「地域助け合い基金」助成先報告
NPO法人 みのり
埼玉県上尾市 ウェブサイト


助成額
150,000円(2025/03/07)助成⾦の活⽤内容
埼玉県上尾市領家にある当法人は、荒川沿いの自然豊かな場所に位置し、天気の良い日には秩父連山や富士山を望むことができます。2020年のコロナ禍に、視覚障害者が多く通う「領家グリーンゲイブルズ」を開所しましたが、地元の方々と交流を持てない中でのスタートでした。
しかし、「視覚障害があってもできること」を増やすため、さまざまな仕事に挑戦し、職域の拡大に努めてきました。農業もその一環として、視覚障害や肢体不自由のある方々と共に育てた野菜をイベントや産直スーパーで販売してきましたが、認知度の低さから売れ残ることも少なくありませんでした。加えて、地域に開かれた無人直売所も、盗難被害により撤退を余儀なくされるなど、課題に直面してきました。
そこで、事業所の敷地内に無人直売所を移設し、新たにコンテナを設置。近隣の方が散歩の途中で立ち寄れるよう、椅子を並べたコミュニティスペースを作りました。しかし、外観整備に十分な資金を充てられず、視認性が低いため、地域の方々に十分に活用されていないのが現状です。
この場所を「つながりの場」としてさらに発展させるため、コンテナの外観を整え、地域の方々と視覚障害者が交流できる新たな空間を作りたいと考えています。私たちが育てた野菜だけでなく、近隣の農家さんの野菜も販売できるスペースを確保することで、地域全体のつながりを深めます。また、当事業所は荒川のサイクリングロード沿いに位置し、多くのサイクリストが訪れます。この特性を活かし、自家焙煎のコーヒーを提供する休憩所としての機能を持たせることで、地域の交流の場をさらに広げることができます。
さらに、コミュニティスペースの清掃や商品陳列を利用者と共に行うことで、新たな仕事の機会を創出し、視覚障害者の社会参加の幅を広げることにもつながります。地域の方々とのふれあいを通じて、お互いを理解し、支え合う関係を築いていく──その第一歩として、この場をより多くの方々に活用していただけるよう、皆さまのお力をお借りできれば幸いです。
活動報告
本助成金を活用し、事業所敷地内のコンテナ型直売所の外観リニューアルを実施しました。
これまで視認性が低く、地域の方々に十分認識されていないという課題がありましたが、外装整備と看板設置により活動内容が伝わる環境を整えることができました。視認性が向上したことで、来訪者は確実に増加しました。散歩途中の近隣住民に加え、荒川サイクリングロードを利用するサイクリストにも休憩所として認識されるようになり、立ち寄って職員と自然に会話を交わす姿が見られるようになりました。
特に印象的だったのは、「ここは前からあったの?」、「障がいのある方が働いているとは知らなかった」という声でした。
私たちの活動は以前から存在していましたが、地域から“見えていなかった”のだという事実に気づかされました。外観整備は単なる設備改善ではなく、活動を社会に可視化する取り組みであったと実感しています。
さらに嬉しい変化もありました。直売所の中に入らずとも、外に設置したベンチで近所の方々が自然に腰掛け、談笑する場面が増えたのです。「ここ、いい場所になったね」その言葉とともに、人がゆるやかにつながる空間が生まれました。販売機能の向上を目的に始めた取り組みでしたが、結果として“滞在できる場”、“関係が生まれる場”へと役割が広がったことは、想定以上の成果でした。
利用者にとっても、地域の方と自然に言葉を交わす機会が増え、社会参加を実感できる時間が確実に増えています。外観が整ったことで、安心して声をかけてもらえる環境が生まれたことは大きな前進です。
一方で、課題も明確になりました。視覚障害者支援は手厚い人員体制を必要とし、人的コストの確保は常に大きな負担です。また、地域との関係づくりは一度の整備で完結するものではなく、継続的な発信と関わりが不可欠です。
今回の取り組みは完成ではなく、地域とつながり続ける拠点づくりの第一歩です。この場所を通じて、障害の有無に関わらず自然に関われる関係性を育て、地域の中で共に暮らす実感を広げていきたいと考えています。
今後の展開
今回の取り組みにより、私たちは「見えること」の力を実感しました。活動が可視化されることで、人が立ち止まり、声をかけ、関係が生まれる。その連鎖こそが地域共生の入り口であると気づきました。
今後は、この直売所を単なる販売拠点としてではなく、
・地域住民が気軽に立ち寄れる交流拠点
・サイクリストが休憩し、自然に対話が生まれる場所
・視覚障がいのある利用者が役割を持ち、地域と接点を持つ実践の場
として発展させていきます。
具体的には、近隣農家との連携強化による販売品目の充実、自家焙煎コーヒーの提供機能の向上、季節ごとの小規模イベントの開催などを通じて、滞在時間と関係人口を増やしていきたいと考えています。
また、上尾市社会福祉協議会をはじめとする関係機関と連携し、ボランティア受け入れの仕組みを整えることで、障害理解が自然に深まる機会を広げていきます。
一方で、継続的な運営には安定した人員体制と財源確保が不可欠です。認定NPO法人としての強みを活かし、寄付や協賛の拡充にも取り組みながら、持続可能な運営モデルを構築していきます。
私たちが目指すのは、「支援する側・される側」という分断を超え、地域の中で自然に役割を持ち合う関係です。
直売所での何気ない会話、ベンチでの談笑、コーヒーを片手に交わされるひと言。その積み重ねが、地域の風景を少しずつ変えていくと信じています。この場所を起点に、障がいの有無に関わらず、誰もが安心して関われる地域モデルを育てていきます。
添付資料
