「地域助け合い基金」助成先報告

 くしびきKADATTEいいでば~

山形県鶴岡市
その他

助成額

50,000円2025/10/09

最終助成額

37,319円2025/11/11
(一部返金:12,681円)

助成⾦の活⽤内容

令和5年度に鶴岡市が櫛引中学校を対象に実施したアンケート調査(生徒数172人、回答155人)では、約90%が地域への愛着があると回答している。しかし、居住に関する質問では、将来的に櫛引地域以外に住みたいと回答した人が約35%で、愛着との間にギャップが生じていることが明らかになった。 
また、地域づくりに関して約75%が関心を持っており、イベント運営については約70%が参加したい、25%があまり参加したくないが、機会があれば手伝ってもよいと回答している。
この結果から、中学生は地域づくりに関心が高いことが読み取れるが、そのニーズに対応するコミュニティ活動は多くないため、シビックプライドが醸成される機会を逸してしまうことで、将来的な人口流出による地域活力の低下が懸念される。
さらに、令和6年度に地域住民を対象として実施した地域コミュニティを検討するワークショップでは、後継者不足や高齢単身世帯並びに空き家の増加、自治会事業の停滞など、多くの課題が浮き彫りとなった。
 そこで、ワークショップに参加した地域づくりに意欲がある地域住民(30~50代)を中心に、行政と連携して地域課題の解決に取り組むことを目的に本組織を創設した。地域活性化に向けた話し合いでは、より多くの人が地域づくりに関わることが肝要であると考え、中学生などの若者が地域に関わることで、各々のシビックプライドの醸成を図ることを目的にイベントを検討していたが、資金の当てがなく探していたところ、この基金の情報を得て応募を決意した。
 今回は、中学生のアンケート調査で要望があったeスポーツ体験に関する事業に取り組むこととしており、運営面でも中学生と関わりながら取り組み、一緒にイベントを創り上げていくことで主体的に地域づくりに関わることの楽しさを感じてもらえる機会としたい。当該イベントを契機として、中学生が地域の一員として主体的に地域づくりに関わる機会を増やし、住民同士のつながりづくりや地域への関心を高めてもらうことで櫛引の未来を担う人材の育成につなげるとともに、櫛引地域の活性化に取り組んでまいりたい。

活動報告

鶴岡市が行った地域コミュニティ検討ワークショップを通じて、コミュニティ活動の停滞に課題意識を持ち、「自分たちでなんとかしたい」、「こんなことがあったら楽しい」という思いを抱いたメンバーが集まったところから、私たちの活動はスタートしました。活動に際し、最初に着目したのは中学生の意見です。地域を担う若者こそ、地域づくりの重要なプレイヤーになると考えたのです。
鶴岡市が地元中学校に実施したアンケート調査では、約9割の生徒が地域に愛着があると回答し、約75%が地域づくりに関心があると回答していました。しかし、地元愛にあふれる中学生が多いという結果に反し、若者の地域外への転出による人口減少は止まらず、地域の担い手が減少することでコミュニティの希薄化が進行しています。このことから、地域活動に関心ある中学生が、その活動機会を得ることなく過ごすことで、地元愛も徐々に薄れるのではないかと推察しました。

そこで、私たちは改めて団体の目指すべき姿を丁寧に議論しました。そして、「自分たちのやりたいことがやれる!”願いがかなう地域”として新たな魅力の創造と発信する場」を提供することを目的に、中学生と地域がつながるイベントに取り組むこととしました。
イベント内容は、同アンケート調査でニーズのあった「eスポーツ」に決定。中学生をターゲットに、関心の高いイベントを仕掛けて運営に協力してくれるボランティアも募り、親でも先生でもない「地域の大人」たちとの活動を通じて地域とのつながりを作ることで、自分たちが必要とされている充実感、あるいはイベントを作り上げた達成感などを味わってもらいたいと考えました。

しかし、ここで課題が。誰もeスポーツ大会を運営したことも知識もありません。ところが、偶然にもメンバーの同級生にeスポーツ大会出場経験者がおり(しかもメンバーにも加わっていただくことに!)、出場経験を踏まえてのイベント構成、必要物品、ルールなどを議論することができました。景品は地元にこだわり、地元産果物のジュースや地域の温泉施設入浴券など、地元の企業振興とともに、参加者からは自分たちの地域を知ってもらうことも狙いにしました。実際、これまで当該温泉施設に行ったことがない生徒もおり、施設の周知を図ることができました。ぜひ友達同士で地元の良質な温泉を堪能してほしいと思います。
今回助成金を活用させていただいたことで、こうした商品を購入することができ、参加者の皆様からモチベーション高く大会に臨んでもらうことができました。

大会には中学生17名(申込者は21名でした)が参加。うち4名からボランティアスタッフとして受付やタイム計測などの作業に協力いただき、メンバーとコミュニケーションを図りながら一緒に運営面でも活躍していただきました。
対戦も個人戦に加え、団体戦も設けたことが交流機会となり、チームメイトでチーム名(地域に因んだ名称)を考えたり、走行順番などを相談したりと学年という枠を超えた参加者同士のつながりもできました。レース中はプレイヤーだけでなくオーディエンスも熱い声援を送り、表彰では生徒同士写真を撮る姿も見られるなど、会場に一体感が生まれていました。

このイベントがきっかけで新たなメンバーからの協力を得ることもできましたし、運営者と参加者が新しい出会いの中でコミュニティの輪が自然と広がっていく楽しさを感じることができたのではないかと思っています。
大会アンケートの自由記述では、参加者全員から楽しかった旨回答いただき、メンバー一同手ごたえを感じたところです。さらに、今後も別ジャンルのゲーム大会の開催を希望する声も多くありました。
今回協力いただいた中学生ボランティアの皆さんからは、将来の地域づくりのプレイヤーとして今後も本団体の活動に関わっていただき、さまざまな活動を体験することで地域活動の楽しさややりがいを見出すことができるよう、一緒に次なるイベントに臨みたいと思います。

※写真は計測集計をしたり参加者に説明をしている中学生のボランティアスタッフが活躍している様子です。

今後の展開

「くしびきKADATTEいいでば~」は、地域住民同士がつながり、支え合いの輪が広がるようなきっかけをつくり、地域との関わりを深める中で芽生えた子どもたちの「やってみたい」という意欲が「やってみよう」に変わり、その一歩が櫛引地域全体の新たな未来をつくるきっかけとなることを目指し、世代間交流を通じて、子どもから高齢者までが人とのつながりを深めながら地域を活性化させることを目的とする団体です。
私たちが大事にするのは「つながり」。人とのつながり、地域とのつながりを生み出すきっかけとなるイベントづくりにメンバー自身が楽しみながら取り組んでいます。

この度開催したeスポーツ大会では、私達と中学生とのつながりができつつある手ごたえを感じています。このつながりを活かしながら地域全体にも広げていくため、新たな世代間交流を生み出すイベントに取り組み、共に過ごす時間の中で、様々な世代が笑顔で関わり合える場がある地域になることを目指します。

私達は、心に残るあたたかな思い出や地域のぬくもりは人と人とが関わり合うことで生まれると考えています。その思いを大切にこれからも地域のつながりを広げ、未来へとつなぐ活動に取り組んでまいりますので、私達の活動に興味を持っていただけたら、ぜひ気軽に声をかけてください。一緒にこの地域を盛り上げていく仲間として、皆さんと”つながる”ことを楽しみにしています!

添付資料