「地域助け合い基金」助成先報告
special SIBLINGS
福岡県宗像市


助成額
150,000円(2025/04/14)助成⾦の活⽤内容
未就学児の発達不安・診断までの道のりは長い。誰にも相談できず、孤独に悩むことは多い。相談先も分からず、行政相談のハードルも高い現実。母親は一人思い悩み、決められた乳幼児検診もやっとの思いで参加することが多い。そこで発達を指摘されたら、さらに孤独となり思い悩む。そんな時、同じ道のりを歩んだ先輩ママがいたら…『障害』という大きな壁を超える道案内がいたら…行政や専門機関へ繋がるのも、待機時間含み1ー2か月待ちは常。
そんな時間を過ごせる保護者サークルであるが、 こにに参加するのもハードルが高い。
そんな時、気軽にフラッと立ち寄れる空間があったらどうだろうか。
乳幼児健診の一角にある出張おしゃべりカフェ『よりみちチューリップ』
行政の支援のはざまにいるママとこどもに寄り添いたい。今までにない事業を試みたい。力が入ったココロと頭をリラックスさせて、次のステップに繋ぎたい。
行政の制度や支援に繋ぐ役割。ピアサポート事業です。2022年から泣いている障がい児ママ・孤独なママに寄り添いたいと、取り組んできました。その中での課題。当事者の会に参加することのハードルの高さなのか、周知広報不足なのか、目標とするコミュニティの実現は出来ていません。SNSの世の中。顔の見えない情報収集やコミュニケーションが叶う時代にリアルで交流することの意味は地域性の高さだと考えます。
地域の行政・福祉サービスや療育・教育情報をより身近に得ることが出来る事・親身になってくれる存在が障がい児子育てには必須です。ただ、コミュニティに入るハードルを考慮すると、『待つ支援』ではなく『迎えに行く支援』も必要なのかもしれません。多数の人を救うことではなく、誰か一人泣いている人に寄り添いたい。それを少しずつ増やしたい。需要を考えると実施する効果は顕著には表れないかもしれません。それでもチャレンジしてみたいのです。
みんなに届くからするのではなく、誰か一人が救われればよいのではないか?誰か一人が辛くなって、何かが起きた時は大きなニュースになる世の中です。だからその誰か一人を大切にすることがらが福祉だと思います。
来年度は宗像市に特別支援学校も出来ます。だからこそ福祉の街宗像市を目指す意味があると思います。行政と当事者がカを合わせて温かい福祉を目指したいです。
※当事業の実施は宗像市子ども家庭センター・子ども保健係より許可がおりています
活動報告
今回乳幼児健診でのピアサポートカフェ『よりみちチューリップ』を実行するにあたり、前例のない取り組みであったため、自分たちの理想や思い描く空間を現実にしていくことからのスタートだった。自分たち当事者である障がい児ママとして、辛かった健診・未就学時代の過去の気持ちを思い出しながら、何があれば元気が出たのか、どのような言葉かけや寄り添いがあれば頑張れただろうかと想像しながら企画した。企画から実行は宗像市コミュニティ協働推進課の協力のおかげで実行許可へ繋げられた。月2回の3歳児健診のうち1回からスタート。30組ほどの親子の中に毎回、発達課題がありそうな親子数組(3組前後)という状況の中のスタートであった。健診中に泣き叫ぶ子や会場から離室して落ち着かない子等、それを追いかけまわす母親の姿もあった。私達は、障がい児子育ての中で養った母の勘から発達特性のある子は健診会場に入っていく様子を見て察知することも出来たため、どのようにこの場に来てもらえるかの雰囲気づくりや声掛けなどをスタッフ間で相談しながらトライ&エラーを繰り返しながら工夫した。毎回2-3組来ていただくことが叶い、リピーター(健診日以外)の参加くださる親子とのご縁も得られた。開催後はインスタグラムのフォローに繋がり、お礼のメッセージが届くなど嬉しい結果となり、今後もつながりが継続して困った時・悩んだ時はいつでも相談できる場やつながりを継続していきたい。
開催にあたり、私達当事者目線では、母親に子育てのプレッシャーから解放してもらいたい(栄養面や育て方)想いで、おやつを提供したりしたが、健診の場での行政指導後の取り組みである為に行政側の想いや必要指導項目に支障がないようにすることと、私達の想いや意図を理解してもらうことへの壁を感じた。一般的に、栄養指導は砂糖の制限など、またメディア視聴は1回あたり30分迄などの指導が行われるが、特性のある子は理想通りにはいかない。偏食やこだわりで指導通りには出来ない現状もあり、理想を指導されることによる格差が生じ、母はうまく出来ないことに追い詰められることもある。その為、私たちは、出来ないことを許す声掛け・頑張っていることを認める声掛けをしたいと思い、『指導を守れないこと』を理解する立場でありたいと考え、敢えて、縛りのない空間を心がけている。そのような意図を行政に伝える作業を行い、市民から感じていた行政の壁や、勝手に思い込んでいた堅苦しさはないことも分かり、想いを伝えることで、私たちの叶えたい事を遂行できるように理解してもらえた。双方の役割も認識しながら、共に連携できる機会に感謝しながら、来てくれる親子が居心地よく・孤立なく子育てできる環境を作っていきたいと思う。地域協力に関しては、活動報告をしているインスタグラムを見た当事者ママ(支援学級ママ)や訪問看護ステーションの代表の方がボランティア協力を立候補してくださり、託児等での参加が叶い、地域で活動を知ってもらうきっかけになったと考える。発達に課題のある子育ては、日々が精一杯になりがちなうえに、あらゆる選択を強いられる。日常的な子育て以外に、発達の遅れの先にある『発達相談を受けるか受けないか』からの壁も苦しくてたまらない選択となる。その先にも就園・就学・療育等様々な選択をしていかなければならない保護者。特に母親は全ての責任を担う状況になり、その責任は重く『これでいいのか?』と迷いながら進むしかない状況でもある。そこに『一生懸命考えた母親の選択は間違っていないこと』『ちゃんと子育てできていること』を認め、安心や自信となるように関わっていく。同じく悩み迷い進んできた当事者としてのピアサポートは、専門職や行政よりも身近で、一番信頼できるガイドとなれるのではないかと考える。支援とのつなぎ役を担うために、今後も親しみやすさと安心感を提供できるよう、頼りになる団体・来たくなる団体を目指していきたい。
今後の展開
今後は引き続き継続して、毎回漏れなく必要な親子に届くように心を込めて空間づくり・つながりづくりに尽力していきたい。また、当団体で発信していくことも必要であり、『待つ支援から迎えに行く支援』と掲げ、活動はしていくが、認知度UPや参加へのハードルを下げるために、地域の方に知って頂き、もし、悩んでいるママがいたら『送り届ける支援』をしてくださる方を増やしていけるよう地域で知ってもらえるような活動もしていく。自分たちが辛かったから・困ってきたからという思い出が私たちの強みだと思うので、これからのママ達が少しでも孤独な気持ちにならないように、同じ当事者でもあるが、先輩ママとして手を引けるような関係を築いていけたらと思う。また開催にあたり、閉じた心やいっぱいになった頭を緩められるように、おいしいスイーツ等の提供を行っているが、助成金頼みでの開催であるため、地域協力等(寄付)で準備ができるような仕組みづくりや行政委託事業等が叶うような結果作り(成功事例)を積み上げていくことで、今後の継続を保持していきたい。