「地域助け合い基金」助成先報告

 駄菓子toお茶の間日和

茨城県筑西市
居場所見守り

助成額

150,000円2025/06/25

助成⾦の活⽤内容

私の実家は、以前駄菓子屋を母が営んでいました。その場所には、大概、人がいて、母とお茶を飲んだり、近所の方がお裾分けを持ってきてくれたり、お客さん同士の交流があったり、ベンチでは子ども達が駄菓子を食べていたり、そんな光景が当たり前でした。そんな母が、老いて認知症になりました。母は社交的で、積極的にボランティア活動などをするような人でしたが、病気の為か、自信を失い、人との関わりをさけるようになりました。そんな母を懸命に看ていた父ですから、人との関わりがほとんどない状態にあります。そんな父も、去年、認知症を発症しました。私を含め子ども達で世話をし、現在も二人で暮らしています。とはいえ、私たちも離れて暮らしているうえに、家庭があり、思うように出来ないのが現状です。体調悪化のスピードの割には、介護申請や手続きにも時間がかかり、その間の私たちは本当に大変でした。今の世の中、こんな経験をしている方も多いのではないでしょうか。

そんな経験を踏まえ、実家の空き店舗を活用し、みんなが気軽に集える、「駄菓子屋兼みんなの居場所」を作ろうと考えました。そこでは、認知症の方はもちろん、近所、利用者の方が、会話を通して人との繋がりが持てる事、自分たちが出来る事などの情報交換、見守りを目的としています。現在、社会問題になっている高齢者の孤立を防ぐきっかけ、今後、現在のような介護を受けられない場合に備えての地域での連携づくり(出来る方が出来る事を)、近くの方々で情報交換ができる居場所づくりに努めていきたいと考えています。また駄菓子を販売したり、他の方の見守りをしたりと、まだ自分たちもできる事があるという「気づき」の場所にもなれたら、嬉しいです。そして駄菓子屋を併設することにより、子ども達も来てくれる多世代コミュニティならではの刺激にも期待したいです。
私たちもいずれ歳をとります。そんな時、自分はまだ出来る事がある、輝ける場所があると思えるような、そんな居場所づくりを心掛け、こらからの時代、人との繋がり、助け合いが絶対必要という事を忘れずに活動していきたいと思い、この助成申請に至ります。よろしくお願いいたします。

活動報告

この助成金を活用させていただき、エアコンを購入し、7月末にオープンすることができました。居場所づくりを主に、認知症や近所、利用者の方々が、会話を通じて人との繋がりが持てる場所、また駄菓子を通じて、こどもから高齢者までの、多世代コミュニティを目指してこの活動を始めました。こども達が来てくれるようにと、夏休みにオープンしましたが、猛暑の為、外にこども達の姿はなく、通行人もいない状態でした。
その為、周知が大変難しい状況です。駄菓子屋ののぼりを立てたり、チラシを作り近所に配布したりしましたが、自分が空いている時にしか、駄菓子屋を開けられない事もあり、なかなか知ってもらうことが出来ない状況が続きました。インスタグラムを開設したりもしていますが、高齢者にはSNS情報は、あまりなじみがないように感じます。そこで、誰でも参加できる、「茶話会」を毎月3~4回ほど、開催することにしました。そして母の古い友人や近所の方々に、チラシを郵送したり、配布したりしたところ、少しずつ人が来てくれるようになりました。何年ぶりかに訪ねてきてくれた、母の友人たちや近所の方々は、認知症である母の事をやさしく受け入れてくれました。帰るときに「楽しい時間をありがとう」と言ってくれる方もいました。なかには、野菜を作っている方がいて、私が代表を務めるこども食堂の事を知ると、後日、野菜を「よかったらこども食堂で使ってね」と届けてくれました。人との繋がりに改めて感謝する出来事でした。
このような事もありました。ある時、近所の方がお孫さんを連れて駄菓子を買いに来てくれました。お茶をしながら、談笑していたのですが、お孫さんに、母は同じ話を何度も何度も繰り返します。そのお孫さんは、駄菓子を食べながら、困惑の表情を浮かべていました。でもきっとおばあちゃんに、認知症について教えてもらったと思います。このような事も、こどもにとっての経験だと思います。そのお孫さんは、駄菓子を
また買いに行きたいから、お手伝いを頑張っていると聞きました。なんだか、自然と笑顔になれました。
人との繋がりから、いつも両親にお弁当配達をしてくれる方が、張り紙で活動を知り、手伝いを申し出てくれたり、私が代表を務めるこども食堂のスタッフや、別団体でともにボランティア活動する仲間たちも、活動に参加してくれたりと、少しずつですが、活動に広がりを感じます。そして「茶話会」を開催して感じたことは、会話から人を知る事、そして情報交換などからその方が困っている事を知ることができるということです。例えば茶話会に参加してくれた、近所の90歳の方が、「庭の木を切ってもらいたいが、どうしたらいいのか自分ではわからない」との話や、私の両親もそうですが、高齢者世帯で草刈りができなくなったなどの話がありました。そこで当団体のスタッフ(高齢者)が草刈りを引き受けてくれたり、別のスタッフが庭の現場を見に行き、アドバイスをしたりと、「必要な方へ出来る人が出来る事をする」を繋げることが出来ました。また、いろいろな方と話をしていて気づいた事は、元気な高齢者の方々は、少しでも人の役に立ちたいと考えている人が多いということです。そのような事も踏まえて、今後も会話を通じて、皆さんからいろいろと教えていただき、繋げていけたらと考えています。
そしてここで活動を始めるきっかけとなった両親の話をします。父母の認知症は少しずつ進行していますが、この活動を始めてから、ほんの少しですが変化がありました。母は、ほとんど話をすることもなく、ふさぎ込んでいる日が多かったのですが、お友達が訪ねて来てくれる時は、本当にうれしそうに何度も同じ話を繰り返します。駄菓子を食べながら「懐かしい」と談笑したりする時もあり、以前よりも明るくなった気がします。また去年、母への介護疲れから父が体調を崩し、断念せざるを得なかった「デイサービス」に二人そろって、通所することが出来るようになりました。通所するにあたり、以前はそのような事をするのが困難だった父が、一生懸命に荷物の準備をし、予定を確認するようになり、生活に少しメリハリを感じるようになった気がします。また、私が活動している「こども食堂」のこども達への駄菓子の袋詰めなどを、時間はかかりますが、手伝いをしてくれたりもします。この活動を始めてよかったかなと感じます。


また新たな試みとして、両親が車の運転が出来なくなり買い物が困難になりましたので、10月頃から、毎週水曜日、14時30分頃~15時頃にお店前駐車場に、移動スーパーが来てくれるようにしました。
地域の皆さんにも、是非活用してほしいと思っています。

この活動を継続するにあたり、課題もたくさんありますが、これからも皆様や地域の方々のご協力のもと、スタッフとともに頑張っていきたいと思います。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

今後の展開

今後の課題は、もっとたくさんの方に活動を知っていただけるよう、周知に力を入れていきたいと考えています。
また茶話会だけではなく、これからたくさんの方と繋がる事ができように、例えばカラオケやゲーム、また「認知症サポーター養成講座」などの出前講座等も行えるように、いろいろ企画していきたいと思います。

そして地域の皆さんに知ってほしい事は、駄菓子屋を通しての居場所はもちろんですが、毎週水曜日、14時30分頃~15時頃に、お店の目の前に、移動スーパーが来てくれることです。「駄菓子 to お茶の間日和」で話をしながら、その時間に買い物もできます。買い物が困難な方はもちろん、駐車場も広いので、車も停める事もできます。是非知っていただき、活用していただきたいと思います。

遠くの親戚より近くの他人
是非、地域の方々、近所の方々で繋がり、助け合い、見守りができるそんなまちにできたらと考えます。

来月は、新たに筑西市の大田コミュニティセンターでも、茶話会を開催する予定です。
少しずつではありますが、活動の幅を広げていこうと思っています。

そしてこの場をお借りいたしまして、ご支援をいただきました皆様へ心より感謝申し上げます。
これからも引き続きあたたかいご支援、どうぞよろしくお願いいたします。

添付資料