「地域助け合い基金」助成先報告
Amica
大阪府豊能町


助成額
150,000円(2025/05/29)助成⾦の活⽤内容
企画概要
・イベント名:親子で遊ぼう運動会!復活★私たちのとよの
・開催日時:2025年6月22日(日)(予定)
・開催場所:HOMURA FIELD TAKAYAMA
・主催:北村 聡美 ・協力団体:とよの場、ていねいとしょかん、高山コミュニティセンター 太鼓集団童夢ほか
・参加対象:地域の親子・住民 ・想定人数:約100〜150名
実施背景
・地域課題:過疎・高齢化・育児の孤立の進行
・運動会を通じた多世代交流・親子支援の意義
・父親の育児参加促進による家庭支援と地域づくり
イベントの内容
・親子運動会(玉入れ・かけっこ・綱引き・リレーなど)
・とよのサイダーラベル作りワークショップ
・地元マルシェ、昔の写真展・語り部タイム、休憩スペース
・太鼓鑑賞など
地域への波及効果
豊能町で暮らす一人として、そして保育に関わる者として、地域の未来に少しでも貢献したいという気持ちで取り組んでいます。
このイベントをきっかけに…
みんなで全力で楽しみ、力を合わせて何かを成し遂げる機会は、コミュニケーションを自然と深めていくと考えています。子育て中の親御さん同士が顔を合わせ、孤立を感じずに過ごせる「安心できる居場所」。
子どもたちが多世代の大人や地域の文化に触れることで、「自分のまちを好きになる」気持ちが育ちます。
旧校舎の活用によって、地域資源の再生モデルを形にできます。
とよのサイダーや地元の農作物といった魅力を発信することで、町のイメージアップにもつながります。
私ひとりではできないことばかりですが、この小さな取り組みが、地域の明るい連鎖のひとつになればと願っています。
追記(先日メールで送らせていただいた内容となります)
【助成金使用期間後の計画について】
助成金使用期間後も、単発のイベントで終わらせず、地域内に「顔の見える関係性」や日常的な支え合いが広がっていくような企画を進めてまいります。
① 季節ごとの「親子×地域」イベントの定期開催 今回の運動会を皮切りに、豊能町の自然や資源を活かした親子イベントを年に数回開催し、親子・高齢者・移住者・支援者などがゆるやかにつながれる機会を継続的に創出します。イベント開催を通じて、地域での交流と協力の関わり合いが根づいていくことを目指しています。
② 地域の自治会・子ども会との連携するための種まき 地域では、自治会や子ども会の活動運営が困難になっているとの声もあり、高齢の代表者の方々から「若い力を頼りたい」という想いをお聞きすることがあります。現段階で具体的な連携形態は未定ではありますが、まずは本イベントで信頼と実績を積み重ねることで、将来的に地域団体からの企画依頼を受けたり、地域遊び場づくりに運営側として少しずつそうした関わりが持てるようになればと思っています
③ イベント後の「子育てコミュニティ」づくり イベントをきっかけに出会った親同士が、孤立せず継続的につながれるよう、地域での居場所づくりや情報共有の場(LINEオープンチャットなど)を立ち上げます。特に新規転入者や母子家庭・父親など、多様な立場の方が安心して関われる「顔の見える関係性」を育てていきます。
④ 地元店舗との連携による地域経済への貢献 地域にはケーキ屋さんやパン屋さんなど、魅力ある小規模店舗も点在しています。本イベントでは、そうしたお店の出店参加や商品PRの場をつくり、イベントの賑わいがそのまま地域の売上や継続的な来店につながるような仕組みづくりにもチャレンジしたいと考えています。 今回の運動会では、競技種目にパン食い競争を含め、地域のパン屋さんにパンの注文を検討しております。
⑤ 子育て支援者や福祉関係者とのつながり継続 イベント当日には、保育士や作業療法士、福祉団体の方々と協力して、情報提供ブースや相談機会を設けます。イベント後も個別支援の必要なご家庭と専門家をつなぐネットワークづくりを視野に入れ、支援の“入り口”として機能させていきます。 このように、本イベントを地域のつながりづくり・支え合いの「起点」として位置づけ、今後も地域団体・商店・子育て家庭が横断的につながる“地域共生会の土台”を育ててまいります。
また、支援を必要とする家庭に対しては、居宅訪問型保育の知見を活かした個別支援やママ・パパサロンの定期開催、地域住民による運営参加を促す共助型の居場所づくりを進めていく予定です。
活動報告
2025年6月22日に豊能町にて「親子で遊ぼう運動会!復活★私たちのとよの」を開催することができました。親子を対象にしたこのイベントは、乳幼児期からの健やかな育ちを地域全体で支え合い、共に楽しみ合える空間をつくることを目的としたもので、助成金の支援により実現に至りました。
■ 活動の実施内容
イベントは、午前・午後の二部制とし、0歳〜6歳の乳幼児とその保護者を対象にした運動会形式のプログラムを展開しました。内容は、かけっこ、運動遊び、親子ふれあい遊び、玉入れ、パン食い競争、綱引き、パラバルーンなど各時間帯9種目で構成し、運動を通して親子が「一緒に取り組む楽しさ」を味わえるものとしました。また、地元の太鼓団体「童夢」様による演奏や、キッチンカーの出店、授乳・おむつ替えコーナー、看護師の常駐など、親子が安心して長時間参加できる工夫も盛り込みました。
助成金により、イベントの会場使用料・備品・印刷物・装飾品等を準備することができ、参加費を500円という低価格に設定できたことで、多くの親子にとってハードルの低い参加の場となりました。募集定員を大きく上回る申し込みがあり、当日は100名以上の親子が参加し、大盛況のうちに終えることができました。
■ 実施にあたっての苦労と工夫
イベント開催にあたり、主催者自身が地域に転居して間もない状況であったため、地域とのつながりを一から築いていく必要がありました。会場の確保、備品の貸し出し依頼、役所との連携など、準備には多くの時間と調整を要しました。中でも、高山地区の地域の方々と関係性を築くことは最初の大きな壁となりましたが、廃校の指定管理会社が間に入ってくださり、住民・役所への説明を代行。
地域の課題やニーズに耳を傾けることで、徐々に信頼関係が築け、自治会や地域住民の協力を得て開催に漕ぎ着けることができました。
また、乳幼児対象のイベントであるがゆえに、炎天下での開催や熱中症対策、安全面の配慮には細心の注意を払いました。開催時間を午前・午後に分け、時間ごとの人数調整を行い、屋外と室内の両方を使えるようにすることでリスク軽減を図りました。
■ 対象者と取り組みの意味
参加者は、0歳〜6歳の子どもとその保護者が中心で、特に乳児を連れて初めて外部イベントに参加する方や、母子のみでの参加というワンオペ育児の保護者の姿が多く見られました。今回の取り組みは、単なるイベントとしての楽しさにとどまらず、参加者同士が「つながり」を持つきっかけの場にもなり、地域の中での安心や居場所づくりの入り口となったと感じています。
また、保育士や専門職のスタッフも運営に参加することで、親子の遊びや関わり方に困り感を抱えていた保護者が、一緒に楽しみやすい雰囲気作りにも。「イベントだけど、育ちや関わり方が見える」「親子で全力というテーマで、運営スタップが積極的に楽しんでくれていることで、親子全力で参加しやすかった」という声も多く寄せられました。
■ 課題と今後の可能性
本事業を通して、たくさんの親子や地域住民の方々との出会いがあり、豊能町という地域の魅力や人のあたたかさを再確認できました。一方で、継続的にこうしたイベントを開催していく上での課題や、今後の可能性も明らかになりました。
今回のイベント会場は、地域の民間スペースをお借りしながら実施しましたが、室内の使用スペースが限られており、夏季や冬季といった空調設備が必要な時期に大規模な催しを実施するのは難しいという課題があります。特に、快適で安全な環境を保ちつつ親子が長時間滞在できる場を設けるには、環境面の整備や別会場の確保といった課題解決が求められます。
また、イベントの目的のひとつである「地域商業の活性化」と「親子支援」の両立においても、運営規模の調整が必要になっています。例えば、キッチンカーの出店や地元事業者の出店によって地域の経済循環を生み出すことは、まちづくりの観点から大きな意義がある一方で、参加者が増えすぎると、主催者が一人ひとりの親子に丁寧に関わることが難しくなるという側面もあります。
主催者としては、単なる「集客イベント」ではなく、親御さんが子どもとの関わり方や育ちへの理解を深められたり、保育者や専門家と対話できたりするような「顔の見える関係性の中でのイベントづくり」を大切にしています。つまり、地域とつながりながらも、親子一組ひとくみと向き合えるような“密な運営”を志向しているという矛盾と葛藤が生じています。
そのため、今後は「集客の仕方」と「開催規模の在り方」を慎重に見直しながら、地域の事業者・教育関係者・行政・専門職といった多方面との協働体制を築き、目的や内容に応じた運営スタイルを模索していく必要があります。たとえば、午前・午後の二部制にして人数を分散する、または年齢別に内容を変えた少人数イベントを複数回行う、あるいは“親子+専門職”という小さな単位での対話と遊びの場を定期開催するなど、複数のアプローチを組み合わせていくことが求められそうです。
とはいえ、こうした試行錯誤を重ねていくなかで、豊能町という地域の可能性や、親子支援のあり方について新たな展望も見えてきています。この経験を通じて、孤育ての解消や子育て世代の安心感の醸成につながる仕組みを、地域と共に育てていく手応えを感じています。
■ 地域とのつながり・協力者の存在
今回のイベントを通して、廃校利活用の事業者であるGLADさんをはじめ、高山自治会、近隣住民、キッチンカー事業者、演奏団体、保育者仲間など、多くの地域の力を借りることができました。開催後には、「次もぜひ声をかけてください」「今後も地域の子どものためにできることがあれば」といった声も届き、新たな連携の芽が生まれています。
こうした地域との協働の経験は、主催者自身が「地域で生きる・働く・子育てする」ということを、改めて実感する大きなきっかけにもなりました。
今後の展開
今回のイベントを通して、地域の自治会、教育関係者、地元で活動されている団体の方々との対話が生まれ、「一緒にやってみよう」という温かな声をいただけたことは、何よりの財産です。今後はこのご縁を大切に、さらに多くの方と手を取り合いながら、豊能町という街全体がひとつのコミュニティーとして育まれていくようなイベントづくりを目指したいと考えています。
イベントの目的は単なる集客ではありません。特に今回のような乳幼児とその親子を対象とした活動は、「子どもと親」のつながりを育み、家庭の中だけでは得られない刺激や経験を共有できる貴重な時間です。しかし一方で、大規模化すればするほど、親子一組一組との深い関わりが難しくなり、主催者自身が本来大切にしたい「寄り添う」「一緒に喜ぶ」「悩みに耳を傾ける」という関係性が薄れてしまうことも懸念されます。
私たちは、イベントの中に「遊び」だけではなく、「安心して話ができる居場所」「子育ての悩みを共有できる場」「専門的な視点から支援が受けられる時間」をつくっていきたいと考えています。そのためには、保育士や医療福祉関係者、心理士など、子育てを支える専門家の力を借りながら、単なるイベントではない「子育て支援の場」を兼ねた活動へと展開していく必要があると感じています。
また、今後は協力者や関係団体との連携を強化し、定期的なイベント開催や、地域の既存行事への参画も視野に入れています。「イベント=特別なもの」ではなく、「地域に根差した、日常の延長線にある交流の場」として、誰もが気軽に足を運べる環境を整えていきたいと考えています。
そして、豊能町という場所の魅力を、町内外に伝えていくことも私たちの使命だと感じています。自然豊かで、温かい人が多く、子育てにも最適なこの町だからこそ生まれる「小さくて、深い」つながりが、今後のイベントにも活かされていくよう努めてまいります。
最後に、私たちが目指すのは「たくさんの人を集めること」だけではなく、「一人ひとりの顔が見えるイベントづくり」です。親子の笑顔、ちょっとした成長の瞬間、思いを共有できる誰かがそばにいる安心感。
そうした細やかな温度のある場づくりを、これからも地道に、丁寧に、続けていきたいと考えています。