「地域助け合い基金」助成先報告
一般社団法人 ヒトノネ
岐阜県岐阜市 ウェブサイト
助成額
103,000円(2025/08/12)助成⾦の活⽤内容
小学生の子どもたちが長期休みに、社会福祉法人いぶき福祉会と共同で「夏祭り」を企画・実施し、子どもたちと障がいのある方々との交流の機会を作ります。「夏祭り」としていぶき福祉会の直営店「ほとり」にて、商品やサービスの販売体験などを行います。販売体験としてどういった商品やサービスを扱うのかについても、いぶきの利用者とかどもたちが一緒に企画します。
また、美島会館(自治公民館)や近隣エリアのカフェにチラシを配布することなどを通じて、地域の方々と交流し、地域での子どもの見守り体制を構築することや、障がいを持った方達との共生意識を子どもたちの中で育むことを目指します。
「夏祭り」はお金の使い方や就労・仕事などについて、夏休みの間に地域講師の方々から学んだことの集大成として計画されています。学んだことを活かして子どもたちが自分たちで売り物を決めて、売り物を準備して、お店を開き、手作りの通貨を使って買い物をして、最終的に売り上げを各お店で計上しています。
それに加えて、今回の企画では、毎年開催している「夏祭り」の企画を、いつもの活動フィールドの外へ越境して行うことを意図しています。子どもたちだけの「お店屋さんごっこ」的な活動ではなく、学童の外で地域の方を相手にして販売体験をすることは、子どもたちの体験活動にとっても、地域の方とつながる意味でも重要であると考えております。
活動報告
長期休みの学童保育でのイベントとして毎年開催している「夏祭り」を、地域で活動している社会福祉法人いぶき福祉会さんと共同で企画・実施しました。例年は学童の拠点や、近隣の青少年会館などの施設で活動していましたが、今回は、いぶき福祉会の直営カフェ「ほとり」事業所で「夏祭り」を実施しました。
夏祭りでは、小学生の子どもたちがいくつかのチームに分かれて、一般のお客さんに向けて商品の販売をしたり、サービスを提供したりします。売り物を準備するところからはじめ、お店を開き、販売をして、最終的に売り上げを各お店で計上しています。このような内容は、お金の使い方や就労・仕事などについて、夏休みの間に地域講師の方々から学んだことの集大成として計画されています。
また、今回の企画は、例年は「お店屋さんごっこ」的な活動をしている企画を、いつもの活動フィールドを越境して本物体験を行うことを意図しています。学童の外で地域の方を相手にして販売体験をすることは、子どもたちの経験にとっても、地域の方とつながる意味でも重要です。
今回、夏祭りにどういった商品やサービスを扱うのかについて、ヒトノネだけでなく、地域の大人(いぶきの「ほとり」を建築した設計士)といぶきの担当者さんを交えて、いぶきの重度障害を持つ利用者がどのように関われるかを考えながら、子どもたちが企画していきました。企画内容に関するアイデア出しや、実際に必要になるものを制作するなどの準備と事前学習の際には、岐阜市の建築士・平野勝雅氏(大建metさん)にもご協力をいただきながら、まちづくりや、建築・仕事・地域の関わりと共生意識について学習し、準備を進めていけるようにしました。
準備の中で、「単なるジュース販売ではなく、足をプールに入れて涼みながら飲んでもらえるようにする」、「ストラックアウトを室内で楽しんでもらうにはどうしたらいい」、「呼び込みの作戦を立てる」、「お店の看板をどのようにデザインするか」など、たくさんのアイデアと工夫も見られています。いぶきの利用者が一緒にお店に来訪した場合はおまけをプレゼントする、など、障害を持つ方々との接点が持てる工夫も行いました。企画には地域のインターンの大学生も参加してくれました。
当日のお客さまは地域の方々になるため、美島会館(自治公民館)や近隣エリアのカフェ、介護事業所さん、学校にチラシを配布も行い、いつも以上の広報も行なっています。
今回の活動のフィールドが慣れた環境ではないこともあって、子どもたちが萎縮してしまわないかを心配していましたが、当日はむしろ「お客さんの呼び込みに必死すぎる子どもたち」を諌める方が大変なくらいでした。来客数も懸念点でしたが、地域の子どもや大人までたくさんの方に来場していただけました(51名来場)。このような活動が応援されていることを感じました。また、ヒトノネの保護者さんや関係者にもほとりに足を運んでもらうことができ、「ほとり」の存在を知ってもらえたことや、こうした連携の形で子どもたちも地域の大人も生き生きと輝く姿を見せることができたと思います。
今回の活動の売り上げ(約1万円)は「山分けして、帰り道で好きなお菓子を買う」という形で子どもたちに還元できるようにしました。はじめからそのことを子どもたちにも伝えていたからこそ、本気で工夫したり、当日活動したりというモチベーションに繋がった背景はあると思います。働くことを通じた地域・経済社会とのつながりを体験することにもなり、子どもたちにとっては分かりやすい「成果」が手元に残ります。
活動内容の充実と、売り上げでたくさんのお菓子を買うことができたという「成果」もあって、子どもたちは満足げな様子でした。
夏の暑い最中で、駐車場の案内などでいぶき福祉会さんからも当日かなり人手をご協力いただきました。最後はいぶきの利用者と職員さんに挨拶して帰路に着きましたが、また夏が過ぎて涼しくなった頃には、「ほとり」カフェに子供達と一緒に歩いて遊びに来られると良いなと考えています。地域の中に、自分たちの人見知りの人、思い出の場所が増えていくことが共生社会につながっていくと思います。
今後の展開
子どもたちにとって、学童保育などの環境は学校とも家とも異なった環境で、かつ同学年以外の子どもと関わることのできる場でもあります。
ヒトノネはそれに加えて、子どもたちが「普段の生活の中では交わる機会のない人たち」と交流することができる場を提供できるよう企画を計画しています。長期休みの毎日のアクティビティの中で地域講師として魚屋さんや和菓子屋さん、さまざまな国出身の方をお招きしていることや、今回の「夏祭り」に関する企画が、子どもたちにとって「新しい価値観」に触れる機会になること、「子どもたちの世界を広げる」機会になることを目指しています。
子どもたちが普段の生活で目にしている世界は案外狭く、地域の中でも子どもたちの目に触れることのない「新しい価値観」はたくさんあります。
「魚屋さんについて知ってみたら、思ったよりもおもしろかった」「和菓子屋さんの仕事について詳しく知らなかったけど、実際に見てすごいと思った」というように、身近な地域の中でも、体験を通じて得られる新たな発見は無数にあるのではないでしょうか。
そういった子どもたちの新たな発見のために、今後も地域と子どもを繋げられる活動をしていきたいと思います。