「地域助け合い基金」助成先報告

一般社団法人 もりはしコミュニティ協議会

茨城県常総市
居場所見守り配食・会食その他

助成額

140,000円2025/05/09

助成⾦の活⽤内容

一般社団法人もりはしコミュニティ協議会は、2015年の鬼怒川洪水で大きな住宅被害を受けた常総市の森下町、橋本町の区長(当時)とこの地区に拠点をおき被災者生活再建支援と外国籍住民支援を行ってきた茨城NPOセンターコモンズ関係者の3名が理事となり2020年に設立しました。次の災害に備える自主防災と、住民が集える場、若者の就労訓練ができる場としてのえんがわカフェの運営(調理、接客)、マルシェの開催などを行ってきました。

立ち上げ当初に調理・接客をボランティアで行ってきた地元住民も高齢化で引退し、担い手の減少でカフェの稼働日が少ない時期が続いていましたが、地域で仕事をみつけにくい母親や若者の就労の場にすることで、稼働日をふやし、地域の子どもから高齢者まで集いやすい状況をつくりたいと考えます。コモンズが運営する多文化保育園の保護者の中には、外国籍で日本語が話せなかったり妊娠中で仕事ができない母がいます。ひとり親が仕事についていないと保育園も利用できず親子で引きこもりがちな世帯もあります。高校卒業時に専門学校の入学費用は払えず断念し家にいる若者がいます。そこで、カフェの場と機能をいかし、ピザに関する設備導入とメニュー開発で売上を増やしながらそうした母や若ものたちが働ける場を地域につくりたいと思います。この街にないパスタとピザ、コーヒーが楽しめるカフェを週4日以上稼働させることで、より多くの住民が集えるようにしたいと思います。住民に来ていただくことで、外出時の送迎や家や庭の手入れ、ゴミ出しといった高齢者のニーズを受け止めつつ、そうしたことを担える住民も増やしていこうと考えます。

この街には人口の2割以上の外国籍の人(ブラジル、フィリピン、ベトナムの人など)が住んでいます。そうした家族の中には子どもの発達や子育てで悩んでいたり、こどもが不登校になっていたり、親の介護が問題になっている人もいます。 コモンズ職員にはブラジル人スタッフもいるので、英語やポルトガル語で、子育て、障がい、介護に関する情報提供や相談もカフェの中で行っていき、言葉の壁を越えて住民同士が助け合えるコミュニティをつくっていきます。

活動報告

もりはしコミュ二ティ協議会は、茨城県常総市水海道地区にある森下町と橋本町の住民参加による地域づくりを目的につくりました。わたしたちの町は2015年9月の関東東北豪雨の際、鬼怒川の堤防決壊により大規模な浸水被害をうけました。市内5千世帯床上浸水でしたが半壊という被害認定が多く被災者への支援はわずかでした。そのため住宅再建をあきらめた住民は町を去りました。残されたのはたくさんの空き家でした。わたしたちは、復興のテーマを考えたとき、この街の資源は空き家と多国籍の人が多く暮らしていることだと思いました。空き家を活かして多様な人がつながれば地域づくりができると思ったのです。それで水害前は診療所だった古い建物と医者の住宅が空き家になっていることを知り、持ち主にお願いして、改修させていただくことにしました。活動の母体はこの地域で外国籍の子の教育支援をしてきた茨城NPOセンターコモンズでしたが、まちづくり会社を別につくり、そこが診療所と住宅のある土地を買い取り改修をし「えんがわハウス」をつくりました。その中で診療所をえんがわカフェとしました。もりはしコミュニティ協議会は住民が参加してこのカフェの運営と自主防災に取り組む目的でつくりました。水害で町にあったファミリーレストランも更地になり、住民がお茶する場がなかったこともカフェをつくった理由のひとつです。
 
前起きが長くなりましたが、今回いただいた助成で本格的なピザをだせるようになること、ドリンクコーナーを充実させることを目指しました。これまでは、製パン機でピザ生地をつくり、電気式のピザオーブンで焼く形でしたが、助成金で購入したスタンド式ミキサーを使うことでより弾力性のある生地を自動的につくれるようになりました。さらに、ピザを載せる部分がゆっくり回転しガスの火で温めるガス式のピザ窯を導入したことで、ピザの耳の部分がふっくら膨らむピザをつくれるようになりました。

最初は、スタンド式ミキサーで生地がうまくまとまらなかったり、ピザ生地が柔らかすぎて大きなピザ窯に投入することができませんでした。何度もYouTubeで生地の作り方を学習し、イースト菌を多めにし十分に生地を発酵させることで、もちもちしたピザ生地をつくることに成功しました。生地ができたことでガス窯へのピザ投入もスムーズにできるようになり、耳がふくらんだピザをつくれるようになりました。

飲みものは、これまではドリップコーヒーがメインでしたが、ハーブティを商品にしたいと試行錯誤をしました。畑でカモミールやペパーミント、レモングラスなどのハーブを育てはしましたが、それらの葉をお茶に加工するところまではいけませんでした。いくつかハーブティを仕入れたり各地のカフェを訪ねました。その中で県内でハーブティの独自開発をしている方と出会うことができました。そこでまずはそのお店のハーブティなどを仕入れることにしました。次年度は、畑で育てたハーブからハーブティをつくることにも挑戦しようと思っています。

私たちのカフェの課題は、商品開発だけでなく、営業日がとても限られていることでした。ボランティア中心で運営してきて、担い手不足で週1回のランチしかできない状況がありました。今回、カフェコーナーを充実することで、ランチの営業時間以外にセルフでドリンクを楽しんでいただきながら本を読みながら過ごしていただける環境づくりを行うことができました。調理人がいない時間でもお店番を配置することで多くの時間、カフェを地域に開放することができます。カフェには、図書館が併設されています。ブックカフェとして、地域の方々にくつろいでいただけるような場づくりに今後も取り組んでいこうと思います。

今後の展開

私たちが運営している「えんがわカフェ」は家に困りがちな人が気軽に来られる場を目指して開設しました。2015年の鬼怒川水害で、若い世代はこの街での住宅再建を諦め他市に出ていく人が多くいました。わたしたちの町では高齢者世帯が多く引きこもりがちです。外出機会が減ると体力も衰えてしまいます。連携団体の茨城NPOセンターコモンズは水害から継続して高齢者や障がいがある方の通院や買い物を支援する移動支援も行っています。今後は、家と病院の往復だけでなく、カフェでサロンとか映画上映会、ミニコンサートなどを行い、人と楽しく話す機会を増やしていこうと思っています。幸いカフェの近くには、看護学校があります。その学生さんたちが活動に参加してくれるようになりました。

常総市の特徴は、外国籍住民が多いことで人口の12%になっています。日本人が出ていった古い戸建てにアパートで暮らしていた外国籍の人が移り住み、更地になったところにブラジルやフィリピンの人たちが家を新築しています。こうした若い人が地域を元気にしてくれると思います。えんがわカフェのとなりには、住宅を改修したはじめのいっぽ保育園もあり、NPOコモンズが運営しています。0~2歳9名定員、3~5歳9名定員の小さな保育園ですが、ブラジル、フィリピン、バングラディッシュ、インドネシア、ベトナムと多様なルーツの子が通っているのが特徴です。またNPOコモンズはえんがわハウスにある3棟以外に4棟の空き家を改修してシェアハウスを運営しています。そこにもいろいろな事情を抱えた外国籍の人が暮らしています。DVで避難してきた人もいれば、職場でいじめられ救出された技能実習生、入管の収容者からやっと出られた人などがいます。コモンズは通院支援とか弁護士との仲介など福祉的な支援をしています。えんがわカフェは、そうした人達と地域の人がつながる場を目指しています。ランチの時にはシェアハウスに住みながら日本語を学習している人が来て接客の学習もしています。カフェは、仕事の経験がなかったりしてすぐに一般就労ができない若者が仕事の基礎を学べる場にもなっています。

今後も保育園でつながっている外国ルーツの家族やシェアハウスにいる外国籍の人、地域にいる外国籍の人と地域の日本の住民が交わる活動をカフェを中心に行っていこうと思います。11月には、カフェのオープン記念行事として「えんがわマルシェ」をしています。今年度は、私たちにつながっている外国籍の人に協力を求めました。ブラジル、フィリピン、スリランカ、ベトナム、アフガニスタンの料理を楽しんだり、ブラジルのダンスも盛り上がりました。

最近、外国人に対する偏見や排外主義的な主張が目立っています。「常総市は外国籍住民が10%を越えており終わっている」といったネットの書き込みもありました。これらの主張には間違った情報が多く含まれていますが互いに接点がないと不安が広がります。逆に顔の見える関係をつくっていけば不安は減らすことができます。わたしたちの仲間は、外国人ピアサポーターとして、日本の税金、社会保険、防災、教育のことなどを母国語で広める活動をしています。今年度は、みなで避難所開設訓練をしたり、ゴミの分別をわかりやすくする看板を作るなどの活動もしました。〇〇ファーストは分断を生みます。わたしたちは、水害で被災し、多様な住民が暮らす常総市だからできるまちづくりを今後も行っていこうと思います。こうした活動にご関心がある方はぜひ見学にお越しください。


添付資料