恵を受けられるようにするとともに、市民社会における情報通信技術の活用促進に寄与すること、また、情報科学に限らない専門知を分かりやすく一般市民へ伝える事業を行うことで、専門知について市民とともに考え、社会全体で意識を高めることを目的として活動しています。
上記の目的達成のために
・公共施設におけるスマホ・パソコンの個別相談会
・ICTや科学に関する,一般向けのイベント
を,、ITに関する有資格者を講師として手配し、ICTや科学が苦手な方、興味がある方を対象に、実施したいと考えています。
私たちは、社会人や学生でメンバーを構成しているため、あくまで本業が優先であり、多くの活動はできません。ただそのような中でも、私たちの知識や経験を活かし、目的達成に向けて少しずつでも活動を続けていきたいと考えています。
活動報告
2024年12月~2025年11月の実施期間に、助成金を活用し、茨木市の公共施設「おにクル」を拠点に多世代が「学べる/相談できる/体験できる」場を地域に実装するべく、①ICTに関する相談・実践の場、②科学体験の場づくりの大きく2つの軸で活動を行いました。
①ICTに関する相談・実践の場
近年、スマホやパソコンの利用場面が急増する一方で、基本操作やリテラシー・セキュリティを学ぶ場、困った時に気軽に尋ねられる場が不足しているという課題意識から、「ICT相談サロン」を開催しました。どなたでも参加でき、個人でもグループ(最大5名)でも相談できる少人数枠として、2024年12月~2025年3月に複数日程・3部制の無料の相談窓口もつくりました。また、ICTツールに関する基礎講座を実施しました。相談や講座では、基礎説明の後に実践時間を十分に取り、スタッフが伴走する形で、参加者が自分のやりたいを聞き取り、“必要なものをその場で形にする”支援につなげました。参加者の質問やニーズにも応えながら、無料/有料素材の違いに加え、著作権・肖像権などの権利問題にも触れ、安心してツールを使用できる土台をつくりました。団体が市民活動をベースにしていることもあり、学びが参加者の日々の生活だけでなく、地域活動にも直結させることができ、間接的に受益者を増やすことができたと考えています。加えて2025年8月には、公的施設主催の講座で、ICTサロンが講師を務めるという形で講座を実施した際は、ICT相談などからの波及もあり、地域の“学び直し”ニーズが継続していることを確認できました。公共施設での個別相談会と一般向けイベントを組み合わせて展開しました。必要に応じてIT有資格者を講師として手配する方針も含め、専門知を地域に“届く形”に変換することを狙いました。
②科学体験の場づくり
冬休み(2024年12月)に「科学体験教室」を開催し、エコカイロづくりと、お湯で溶ける金属を使った“鋳造”体験を実施しました。融点・沸点から結晶構造まで話題が広がるなど、子どもから大人までが身近に科学へ触れられる機会を創出できました。本イベントは、新聞取材もあり、地域への認知拡大にもつながりました。春(2025年3月)には、きたしんプラネタリウム主催の「春のサイエンスアワースペシャル」にブース出展する形で鋳造体験(ストラップ作り)を実施し、他団体と役割分担しながら体験の場を広げました。春に引き続き、秋に開催された「秋のサイエンスアワースペシャル」にもブース出展を行い、たくさんの方に体験をしていただくことができました。高頻度ではないものの、シーズンに1回と定期的・継続的に開催を行うことで、リピート参加者も多く、活動集客の基盤づくり・地域の繋がりづくりにも繋がっていると感じています。
【活動を行う上での課題】
ICT相談サロンは無料・少人数ゆえに「月1回・合計2回まで」と上限を設けており、継続的な伴走が必要なケースを、次の学び(講座)や他支援へどうつなぐかが課題です。さらに、メンバーは社会人・学生中心で本業優先となるため、実施回数や準備時間には制約があります。連携先との役割分担の定型化、準備のテンプレ化に加え、活動を支える地域サポーターの発掘・育成や、参加者同士が教え合える小さなコミュニティづくりを進め、地域に「困ったら来られる場所」を継続的に根づかせていきたいと考えています。今回、助成金を最大限に活用することを通して、新しく多数の地域の方とつながることができました。しかしまだ「このような活動を求めているが知らない」という方も多くいらっしゃることは想像に難くありません。そういった方に、如何に情報を届けていくかということは、今後活動を続けていく限り永久の課題であると感じています。
今後の展開
コロナ禍を経て、暮らしのあらゆる場面で情報化が加速する一方、「その利用に困難を抱える方への支援体制はまだ十分とは言えない」「多世代に様々な体験の場を提供したい」という実感が、私たちICTサロンの活動の原点です。行政手続はオンライン窓口(マイナポータル・電子申請等)へ集約が進み、交通を始める公共の場でもスマホ上の二次元コード等を前提にした仕組みが拡大しています。当事者本人の意思とは無関係に「使う必要が生じる」局面が増えるなかで、基礎となるリテラシーや安全な使い方を、個人の自助努力だけで身につけるのは限界に近づいていると感じています。
私たちが地域の方にアピールしたいのは、「わからないを、恥ずかしがらなくていい場所がある」ということです。ICTサロンは、ICTの知識経験を“地域の誰かのために活かしたい”と考える正会員12名で活動し、「ICTを活用したい人が活用できるように」「ICTでより日常が豊かになるように」「ICTや科学についてみんなで楽しく考えられるように」という思いを掲げています。相談は、できる/できないを線引きする場ではなく、生活に寄り添いながら一緒に解決策を探す場でありたい。だからこそ、個別相談(ICT相談サロン)と、初学者向け講座(Canva講座等)、親子・一般向けの科学体験を組み合わせ、入口を複数用意してきました。
今後の目標は3つです。1つ目は、「相談の“点”を、学びの“線”へ」つなぐこと。困りごとの解決だけで終わらず、次に何を覚えれば自分でできるようになるかを整理し、相談→ミニ講座→実践の導線を整えます。必要に応じて、詐欺・アカウント乗っ取り対策、生成AIの使いどころなど日々登場する“新しい不安”もテーマ化し、地域で安心して使える土台を厚くしたいと考えています。2つ目は、市民活動全体の発信力の底上げ。Canva等のツールを入口に、「作れる」だけでなく「続けられる」広報へ(ホームページ運用、SNS、オンライン配信など)段階的に支援し、地域で草の根で活動している小さな活動が環境をつくります。3つ目は、協力の輪を広げ、継続可能性を高めること。設立当初は学生が多く機動力でトライできましたが、その学生メンバーも年月の経過とともに社会人となり、活動時間はどうあがいても減少傾向というのが正直なところです。それでも各事業の質は上げていけるよう、「自分たちのできる範囲で最大限」を実現する運営設計に挑み続けます。具体的には、地域拠点や他団体との連携・役割分担を定型化し、当日のサポートや受付を担う“地域サポーター”の育成にも取り組み、多様な主体と協力しながら、私たちだけでは抱えない体制を目指すことができればと考えています。
「相談に来られない人」に届く導線(広報の工夫、見守り・福祉分野との連携)、初学者が安心して質問できる場づくり(やさしい説明、学びの段階設計)、そして地域で効果を測る方法(参加者の変化をどう可視化するか)については、今後しっかりと意識をして活動を行っていく必要があると感じています。私たちは、ICTと科学が“特別な人のもの”ではなく、地域の暮らしのそばにあるものとして根づく未来を、皆さんと一緒につくっていきます。
添付資料
