「地域助け合い基金」助成先報告
Projects HAKI-DASHI運営事務局(ひよこアーツ)
北海道札幌市中央区
助成額
150,000円(2025/05/16)助成⾦の活⽤内容
1Day喫茶の形を借りて、日常生活では言葉にする機会を逃してしまうような夢や愚痴を吐き出す「吐き出し喫茶」を、札幌を中心に開催します。店主やゲストのアーティストが、それぞれが専門とする表現方法を基に、吐き出すためのレクリエーションを”メニュー”として開発・提供しています。
「生きづらさ」を生む社会的課題の解決に向けた1方策として、カウンセラーでもなく、占い師でもなく、前例の無いことに対峙し続けるアート関係者(アーティストやアートマネージャー)が中心となって開くからこそ受け止め立ち向かっていける悩みがあると考えており、精神療法にも使われる芸術の力をレクリエーションとして提供しています。レクリエーションはその場にいる人々を巻き込み、家族や職場、支援の場における普段の関係性をゆるやかにぼやけさせながら、個々のその人自身が認め合っていきます。単にイベントを開催するのではなく、参加者は「吐き出し」による精神的なケアを、ゲストに迎えるアーティストにとっては、自身の社会的役割を考えるきっかけとなることを目指しています。
<開催概要>
●実施日時:2024年4月-12月 計5回 13:00~17:00(出入り自由)(定員15名程度) ※日程は4月以降に調整
●会場:食堂「イートアライブ」 札幌市東区北8条東1丁目3-15-104 (JR札幌駅から徒歩約10分)
●ファシリテーター:櫻井幸絵(劇団千年王國/劇作家・演出家)、戸島由浦(アートマネージャー)、ゲスト(各回1名)
●想定される悩み:家庭問題、職場環境、性別違和、将来の不安、病気への不安、トラウマ
●悩みやそれによるストレスに対し、セラピーにおいては「関係構築」「傾聴」「認知の切り替え」など多角的なアプローチが必要であることから、それぞれに対応するレクリエーションを以下のように設定します。
誰かに伝えたい想いのお焚き上げ・演劇によるコミュニケーションワークショップ・歌声喫茶・(悪)霊の戸籍登録受付窓口・バーチャル奉納体験・ボディランゲージテイラー・スィート・ホーム(お菓子の家)・セルフおみくじ
ピアサポートと名乗らないピアサポート
吐き出し喫茶は、「ピアサポートと名乗らないピアサポート」のようなものだと、連携している就労移行支援施設工ールアライブの 職員に、言って頂いています。ピアサポートとは、同じような立場や境遇にある方同士が、自身の経験を生かしてお互いをサポートし合うことです。本活動へは、支援されている方も、支援者の立場にある方も、同じように遊びにきます。たまたま出くわした参加者が、他の参加者と話しこんだり、ズボンのすそを繕ったり、しています。
アートを取り入れる効果
一つ一つの出来事は、レクリエーションが、その場に居合わせたお客さんと呼応しながら起こる、半即興的なものです。これまでの開催では例えば、偶然居合わせた支援者と話しこむ中でトラウマを思い出して涙ぐんでいた男性が、レクリエーションの中でダンサーに触れられ、一気に和らいだ瞬間がありました。スタッフの方が言うには、「プログラムが存在していたからこそ起きたこと」であり、「身体的な接触がタブーとされている相談支援にはできないケアの仕方」だったと言います。このような場のほぐし方は、まさにアートが得意とするところであり、これまでの開催経験の積み重ねと、専門家がいる安心感を合わせて、今後一層取り組んでいきたいところです。また、アーティスト側にも「このために活動してきたのだと感じた」という感想があり、自身の表現活動の新たな意義を意識するきっかけになっています。
地域の居場所としての継続
今年度、本活動では、地域で継続可能な活動として根づかせるため、運営体制の整備と担い手の育成を進めていきたいと考えています。そのために、ボランティアとして運営に関わる地城の人々や若手アーティストを巻き込みながら、今後も持続的に広がっていく仕組みづくりを目指します。ここで生まれる表現や対話は、制度に頼ない「支え合いの仕組み」へと発展し、福祉やまちづくりの分野とも交差しながら、地域全体に広がる可能性を秘めています。「点」から「面」へ、関わる人や場所が増えることで、多様な方々の「居場所」となり、持続可能な地域の助け合い文化として根付いていくことを目指しています。
※これまで計13回の開催を重ね、様々なゲストと参加者を迎えてきました。また、共同ファシリテーターの櫻井幸絵は、自身が開催してきた「産み育てを考えるワークショップ」において、子育て世代が抱える多くの悩みに、また自身の創作を通して、性的マイノリティにまつわる問題に向き合ってきました。これらの経験も活かしながら継続的に開催していくことで、地域の中での恒常的な活動となり、社会的繋がりを生み出します。
活動報告
準備中